電子書籍の普及に伴って台頭してきた「スキャン代行サービス」。この代行サービスを取り扱う短期連載の第3回は、実際に各業者に発注し、サービスの内容を具体的に検証する「比較編」の後編をお届けする。
スキャン代行サービス業者に実際に発注し、サービス内容および成果物のクオリティを検証する本企画。今回はその後編として、検証を行った全7社のうち、残る3社の結果をお届けする。
なお、これら3社のうち、ドライバレッジジャパンが提供するスキャン代行サービス「スキャポン」については、正式申し込み前にキャンセルしている。「予約」「申し込み」など違いが分かりづらい用語がサイト内を飛び交っており、最終納品までにどのようなプロセスを経るのか非常に分かりづらかった点、また、本稿執筆中にも再三にわたってマイページの記載内容やサービス内容が改変されている点など、あまり顧客視点に立っているとは言えなかったため、顧客に不安を抱かせないスキームを構築するのが最優先だろうと考え、今回は紹介を見送った。
発注に当たっての条件は、「スキャン代行業者の実力を比較する(前編)」に詳しい説明を記しているので、そちらをご覧いただきたい。
なお、前回も触れたとおり、スキャン代行サービスは著作権法30条1項にある「その使用する者が複製することができる」という内容から、著作権侵害のリスクを有していることを付け加えておく。
具体的には、複製権を持っている著作権者に無断で複製を行った場合、それをスキャン代行業者に依頼したユーザーも複製の主体ではないにせよ、民事裁判でいう「共同不法行為者」、刑事裁判でいう「教唆」とみなされる可能性がある。ただし、本の場合はJASRACのような著作権を信託している大規模な団体が存在しない点、出版社が著作権法上の出版権ではなく、単に複製の許諾しか得ていない場合も多い点、さらにこの行為に可罰的違法性があるかどうかなど論点が多い。本連載では、著作権法あるいは立法の観点からみたスキャン代行サービスについても改めて取り上げるが、ここでは、自身が著作権者でないものを複製することはリスクを有しているということを押さえておきたい。
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