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» 2013年12月13日 10時00分 UPDATE

革新はその手に?:Amazonの新型タブレット端末「Kindle Fire HDX 8.9」を使ってみた (1/2)

革新をその手に――そんなキャッチコピーで発売されたAmazonの新しいタブレット端末。その上位モデル「Kindle Fire HDX 8.9」の実力をリポート。

[鷹野 凌,ITmedia]
Kindle Fire HDX 8.9 Kindle Fire HDX 8.9

 11月28日に、Amazonの新しいタブレット端末「Kindle Fire HDX 7」と「Kindle Fire HDX 8.9」が発売された。

 それまでのKindle Fireシリーズについては、2013年3月12日発売の「Kindle Fire HD 8.9」だけが継続販売され、「Kindle Fire HD」は11月5日から2013年モデルに切り替わっている。無印の「Kindle Fire」が販売終了したことで、「HD」が下位モデル、新シリーズ「HDX」が上位モデルという位置付けとなった。

 今回は、8.9インチの上位モデル「Kindle Fire HDX 8.9」のレビューをお届けする。本稿では原則として、HDX 8.9を「新モデル」、3月12日発売のHD 8.9を「旧モデル」と呼称する。

 なお、「Kindleストア」については「電子書店完全ガイド2013:Amazon『Kindleストア』を徹底解剖する」で詳細に解説しているので、ここでは新モデルの使用感に絞ってリポートする。10月22日発売の「Kindle Paperwhite 2013年モデル」のレポートも合わせて参照してほしい。

 今回紹介する新モデルは、米国では16GバイトのWithout Special Offers(広告なし)のWi-Fiモデルが394ドルで販売されているが、同じモデルが日本では3万9800円。原稿執筆時点での為替レート(1ドル102.9円)で換算すると、ほぼ同額だ。旧モデルは発売当時の為替レート換算で日本の方が約5500円ほど安く販売されたことを考えると、日本向けの特別価格は終了し、通常価格に戻ったということになるだろう。

 なお、「Amazonインスタント・ビデオストア」のオープン記念で、12月15日までに新しいKindle Fireシリーズを購入すれば、Amazonインスタント・ビデオストアで使える2000円分のクーポンがもれなくプレゼントされる。

同梱品一覧 同梱品一覧

 従来のKindle Fireシリーズと同様、カメラは端末を横向きにしたときに上部中央にくるよう配置されている。正面から見ると、ベゼルは旧モデルよりやや細くなっている。

 背面のデザインは大きく異なり、新モデルでは背面カメラ(800万画素)が追加された。スピーカーは、旧モデルは左右のやや下に配置されていたが、新モデルでは上部に移動している。これは、横向きで持ったとき、手でスピーカーが隠れないようにする配慮だろう。

 電源やボリュームボタンは、側面にあった旧モデルに対し、新モデルは背面の斜めにカットされた位置にある。ボタンは大型化し、指先大に少し凹んでいるので分かりやすい。なお、microUSBは底部から左側面に移動し、microHDMIは非搭載となった。


本体前面。カメラは上部中央左で右はフラッシュ 本体前面。カメラは上部中央左で右はフラッシュ
本体背面。上部中央に背面カメラ。電源やボリュームボタンは背面左右に配置されている 本体背面。上部中央に背面カメラ。電源やボリュームボタンは背面左右に配置されている

本体上部にスイッチ類はない 本体上部にスイッチ類はない
本体底部にもスイッチ類はない 本体底部にもスイッチ類はない

本体右側面にはヘッドフォン入力 本体右側面にはヘッドフォン入力
本体左側面にはmicroUSB 本体左側面にはmicroUSB

ハードカバー(縦200ミリ)との大きさ比較 ハードカバー(縦200ミリ)との大きさ比較
コミック(縦182ミリ)との大きさ比較 コミック(縦182ミリ)との大きさ比較

スペック比較

 新モデルと旧モデル、そして11月1日に発売されたApple iPad Airとスペックを比較してみた。

端末 Kindle Fire HDX 8.9 Kindle Fire HD 8.9 iPad Air(Wi-Fiモデル)
158ミリ 164ミリ 169.5ミリ
奥行き 231ミリ 240ミリ 240ミリ
厚さ 7.8ミリ 8.8ミリ 7.5ミリ
スクリーンサイズ 8.9インチ 8.9インチ 9.7インチ
重さ 374グラム 567グラム 469グラム
画面解像度 2560×1600(339ppi) 1920×1200(254ppi) 2048×1536(264ppi)
OS Fire OS 3.0(Android4.x系カスタム) Android4.x系カスタム iOS 7
CPU Snapdragon 800(2.2GHzクアッドコア) TI OMAP4470(1.5GHzデュアルコア) A7(1.4GHzデュアルコア)
RAM 2Gバイト 1Gバイト 1Gバイト
内部ストレージ 16Gバイト/32Gバイト/64Gバイト 16Gバイト/32Gバイト 16Gバイト/32Gバイト/64Gバイト/128Gバイト
フロントカメラ 92万画素 92万画素 120万画素
バックカメラ 800万画素 なし 500万画素
HDMIポート なし あり なし
バッテリー 最大12時間(読書のみ18時間) 最大10時間 最大10時間
販売価格 3万9800円/4万5800円/5万1800円 2万800円/2万9800円 5万1800円/6万1800円/7万1800円/8万1800円

 特筆すべきは、その軽さ。旧モデル比で、何と193グラムの減量だ。軽くなったと評判のiPad Airと比べても95グラム軽い。これまでのKindle Fireシリーズは、見た目以上にズッシリくる感覚があり、旧モデルのレビューでも「この大きさ・重さを片手で長時間持ち続けるのは少し厳しい」と書いたほどのウィークポイントだったが、新モデルではそこが見事に払拭された。

 ちなみに、Kindle Paperwhite(2013年モデル)は206グラム、Nexus 7(2013年モデル)は290グラム、Kindle Fire HDX 7は303グラム、iPad mini Retinaディスプレイ(Wi-Fi)は331グラム、Kindle Fire HD(2013年モデル)は345グラムだ。これら6インチ〜7.9インチの端末よりひと回り大きいKindle Fire HDX 8.9の374グラムという軽さは際立っている。


Kindle Fire HDX 8.9(左)とiPad 3rd(右) Kindle Fire HDX 8.9(左)とiPad 3rd(右)
Kindle Fire HDX 8.9(左)とNexus 7(右) Kindle Fire HDX 8.9(左)とNexus 7(右)

 なお、これまでのKindle FireシリーズやiPad、Nexusシリーズと同様、microSD/SDHCなどの外部記憶装置には未対応。代わりに「Amazon Cloud Drive」というオンラインストレージサービスが用意され、Amazonで購入したコンテンツ以外の、写真、ビデオ、ドキュメントなどの個人的なファイルを最大5Gバイトまでクラウド上に保存できる。ドキュメントを端末に送るには、「Kindleパーソナル・ドキュメントサービス」を利用する。

 また、新モデルは Miracast に対応している点にも触れておこう。Miracast 対応機器にワイヤレスで映像を送信できる無線通信伝送技術だ。Miracastに標準対応するテレビはまだ少ないが、アダプタの設置などでテレビをもう1つのスクリーンとして活用できる。

ホーム画面や設定・ライブラリなどのインタフェースは?

 次に、ホーム画面や設定・ライブラリなどのインタフェースをチェックしてみよう。旧モデルと異なるのは、書影の下にブラウザやメールなど使用頻度が高いと思われるアプリのアイコンが並ぶ点。上部タブでゲームやアプリなどのメニュー切り替え、画面上部を上から下にスワイプすることで通知や設定などの各種メニューが開くのは旧モデルと同じだ。

横向きのホーム画面 横向きのホーム画面

 Wi-Fi設定は、これまでのKindle Fireシリーズと同様、WPSボタンには未対応。SSIDは自動検出されるが、パスワードは手入力する必要がある。ただ、入力中の文字列は確認できるので、パスワードを間違えたとしても修正が簡単なのはありがたい。

画面上部を上から下にスワイプで通知や設定などの各種メニューが開く 画面上部を上から下にスワイプで通知や設定などの各種メニューが開く
Wi-Fiのパスワードは文字を確認しながら入力できる Wi-Fiのパスワードは文字を確認しながら入力できる

ホームから[ゲーム]のライブラリを開いた画面 ホームから[ゲーム]のライブラリを開いた画面
[ゲーム]から[ストア]を開いた画面 [ゲーム]から[ストア]を開いた画面

ホームから[アプリ]のライブラリを開いた画面 ホームから[アプリ]のライブラリを開いた画面
[アプリ]から[ストア]を開いた画面 [アプリ]から[ストア]を開いた画面

ホームから[ミュージック]のライブラリを開いた画面
[ミュージック]から[ストア]を開いた画面

ホームから[ビデオ]のライブラリを開いた画面 ホームから[ビデオ]のライブラリを開いた画面
[ビデオ]から[ストア]を開いた画面 [ビデオ]から[ストア]を開いた画面

 [本]のメニューは、細かくチェックしよう。ライブラリの一覧は、右側中央のアイコンでグリッド/リスト表示が切り替えられる。並び替えは著者順、最近使用した順、タイトル順に対応。左上の三本線アイコンをタップするか、左端から右へスワイプすると、ライブラリのメニューが表示される。書影をタップ&ホールド(長押し)で、[ホームに追加][ダウンロード][端末から削除]などのメニューが表示される。

ホームから[本]のライブラリを開いた画面 ホームから[本]のライブラリを開いた画面
右側中央のメニューから[リスト表示]にした状態 右側中央のメニューから[リスト表示]にした状態

ライブラリのメニュー一覧 ライブラリのメニュー一覧
書籍に対するメニュー一覧 書籍に対するメニュー一覧

 今回の新モデル発売とほぼ同時に、「クラウドコレクション」機能が提供開始されている。「コレクション」は、Kindle Paperwhite には2012年モデルから搭載されていた、購入した書籍をフォルダ分類できる機能。これが、Kindle for iPad/iPhoneアプリとKindle Paperwhite 2013年モデル以降のKindle端末であれば、クラウドで同期できるようになった。ようやく、「自分の本棚は自分の好きなように並べたい」というニーズにAmazonが応えた格好だ。ただし、Kindle for Androidにはまだコレクション機能そのものが未搭載で、Kindle Fire HD 8.9以前のKindle端末とはクラウド同期ができない。

 また、Kindle Paperwhiteのコレクションと、それ以外とでは若干仕様が異なる。Kindle Paperwhiteの場合、コレクションの一覧と同時に、コレクション未追加の本が表示される。ところが、Kindle Fireシリーズの新モデルやKindle for iPad/iPhoneアプリの場合、[コレクション]の中身を表示して[追加]を開いたときだけ、コレクション未追加の本が表示される。つまり、PCのフォルダ表示で例えれば、フォルダの外側にあるファイルが普段は見えない状態になっているのだ。Kindle Paperwhiteのコレクションや、WindowsやMacのファイル表示に慣れている人は、戸惑うかもしれない。

[コレクションに追加]から[新規コレクション]で、名前を入力する [コレクションに追加]から[新規コレクション]で、名前を入力する
ライブラリのメニューから[コレクション]を開いた状態。Kindle Paperwhiteの場合、ここでコレクションに未追加の本が外側に一覧表示される ライブラリのメニューから[コレクション]を開いた状態。Kindle Paperwhiteの場合、ここでコレクションに未追加の本が外側に一覧表示される

コレクションの中身一覧 コレクションの中身一覧
右上の[追加]を開くと、このコレクションに未追加の本が一覧表示できる 右上の[追加]を開くと、このコレクションに未追加の本が一覧表示できる

 Kindleパーソナル・ドキュメントサービスは、Send-to-Kindle メールアドレスを通じて、アカウントに紐付けられたKindle端末やKindleアプリ、Kindleライブラリにドキュメントを送信できるサービス。利用可能なファイル形式は、Microsoft Word、HTML、RTF、JPEG、Kindleフォーマット(MOB、AZW)、GIF、PNG、BMP、PDF、TXT。Kindleフォーマットに変換されたドキュメントは、Kindleストアで購入した本と同様、メモやハイライト、ブックマークなどの情報が異なる端末間で自動的に同期される。

 また、端末で撮影した写真やビデオ映像は、「自動アップロード」をオンにしておくことで、Cloud Driveに自動保存される。他のモバイル端末(Amazon Cloud Drive Photosアプリを利用)や、パソコン(Cloud Drive デスクトップアプリを利用)、Facebookのアルバムなどから写真を取り込むこともできる。


ホームから[ドキュメント]を開いた画面 ホームから[ドキュメント]を開いた画面
ホームから[写真]を開いた画面 ホームから[写真]を開いた画面

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