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» 2013年11月28日 11時00分 UPDATE

あの書店のスタッフに直撃:電子書店の中の人 9回目――Koboイーブックストアの中の人

いつもお世話になっている電子書店。電子書籍を購入しているこの端末の向こうにだってスタッフがいる。なかなか見えてこない「電子書店の中の人」にインタビューした。

[渡辺まりか,eBook USER]

 電子書店、または電子書籍ストア――実際に使っているかは脇に置くとしても、わたしたちはここ数年でその存在を少しずつ認知するようになった。

 とはいえ、書店と言えば、リアルの書店(実書店)を思い浮かべる方の方が圧倒的多数だろう。いつかは電子書店もそうしたものとして、今より身近なものになっていくのだろうが、現時点で、わたしたちは電子書店のことをまだよく知らない。しかし、そこにはリアルの書店と同様、「人」が介在している。この連載は、“電子書店の中の人”にフォーカスし、どんな人が電子書店の運営に携わっているのかを紹介しながら、その電子書店の“雰囲気”を感じてもらうためのものだ。

 第9回目は、電子書店楽天Kobo イーブックストアの中の人・菊池知美さんに聞いた。

初心者だったころのことを忘れずに、分かりやすく楽しいサイト作りを

―― 11月20日には楽天ブックスとの統合強化、そして26日にはタブレット「Kobo Arc 7HD」の国内発売をアナウンスするなど、何かと話題の楽天Koboイーブックストアですが、その中で菊池さんはどんなお仕事をされているか教えてもらえますか。

菊池知美さん 菊池知美さん

編成部 UXデザイン・ディレクション課 ECグループ ブックスサービスチーム 兼イーブックジャパン事業 新規顧客開発部 新規顧客開発編成グループ・菊池知美さん(以下菊池) Webサイトの制作ディレクターをしています。具体的には、どのようなページ構成にするとお客さまが使いやすいか、どのようなメッセージを入れるとお客さまに興味を持っていただけるかを軸に考え、キャンペーンページや出版社の特集ページを制作しています。最近では、楽天イーグルスの日本一大セールやKADOKAWAグループのキャンペーンなどのディレクションを担当しました。

 また、リアル書店に出向いている営業の者から、お客さまの生の声を聞いて、サイトに反映させるようにしています。例えば、既存の楽天Koboイーブックストアは検索が不便、という声があったので、特集ページの中でキーワード検索や価格・著者絞込みができるような仕組みを作ったり、競合サービスだったらしないだろうという遊びを持たせるなど、企画ごとにちょっとした試みをしています。

―― 競合サービスだったらしないような“遊び”ですか。どんなものがありましたか。

菊池 おじさんのキャラクターを作って、その頭をクリックし続けると怒ったり、さらにクリックしたら泣いてしまったり。さらにはクーポンが隠れてたりといった仕掛けを作りました。

 特に「Koboタウン」では、Koboタウン内の各キャンペーンを使ったスタンプラリーのような取り組みなど、毎日のように訪れては楽しんで頂けるような仕掛けをあちこちに用意しています。こうした試みが数字となって成果が出ると嬉しいですね。

wmstaff009-4.jpg さまざまな仕掛けの施された「Koboタウン」。左の黄色いシャツを着ているのが「おじさんのキャラクター」
wmstaff009-5.jpg スマートフォンではおじさんをタップし続けると変化が……


―― これは楽しそうですね。ところで、今の事業部に配属されて戸惑ったことはありましたか。

菊池 実は、楽天Koboがローンチして約1カ月後の2012年8月に他の部署から異動してきたんです。

 当時、わたし自身電子書籍の知識がなかったので、異動の辞令が出たときはとても戸惑いました。お客さまにWebを通して電子書籍の良さを知ってもらうのが役目だったので、まずは自分で理解を深めなければと思い、実際にKoboを使って読書するようにしました。

 実際に使ってみると、『便利だな』と思うところがとても多くて、すぐにはまりましたね。逆に、わたしが疑問に思ったこと、つまずいたところは、きっと初めて使うお客さまも感じるところだと思うので、何も知らない状態での直感は、ページを作り上げていく上で役立ちました。

 そのほかにも、前にいた部署と雰囲気もスピード感も全然違って、それについていく必死だった記憶があります。

―― ジャンルを問わず、イチオシの書籍はありますか。

wmstaff009-2.jpg お気に入りのKobo Gloとカバー

菊池 最近気に入っているのは、『きょうは会社休みます。』です。33歳で初めて彼氏ができた女性が主人公の恋愛ものです。

 高校生・大学生が主人公の恋愛マンガは、あまりにもわたしと立場が違ってときめかなくなってしまったのですが、この作品はベッタベタの恋愛シーンが大人の女性目線で描写されているので逆に新鮮です。年下男子にきゅんきゅんしてしまいます(笑)。

 それから、全くジャンルが違いますが、冲方丁の『はなとゆめ』はとても良かったです。清少納言の華やかな生活が描かれている作品ですが『電子ビジュアル版』は数ページめくるごとに綺麗な挿絵が入っていて、どんどん読み進められました。絵のタッチがやわらかく繊細で、これも女性が好むビジュアルになっています。

―― これはカラーで読みたくなるような装丁ですね。ところで、社会人になってから興味を持つようになった分野はありますか。

菊池 イーブックジャパン事業に配属されてから、周りに本好きな人が多く、オススメを教えてもらいながら広いジャンルの本を読むようになりました。先ほどの『はなとゆめ』も、部署の先輩に教えていただいたんですよ。

―― ほんのちょっとだけ時代をさかのぼって、子どものころに読んだ本で最も印象に残っている本はありますか。

菊池 ミヒャエル・エンデの『モモ』という本が好きでした。

 細かい内容を忘れてしまったので、Wikipediaからの引用になってしまうのですが、イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれ、皆の心から余裕が消えてしまった世界が舞台になっています。その中で、貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人自身を取り戻させてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻すというストーリーなんです。楽天Koboで配信されるのを心待ちにしています!

―― 電子書籍自体、また電子書籍端末やアプリならではの機能で気に入っているものはありますか。

菊池 帰省時や旅行のときの新幹線で本を読むことが多いので、出かけ先での気分で読む本を決められるのが電子書籍の良さの1つだと思います。

 紙の本を読んでいたときは、出かける前に読む本を決めて、どうしても1冊に決められないときは2冊、3冊とカバンに入れて、重いカバンを持って出かけたのに結局全部読まなかった……ということがよくありました。

 でも、電子書籍で読むようになってからは、文庫本1冊程度の重さで沢山の本を持ち歩けますし、出かけ先の気分で読む本を決められるのがとても便利です。旅行に出かけるときはできるだけ荷物を軽く収めたいので、スマホや重さが気にならない専用端末で読書が楽しめるのはとてもありがたいですね。

―― 今後、仕事内で挑戦してみたいと思うことはありますか。

菊池 1つは、ユーザーに楽しんでもらえるようなクリエイティブ・Webデザインを作っていくことです。

 お客さまが「今日は何をやっているんだろう?」と期待を持って楽天Koboイーブックストアに何度も足を運んでくださるよう、いつ来ても飽きない、何か楽しいことをやってる、という印象を持っていただけるサイトを作っていきたいです。

―― それが先ほどの、キャラクターをクリックし続けると何かが起きる仕掛けだったり、各種クーポンだったり、というわけですね。

菊池 そうですね。今後はさらにさまざまなデザインを盛り込んだクリエイティブやキャンペーンで、ほかとは違うユニークな体験を提供できたら、と思っています。

 それから、もう1つは、Webページのユーザビリティの改善です。Koboでは18万点以上の電子書籍を扱っています。その中から、読みたい本をすぐに見つけられるか? というのはとても大事なポイントですが、現状、お客さまに満足にそれを提供できていないと感じています。

 できるだけお得に、できるだけ早く買いたい! というお客さまが、お得な情報をすぐに見つけられるようにページを設計したり、より早く簡単に、読みたい本(買いたい本)にリーチできるようなUI/仕組みを作っていけたら、と思っています。

 楽天ブックスにいらっしゃるお客さまは、電子書籍に対して「ハードルが高い」と感じていらっしゃる方が多いようです。でも今回、楽天ブックス内でも電子書籍を扱うようになり、電子書籍への動線が分かりやすくなったため、試してみようかな、という気持ちになって頂ければと思っています。今回、ご要望の多かった電子書籍のまとめ買い機能も利用いただけるようになりましたが、今後もさらに、使いやすさを提供していきたいです。

―― 楽しみながら、店作りしているのがビンビン伝わってきます。今日はどうもありがとうございました。

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