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» 2013年08月23日 14時00分 UPDATE

電子書籍制作の最高の方法とは

IDPF Digital Book 2013で実施された調査は、出版社が電子書籍の制作を外注するのではなく、内製する方向に向かいつつあることを示している。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 自社書籍をデジタル化し、さまざまな販売チャネルを利用してマーケティングすることに関して言えば、出版社は岐路に立っている。ビジネスチャンスとみて電子書籍制作サービス向けのワンストップソリューションプロバイダーとして受け入れられようとする企業は引きも切らない。電子書籍の制作ラインを構築する上で現在最良の方法は何だろうか。自社技術を開発しすべてを内製化するか、サードパーティに外注するか、どちらが良いのだろうか。

 どのプロセスが自社に最適なのかを評価する上で、電子書籍制作の現状を理解しておくことは非常に重要だ。先日、ニューヨークで開催されたIDPF Digital Book 2013では、スタートアップ企業・既存出版社・業界専門家を含む非公式のアンケート調査が実施されており、興味深い結果が出ている。

 回答した出版社のうち、約41%は電子書籍制作を熟練したサービスプロバイダーに外注していた。しかし一方で、45%が完全に電子書籍制作の外注から脱却したとリポートしており、電子書籍制作戦略は内製化する方向へ移行しつつあるようだ。Open Road Integrated Mediaも内製化に向かっている1社たが、同社のニコル・パッセージ編集長は「おととし、ほとんどすべての電子書籍への変換作業を外注しましたが、最近内製ソリューションを採用したことで、効率化を図りつつ成果物をコントロールできるようになりました」と話している。

 電子書籍の内製化は出版業界にとって最近出現した大きなトピックで、フレームワークを開発する際には幾つかの大きな懸念点――コスト・品質・技術的要件を含む――が存在する。書籍をデジタル化する内製システムの開発はどの企業にでもできることではなく、調査した出版社の70%は、電子書籍の内製力に関連するコストが人的資源と制作ツールを含めて高くつくと回答している。

 電子書籍制作の外注は現在業界内で主流となっているようだが、長期間存続可能なソリューションではないかもしれない。調査した出版社の40%は外注先が電子書籍制作にどのようなツールを利用しているのかさえ知らないと回答した。サードパーティに頼ることでコストは抑えられるかもしれないが、作業内容や利用しているツールに無自覚であることと引き換えになっている。これは制作先への依存度を強めることになり、制作プロセスに対する創造性を失うことにつながる。

 魅力ある内製電子書籍制作プラットフォームを開発した出版社は人材の外注から始めることが多く、それにより制作プロセスの把握を行った。人材の外注を行うことで独自の内製ソリューションを開発する技術的知識を習得し、ほとんどの企業は外注・内製を同時に行ったことでかなり満足度が高かった。もちろん、程度の差こそあれ、内製に移行した回答企業は以前そうした作業を外注しており、どの企業も、外注と比較して、追加人件費を考慮しても内製する方が効率性が高くトータルでのベネフィットが大きかったとしている。

 出版業界はどのプラットフォームが最良なのか理解に努めている。電子書籍制作に特化している企業に業務の一部を外注するのは容易だが、すべてを内製で行うのは一部の企業が考えるほど難しくない。Ingram Lighting Soureは電子書籍を出版し最適化するかなり魅力的なツールを多く提供している。Microsoft Wordで作成したファイルを単純にアップロードし、KindleとEPUB向けに最適化できる非常に高い自由度を提供するCalibreなどの無料プログラムも数多く存在する。

 大手出版社の全売上高の24%を電子書籍が占め、その割合は今後数年でさらに高まっていくはずだ。紙版・電子版コンテンツに対するコントロールを高めることは誰もが望むことだろう。



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