こんなに違う――Nexus 7で主要電子書店のビューワを比較画像編(1/3 ページ)

電子書籍の読書体験を語る上でビューワのできは重要な要素。今回は”画像表示”という観点で主要な電子書店のビューワの違いを徹底比較してみた。コミックに強いビューワはどこだ?

» 2012年12月18日 08時00分 公開
[鷹野 凌,ITmedia]
Nexus 7

 これまで、さまざまな電子書店を「ラインアップ」「本の探しやすさ」「購入しやすさ」「読みやすさ」「保存性」という観点で、1件づつ縦掘りする形のレビューを行なってきた。実際に各電子書店をじっくり利用してみると、そこで得られる「読書体験」にもかなり違いがあることに気付かされる。本稿では、「ビューワの読みやすさ」という観点で、複数の主要な電子書店のアプリを横軸で比較する。前回は「文字編:こんなに違う――Nexus 7で主要電子書店のビューワを比較」で、文章のリフロー表示を中心とした比較を行ったが、今回は画像表示について比較する。

 評価に用いたのは前回に引き続き、9月に発売されたGoogleの「Nexus 7」。電子書籍を読むのにお勧めのAndroidタブレットの1つ。なお、Android4.2.1にバージョンアップ済みだ。

左手だけで持って親指でページめくり操作ができるサイズ
Androidのバージョンは4.2.1

比較対象電子書店

 本稿で比較対象とした電子書店は、「BookLive!」「紀伊國屋書店BookWebPlus」「GALAPAGOS STORE」「Kindleストア」「ReaderStore」「BOOK☆WALKER」「GooglePlay ブックス」「eBookJapan」の8個所。詳細なレビュー『電子書店完全ガイド』はこの記事の末尾にリンクを張ってあるのでご参照頂きたい。検証に用いた各Androidアプリのバージョンは「BookLive! Reader(12月3日更新のバージョン2.2.0)」「紀伊國屋書店 Kinoppy for Android(11月26日更新のバージョン1.3.15692)」「電子書籍 GALAPAGOS(12月7日更新のバージョン2.3.10)」「Kindle(12月5日更新のバージョン3.8.0)」「ソニーの電子書籍 Reader(12月5日更新のバージョン3.1.1)」「BOOK☆WALKER for Android(12月6日更新のバージョン3.0.0)」「GooglePlay ブックス(11月14日更新のバージョン2.6.41)」「電子書籍・コミックリーダーebiReader(11月28日更新のバージョン2.1.0.0)」だ。

 なお、最終的な表示(レンダリング)はビューワが行うが、コミックの場合は出版社が納品しているデータによっても品質が左右される。可能な限り同じ条件で比較するため、同じ書籍が販売されていない場合は除外した。また、記事にする時点でスクリーンショットの画像サイズを縮小しPNGをJPGに変換しているが、Adobe Photoshop Elements11の最高画質で圧縮している。モスキートノイズ(蚊の大群が飛んでいるような画像の乱れ)が発生している場合は、元画像からそういう状態であると捉えて頂いて構わない。

「フルメタル・パニック!シグマ」(富士見書房)の場合

 こちらの作品は、GALAPAGOS STOREでは販売していない(本稿執筆時点)。

表紙

 Kinoppyは上下にメニューが入る分、若干小さく表示される。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

(C)2012 HIROSHI UEDA・SHOUJI GATOU・SHIKIDOUJI/Fujimishobo


 ソニーReaderは上下の余白がグレーになっている。

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader
BOOK☆WALKER for Android

 eBookJapanは上部の通知バーが表示された状態になっている。

GooglePlayブックス
電子書籍・コミックリーダーebiReader

表紙の拡大表示(最大)

 どのビューワも、ダブルタップかピンチアウトで拡大表示できる。本稿ではレイアウト上縮小した画像を用いているが、ここはぜひとも画像をクリックして、拡大画像で確認してほしい。髪の毛の上の白い領域に、低圧縮画像で発生しがちなモスキートノイズが発生している場合があるのが分かると思う。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

 Kindleはこれ以上拡大することができない。1ページを4分割した状態が最大のようだ。ソニーReaderとBOOK☆WALKERも、ここまで拡大するのが限界。BOOK☆WALKERは、縦横にうっすらと線が入っているように見える。

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader
BOOK☆WALKER for Android

 GooglePlayブックスはこの中では最も拡大できるが、画質が荒く輪郭がぼやけて見える。eBookJapanの画質はこの中では最もくっきりしていて綺麗だ。

GooglePlayブックス
電子書籍・コミックリーダーebiReader

モノクロページ

 コミックのモノクロページは、スクリーントーン部分にモアレ(干渉縞)が発生することがある。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader
BOOK☆WALKER for Android

GooglePlayブックス
電子書籍・コミックリーダーebiReader

モノクロページの拡大表示(最大)

 ここも画像をクリックして、拡大画像で確認してみてほしい。モノクロページの場合、モスキートノイズがかなり目立つ場合がある。表紙画像と同様、eBookJapanは一番モスキートノイズが少ない。出版社は同じなのだが、配信先によってデータが異なるとしか思えないほどの違いがある。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader
BOOK☆WALKER for Android

GooglePlayブックス
電子書籍・コミックリーダーebiReader

見開きページ

 どのアプリでもデバイスを横向きにすると見開き表示ができるが、左右ページにまたがる絵をどのように処理するかは違いがある。

 BookLive!は中央が紙と同様無地の白になっている。Kinoppyは白を基調としてうっすらと影がついているが、設定の[ページに陰影を付ける]から解除できる。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

 KindleとReaderは、中央に余白がない。そのため、左右の絵にズレがあるのがはっきり分かる。

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader

 BOOK☆WALKERの中央は黒い余白だ。GooglePlayブックスは、1ドットの白いラインがある。

BOOK☆WALKER for Android
GooglePlayブックス

 eBookJapanは中央に余白なし。このページに関しては、ほかのストアと色が若干異なるのが分かる。

電子書籍・コミックリーダーebiReader

見開きページの拡大表示(最大)

 拡大してみると、BookLive!とKinoppyは中央に余白があることで、元絵から切り落とされている部分を補っていることがよく分かる。紙の本と同じような処理と言えるだろう。

BookLive! Reader
紀伊國屋書店Kinoppy for Android

 KindleとReaderの場合は余白がまったくない。元データが見開きを考慮している場合はこの形の方がよいかもしれないが、作品によっては若干違和感があるかもしれない。

Kindle for Android
ソニーの電子書籍 Reader

BOOK☆WALKER for Android
GooglePlayブックス

 eBookJapanの場合も、中央に余白はない。

電子書籍・コミックリーダーebiReader

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