ミドル世代の視点でGALAPAGOSホームモデルを使ってみた大人のためのGALAPAGOS講座(1/3 ページ)

10型クラスのワイド液晶を搭載しながらも汎用性のあるタブレットPCとは一線を画し、電子書籍リーダー端末に特化したGALAPAGOSホームモデル。細部にツメの甘さが残るところもあるが、マジメに作られたハードウェアだと思う。では、ソフトウェアおよびユーザーインタフェースはどうなっているのか、気になる点を確認してみた。

» 2011年01月07日 10時00分 公開
[池田圭一,ITmedia]

GALAPAGOS端末単体で何ができるのか?

 シャープのクラウドサービス「GALAPAGOS」は、電子書籍データの販売(TSUTAYA GALAPAGOS)、インフラの整備、端末の供給など電子書籍を含めた総合的なクラウドメディアサービスを提供するものだ。統一したブランド展開によりユーザーに安心感を与え、電子書籍を浸透させようとの意気込みが見て取れる。

 しかし、裏を返せばこれは「ユーザーの囲い込み」にほかならない。電子書籍の著作権保護機構の問題もあるが、これらのサービスを前提にするリーダー端末(メディアタブレットGALAPAGOSモバイルモデル/ホームモデル)では、できることが限られている(制限されている、といってもよい)。先に、電子書籍リーダー以外の機能からみていこう。

 GALAPAGOSホームモデルが内蔵する無線LAN機能(IEEE802.11b/g)は、メディアタブレット同士のアドホック通信には非対応で、アクセスポイント(無線LANルーター)にしか接続できない。また接続後に可能なのはインターネットアクセスのみで、家庭内LANには参加できず、無線LAN経由での電子書籍ファイルの転送は不可だ。それに関係して、今のところは電子書籍の購入先もTSUTAYA GALAPAGOSに限定されている。

GALAPAGOSで無線LANアクセスポイントを一覧表示したところ。接続優先設定などの管理はできない(写真=左)/電源キーを長押しして「機内モード」を使うと電波出力を一時的に停止できる(写真=右)
メニューの「アプリケーション」をタップすると、導入澄みアプリが表示される

 そのほか、ブラウザ(Webブラウザ)、Yahoo!天気予報、Yahoo!メール、Yahoo!ショッピング、Yahoo!オークション、mixi for SH、twit SH、GamePackといったアプリケーションがプリインストールされている。いずれも同社のスマートフォン「SHシリーズ」用に作られたものを少し手直ししたもので、メディアタブレットに最適化されているとは言いがたいものだ。

 例えばWebブラウザの設定画面である。1画面からはみ出るほど詳細な設定項目があるが、上下キーなどスマートフォンに装備されたハードウェアキー操作を前提にした設計なのだろう。画面スクロールなど画面タッチだけでは少し操作しにくいように感じた。


ブラウザの設定項目。画面タッチ操作だけでは少し扱いにくいものだった

 これはブラウザでのURL入力、mixi for SHやtwit SHでのID入力などでも同様である。もともと低解像度のスマートフォンを想定した仕様となっているためか、文字入力欄が極端に小さく、大部分を余白が占めている。文字入力システムも、予測候補表示などの文字入力支援機能は用意されているが、大画面のメディアタブレットであるにもかかわらず、携帯電話のキー配置に準拠したユーザーインタフェースが基本となっているのが残念なところだ。

文字入力用画面。携帯電話のキー配置が基本で、手書きパッドやQWERTY配列の画面キーボードもあるが、PCのキーボードに慣れた筆者には使いづらいものだった

 せめて一般的なAndroidアプリケーションが使えればよいのだが、GALAPAGOSモバイル/ホームモデルはAndroid OSをカスタマイズしたもの(公式にはLinuxとされている)を搭載しており、ユーザーにアプリケーションのインストールは開放していない。この辺り、「囲い込み」によるデメリットが象徴されているようにも見えるが、ともあれ、搭載アプリケーションが貧弱であることを考えれば、現時点のGALAPAGOSホームモデルに一般的なネットワーク端末としての機能は期待しない方がよいだろう。

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