戦後70周年、「終戦の日」に読みたいWebコミック4選

無料のWebコミック作品の中から、お勧めをテーマに沿ってご紹介。

» 2015年08月15日 06時00分 公開
[宮澤諒eBook USER]

 8月15日は、第二次世界大戦の終結を記念した「終戦の日」。2015年は戦後70周年となる。宮内庁のWebサイトでは8月1日、昭和天皇が終戦を告げた「玉音放送」の原盤が公開され話題となった。

 今回は第二次世界戦争に関連したWebコミックを中心に4作品を紹介する。どれも異なるアプローチから戦争を描いた作品で、長編ではないもののズシリと心に響く作品となっている。

戦争めし(魚乃目三太)

『戦争めし』(出典:チャンピオンクロス) 『戦争めし』(出典:チャンピオンクロス)

 『ヤングチャンピオン』『烈』『別冊』で同時連載された、戦争と食をテーマとした作品。戦場の兵隊と飯、戦艦大和とラムネ、戦時下のお寿司屋さん、餃子と引き揚げ兵などさまざまなエピソードが描かれている。

 Webコミックサイト「チャンピオンクロス」では、1944年、アメリカとの戦いが激化する南の島でのとある歩兵連隊を描いた「幻のカツ丼」(前・中・後編)が公開されている。作者の魚乃目三太さんは、セリフのない食漫画『しあわせゴハン』などの作品も発表している。

空は赤く落ちる(浅見ヒッポ)

『空は赤く落ちる』(出典:浅見ヒッポさんのWebサイト) 『空は赤く落ちる』(出典:浅見ヒッポさんのWebサイト)

 舞台は近未来(22世紀初頭)の沖縄。2053年に日本がアメリカから普天間基地を接収したという設定で、訓練校を卒業して同基地に所属することになった主人公・知名崎和義と、その仲間たちの日々を描く。

 「機動警察パトレイバー」のレイバー(多足歩行型作業機械)のような二足歩行ロボや人間のクローンが登場したりとSF要素は盛り込まれているものの、戦闘シーンよりは若者同士の人間ドラマがメインとなっている。

原爆に遭った少女の話(さすらいのカナブン)

『原爆に遭った少女の話』(出典:さすらいのカナブンさんのWebサイト) 『原爆に遭った少女の話』(出典:さすらいのカナブンさんのWebサイト)

 8月10日にHNK総合で放送されたノンフィクションドラマ「一番電車が走った」。その原作となったのがこの漫画。

 作者の祖母・雨田豊子さんの体験を基にした作品で、路面電車の運転手を目指し広島電鉄家政女学校に入学したところから、原爆が投下され、戦争が終結するまでを描いている。ところどころに説明や実際の写真が掲載されており、理解を助けてくれる。英語版もあり。

ヒロシマを生きた少女の話(さすらいのカナブン)

『ヒロシマを生きた少女の話』(出典:さすらいのカナブンさんのWebサイト) 『ヒロシマを生きた少女の話』(出典:さすらいのカナブンさんのWebサイト)

 同じくさすらいのカナブンさんの作品で、豊子さんの後輩・小西幸子さん視点で描かれた「原爆に遭った少女の話」のスピンオフ的作品。99ページまで描かれているが、半分近くは下書きの状態となっている。

 さすらいのカナブンさんは「原爆に遭った少女の話」のあとがきで「子や孫の世代がどうやってその体験や教訓を伝えて行くかが、今後の課題だと思います」と語っているが、こういった作品こそ戦争の体験を伝える手段として最適なもののひとつだろう。戦争は国という枠、広島の原爆は県という枠でとらえられがちだが、体験した人の話をこうやって形にすることで、(当たり前だが)ひとりひとりにドラマがあったことを現在に伝えてくれる。

手塚治虫と戦争

手塚治虫と戦争 ©手塚プロダクション 手塚治虫と戦争 ©手塚プロダクション

 Webコミックとは違うが、手塚治虫さんのメッセージを伝えるWebサイト「手塚治虫と戦争」が7月15日に公開された。年表形式となっており、手塚さんの漫画作品のセリフや肉声動画を交えて、手塚さんの戦争体験を紹介している。

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