企業概要ファイル「COSMOS2」から出版社、出版取次業者、書店経営業者を抽出し、2013年度と5年前の2008年度の売上高や損益状況などを分析。
帝国データバンクは7月23日、出版関連業者の経営動向調査結果を発表した。
同調査は収録件数146万社の企業概要ファイル「COSMOS2」から出版社、出版取次業者、書店経営業者を抽出し、2013年度と5年前の2008年度の売上高や損益状況などを分析したもの。これによると2013年度の出版業界全体の総売上高は約5兆997億3500万円で、2008年度の総売上高約6兆3495億7500万円と比べ19.7%減少。減少率が最も高かったのは出版社、次いで書店経営業者となった。
2013年度の出版関連業者数は2672社で、2008年度から17.6%減少。減少率が高い順に書店経営業者、出版社、出版取次業者となった。2013年度に黒字を確認できた出版関連業者の比率は35.6%、2008年度は39.8%と微減。業態別で見ると、最も悪化が著しかったのは出版取次業者、次に書店経営業者、出版社となった。
2008年度と2013年度で利益比較が可能だった1327社を見ると、増益となった企業の割合は44.0%、減益は56%。年商規模別に見ると、50億円以上は減益企業比率43.1%、10億〜50億円未満が53%、10億円未満が58.5%と年商規模が小さくなるにつれ減益企業比率が高くなっている。
同社は2013年度以降、慢性的な業界不振が続く中で消費税の引き上げなどが雑誌・書籍の販売不振に拍車をかけており、6月に準大手の出版取次業者・栗田出版販売が民事再生法の適用を申請したことで書籍流通の業界構造が大きく変化する可能性があると指摘。2013年度の出版関連業者倒産件数は42件、2014年度は72件まで増加し、今後も出版業界は厳しい業界環境が続くと予想している。
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