同人誌を知るための同人誌『CIRCLES'』司書メイドの同人誌レビューノート

秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。

» 2015年06月26日 12時00分 公開
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 一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメやマンガのパロディや、コスプレの写真集などさまざまなジャンルがありますが、こちらの連載では、私設図書館「シャッツキステ」の司書メイド・ミソノが、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心にご紹介します。作家の「好き」が形になった同人誌、その魅力を体感してください。

CIRCLES' vol.2 CIRCLES' vol.2

紹介する同人誌

タイトル:『CIRCLES' vol.2』

著者:かつゆー、シアン

サークル名:Circles' Square

形態:B5 42ページ 表紙カラー・本文カラー

Webサイト:http://csqr.org/

Twitter:かつゆー(@katsuyu_) シアン(@hachiman_cian

同人誌入手先:COMIC ZIN

参加予定イベント:コミックマーケット88 8月15日(1日目)プ-30a


 本連載ではオリジナル、創作の同人誌を中心にレビューをしていますが、ミソノの同人誌歴の始まりはアニメのパロディ作品でした。いわゆる二次創作と呼ばれるものが大好きで、長い間、わたしの同人誌好きゲージは「二次創作同人誌楽しい!」という気持ちに満たされてきました。ところが近年、オリジナルの同人誌も勢いがあって、とっても楽しそう……と、ちらちら気になりはじめ、ふと顔を上げたら、押し寄せるみたいに創作同人誌の世界が広がりました。

モノ作りの気持ちを知る

 創作同人誌ってなんだろう? どんな本があるの? どんな人たちが作っているの? そんな疑問にこの本が答えてくれます。

 まずは、「創作で同人誌を出しているサークルさんの声を聞いてみたい!」と思った方、「このサークルに訊く」という特集をどうぞ。同人誌を始めたきっかけや、創作同人誌の楽しさなどがインタビュー形式で掲載されているのですが、イラスト、マンガ、日本酒の情報、デザインについてなど、いろんなジャンルがきちんと押さえてあります。活動方向の違う5サークルさんの言葉は、方向性がばらばらなのが新鮮!

イラスト、マンガ、日本酒情報誌サークルさんも! 多彩なジャンル、作家さんたちのテンションも多彩です

創作同人誌即売会 コミティアの代表が語る「創作同人誌とは」

 創作同人誌が発表される場や、入手する場も気になるという方には、「創作同人のふるさとへ コミティア入門」。

 「コミティア」は創作同人誌の即売会で、年に4回開催されています。実は創作同人誌だけを扱う即売会って、あまり多くはありません。その中でもコミティアは開催回数が100回を超えて、近年どんどん盛り上がっているイベントです。この本では、そのコミティアの代表・中村公彦氏のロングインタビューを掲載。「会場をどのように見て回れば、より楽しめるのか?」という質問に代表自ら答えてくださっているのも嬉しい! この本が発行された2012年から時が経ったからこそ、現状と併せて意義深く読むこともできるのではないでしょうか。

コミティアの歴史から、創作同人の魅力についてまで、話が深まっていきます

同人誌のための同人誌

 著者の方は2011年にこの「CIRCLES'」シリーズをスタートして以降、創作、二次創作、そして締め切り間際の修羅場についての本など、テーマを変えながらも「同人誌を知る、同人誌を楽しむ」という視点でさまざまな本を出されています。

 今回の本のページ隅には、「同人誌を楽しみたい全ての人へ」とそっと書かれていました。もう同人誌を楽しんでいる人も、これからの人も「創作同人誌界に興味のある人、おいでよー!」と作り手の方が全力で手招きしてくれているような本になっています!

ミソノ流ワンポイント用語解説

創作同人誌

 同人誌即売会では、キャラクターもストーリーも一から自分で作り上げた元ネタのないマンガや小説、特定のものに的を絞ったレビューや体験記などが、創作同人誌として取り扱われることが多いです。

 これまでは「流行に流されずコツコツと作り上げる堅実な作品たち」というイメージで、本の装丁も落ち着いた感じが多い印象でしたが、近年では創作同人誌を積極的に取り扱う書店さんが出てきたことも影響してか、創作同人誌界がぐぐっと盛り上がってきました。内容も「今回はこれに注目してみた!」という単発で勢いのあるものも増えたように思います。装丁も華やかになってきているのも、そんな作り手の機動力に関係しているのかもしれませんね。

ミソノ:いつでも優しい笑顔で、皆の心をいやしてくれる。普段は大きな図書館で司書をしており、司書ならではの本に関するお話は、日常では知る機会の少ない情報満載で、一聞の価値あり

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