本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日はミソノからの紹介です。
街路樹がすっかり葉を落として見通しのよくなったこの街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
彼女の好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。
サヤちゃんは「スクラップブック」を知っていますか?
写真アルバムみたいなもののことですか?
そうそう。写真ではなく、身の回りの気になるものを何でもノートにぺたぺた貼りつけて、思い出保存! という感じで作られるわねー。切符やチケット、ジャムの瓶ラベルとか、紙製品をコレクションしている方をよく見ます。
この本のくん・・・・・・くんしゅうじょう? というのがそのスクラップブックなんですね。
幕末から明治、大正時代にかけての多様な紙製品、こすりだして型をとったもの、そして時々ちょっとした実物の小物なんかも貼りこんである「貼り交ぜ帖」。
作った田中芳男さんは、慶応3年にパリ万博に参加したり、上野の動物園や博物館を作ったり、国内でも数々の万博を実施したりと、とにかくすごい人。そんな人が日常生活で接する紙製品を中心に、こつこつぺたぺた貼り集めたものが100冊もあります!
100冊!?
大学図書館に大切に保存してあるその現物を1枚1枚丁寧に閲覧して、著者のモリナガ・ヨウさんが、「これ面白いよー!」とグッとくるページをチョイスしてくださっているのが本書です。
著者のモリナガさんは、イラストルポをたくさん描かれる方で、戦車などを取り上げてらしたり、子ども向きな新幹線の本も出されていたりと多方面で活躍されている方で、付けられたコメントも「へー、そうなのね!」「そんなことが!」と、するっと頭に入る分かりやすさです。
なになに・・・・・・パリ万博に出品されていたタイルの見本帳、鹿鳴館で出されていたお食事メニュー表、鶏卵のラベル? 何でもありですね!
その当時の旅行や日常で見聞きしたそのままを貼り付けたのがよく分かって、遠い時代が目の前にパッと現れた感じです。
この鶏卵のラベル、きれいですね。凝った縁取りに、富士山と帆かけ舟の図が鶏卵のラベルだったなんて。
そのころ鶏卵は贈答用にも使われたみたいなので、プレゼントにふさわしい豪華なラベルなのかしら。どのページもカラーなのが、またいきいきと時代を感じられて・・・・・・、新書サイズなので「次は何かなー」と手軽に読み進められるのもいいですね。
そうそう、豪華なラベルと言えばこれ!
鶴肉の缶詰・・・・・・! 鶴がお花を伴って、舞ってますよ!
鶴が表に描かれているだけで、ぜいたくさがぐっと増すのに、それが缶詰肉というギャップ・・・・・・。当時は鶴肉は珍しくなかった、とコラムに書いてあります。
このコラム、「田中さんのお孫さんはよくパン屋にパンを買いに行かされた」とか、ちょっとしたエピソードを交えて語られているので、田中さんがなんだか身近になります。お菓子が大好きで「お菓子を讃(たた)える歌」を作ったなんて、可愛い方なのかしらーと、大偉人に思いをはせてしまいます。
あ、その「お菓子の歌」もちゃんと載ってる。
そのほかにも、象見物のチラシ、真珠メーカーのカレンダー、外国のお菓子の包み紙・・・・・・と、もう見どころたくさん! そして、これらを保存して閲覧できる、という図書館の意義についても著者のモリナガさんが触れてくださっていて、司書としても嬉しくなる1冊です。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:64% レイラ:95% サヤ:91%
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