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» 2014年12月12日 12時00分 UPDATE

私設図書館シャッツキステ82冊目:SF・ファンタジー好き必見 過去改変モノの傑作『未来へ……』

本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日はレイラからの紹介です。

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 暖かそうな外套の人々が行き交うこの街の片隅に、メイドが営む私設私設図書館がありました。

 そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。

 彼女の好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。

SF・ファンタジー好き必見 過去改変モノの傑作『未来へ……』

レイラ

先月の11月に、初めて作家さんのサイン会&トークショーに行ってきたの。ミソノさんは、行ったことある?


ミソノ

ありますよー! 大好きな先生のサインをいただきたくて、ドキドキしながら列に並んだ思い出があります。


レイラ

そうなのね。サイン会はもちろん、トークショーでの先生のお話もすごく楽しかったわよ。


ミソノ

どなたのサイン会に行かれたんですか?


レイラ

SF作家であり、ライトノベルの先駆者、そして私がヤンデレと呼ばれるジャンルが好きになった原点でもある新井素子先生です。


ミソノ

新井素子先生の作品と言えば、ある作品で深夜1時に奥さんが残業で遅く帰ってきた旦那さんのためにてんぷらを揚げる姿が怖かった記憶があります。


レイラ

『おしまいの日』のワンシーンかしら。主人公の奥さんが、本当に旦那さんのことが大好きで……あれは良いヤンデレ作品だったわ。


ミソノ

と、いうことは今回のオススメもヤンデレ小説なのでしょうか?


レイラ

いえ、今回はパラレルワールドものなので、ジャンルはSF……いえ、ファンタジーですね!


『未来へ……』(新井素子/角川春樹事務所) 『未来へ……』(新井素子/角川春樹事務所)

ミソノ

ファンタジー! 良かった、ちょっと安心しました。


レイラ

今回お薦めするのは新井先生の最新作で、サイン会もこの本の発売を記念して開催されたものだったのよ。


ミソノ

新井先生と言えば、「新口語文」とも評された独特な語り口が特徴ですよね。


レイラ

そうそう。地の文で「えっと、あたしは……」とか「〜なのだ。が。」とか。この文体が苦手で読まないって方もいるけれど、これに影響された作家さんも多くいらっしゃるし、何よりすごくもったいないと思うの。こんなに面白いのに。


ミソノ

表紙の2人の女の子の絵がほわほわーんとして、可愛いですね。


レイラ

そう、この物語の主人公は双子の姉妹のお母さんなの! 新井先生がお母さんを主人公にしたお話を描くって、すごいことなのよ!

どうすごいのかは、『チグリスとユーフラテス』というSF作品や、私小説の要素を含んでいる『銀婚式物語』を読んでいただければと! あ、でもそれはこの作品の主人公が「お母さん」であること自体がすごいのを伝えたいだけなので、特にこの2作品を読まなくてもこの『未来へ……』は楽しめます。

もともと「家族」をテーマにしたお話に深みを感じさせてくれる作家さんでしたけど、今までは「夫婦」や子ども視点からの「親子」や「兄弟姉妹」がメインで、とうとうここに「母親」の視点が入った事でその登場人物間の人間関係の完成度が、他の作品と比べて格段に上がってると思うの!


ミソノ

(どうしよう、レイラさんがいつになく熱い)。



レイラ

お話のあらすじとしては、15年前に事故で双子の姉の方を亡くしたお母さんが、生き残った双子の妹が成人した日をきっかけに夢を通して過去の自分とコンタクトを取ることが出来るようになったので、なんとか事故から自分の娘を守ろうとがんばるお話です。


ミソノ

(レイラさんが今度はなぜかドヤッなお顔をしている……)。



レイラ

新井先生はご自分の作品のあらすじを語ろうとするとなぜか本編よりもあらすじが長くなるという特殊能力をお持ちなので、先生の作品のあらすじを語る時は、ちょっと気合いが入ります!


ミソノ

なるほど。



レイラ

最近のアニメ作品を例にあげて言うと「魔法少女まどか☆マギカ」や「STEINS;GATE(シュタインズゲート)」で扱われた、いわゆる「過去改変」がこの作品のギミックなのだけど、この過去改変で私が気になってたある部分を「未来へ……」では気持ち良く昇華してくれたのよね。


ミソノ

気になってた部分、とは?



レイラ

例に挙げた作品はどちらも大好きなのだけど。結局、過去改変って現実否定じゃない? より良い未来を目指して、と言えば聞こえは良いけれど、やり直しの効かない人生を魔法や発明品の力を使って都合よく変更するのってちょっと都合良すぎないかなって思う時があって……。


ミソノ

うーん。現実では起こり得ない、夢があるお話だからこそ過去改変ものは魅力的なわけですが、確かにご都合主義とも言えるかしら。



レイラ

あ、ご都合主義と言えばこの作品もかなり都合の良い展開をしてる場面があるわ。でも、そうじゃなくて「なぜ、過去をやり直したいのか?」……まぁ、双子の姉に死んで欲しくないからなのですが、この作品のラストは、そのお母さんの強い思いへの報い方がすごく……良いのよ。ネタバレになるからこれ以上言えないけれど。ぜひ、読んでほしい。


ミソノ

新井素子先生の作品、みずみずしい心の琴線に触れるような本だと思います。新作をこんなに熱くレイラさんが語ってくれて、ページを開くのが楽しみです!


ミソノの好感度パラメーター

本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?

エリス:64% レイラ:95% サヤ:91%


本日のメイド

ミソノ ミソノ:いつもニコニコ、図書館を影から支える司書メイド。好きなジャンル:絵本、児童書、旅行記、本、紙、図書館
レイラ レイラ:森育ちのツンデレ魔女。お休みの日には愛猫とお気に入りの紅茶でまったり読書。好きなジャンル:文化 ゲーム ファンタジー 魔女 雑学

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