本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日は初登場のトーヤからの紹介です。
色とりどりの落ち葉が道を彩るこの街に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
司書メイドの好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。どうやら今日はいつものメイドとは違うようですよ。
ミソノさん! ミソノさんは電車で本を読んだりした時に涙が込み上げてしまったり、笑いを抑えられなかったりした事はありますか?
ありますよー。そういうときは、ちょっと口元を手で覆ったり、何気ないふりをしながら何とか平静を装いますけど、なかなか抑えられなくて困るわねー。
ですよねー。私はこの作品を電車で読み、ある部分で笑いを抑えられなくなって、しばらく本で顔を隠しプルプル震えて過ごす羽目になった思い出があります。
今ここで笑ってはいけないと思うほど可笑しくなってしまうのかしら。一体どんなお話なの?
まず、主人公がふと遊んで暮らしたくなり、毎日酒浸りで自堕落な生活を送っていたら妻に逃げられてしまうところから始まります。
あらぁ……。「ふと遊んで暮らしたくなり」「酒浸り」「自堕落な生活」と、なかなかにダメなキーワードが続出ねぇ。
そうなんです。とにかく主人公が終始行き当たりばったりで、自堕落で、その癖変なところで世間体を気にしたり見栄を張ったりで本当にひどいんです。でもなぜか憎めないという。で、妻も居ないしお金も無くて酒は買えないし、家にあるすぐ転倒するふざけた大黒の置物に腹が立ってきて捨てに行こうとするのですが、年下の友人・菊池も巻き込んでどんどん異常な展開になっていくんです。
異常な展開!? 大変な事件に巻き込まれたりとか?
それが大きな事件というのはなく、日常の中にどんどんおかしな人達が登場して……。身近に居そうでありながら、すっとんきょうな人達の言動がひどすぎてもはや主人公と菊池すらまともに思えてくるのです。
身近に居そうなの? ちょっと怖くないかしらー。
はい、怖いんです。私の個人的なこの作品のハイライトは、主人公と菊池がお金が無いので古着屋のアルバイトを始めるところです。電車で読まない方がいいと思います。
電車で読んでいて2人がアルバイトを始めそうになったら、そっと本を閉じた方がいいみたいね……!
町田康さんは、この『くっすん大黒』で小説家デビューをしたのですが、もともとパンクバンドを組んだり、映画に出たりしていた方です。音楽活動をずっとされていたからか、小説でも文章がとてもテンポが良く読みやすいんです。
独特の言葉のチョイスというか、変な言い回しや擬音を使ったりするところも魅力だなあと思います。よく落語のようだとも言われているみたいです
変な擬音? 気になるわ……。
「くっすん大黒」と一緒に収められている「河原のアパラ」も、すごく面白いです! どちらも導入からしてとても嫌な予感がするダメ人間の話です。主人公の成長とか、感動とか愛とかは他の作品にまかせて、ぜひこのダメっぷりに浸ってみて欲しいです!
やっぱりダメなの!? ダメなのに何だか楽しそう!
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:60% レイラ:90% サヤ:91%
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