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» 2014年11月07日 17時00分 UPDATE

まだ見ぬお宝を求めて:それいけ! デジコレ探索部「第19回 『文藝春秋』を刊行した有名作家って?」

日本の貴重なデジタル化資料を公開している国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)。本連載では、デジコレで見ることができるデジタル化資料の中からコレは! というものを探し出し、紹介していきます。

[宮澤諒,eBook USER]

 文藝春秋発行の月刊誌『文藝春秋』。ある作家の手によって創刊されたものなのですが、誰だかご存じですか?

んー、聞いたことあるようなないような。

 その作家とは、『父帰る』や『恩讐の彼方に』などの作品で知られる菊池寛です。「直木賞」や「芥川賞」を設立したという話の方が有名なのかもしれませんね。

へぇー、私には博打が好きだったっていうイメージの方が強いわね。

 それはマニアックな……。確かに、現在日本で最も歴史のある麻雀連盟で初代総裁を務めたり、競馬入門書として名高い『日本競馬読本』を書いたり、そっち方面でも有名な人ですね。馬主でもあったようですし。

 話は戻りますが、文藝春秋は1923年1月に菊池寛が文藝春秋社を設立し刊行を始めました。価格は1部10銭(現代の価格にすると400円ぐらい)、発行部数は3000部ほどだったそうです。

 1923年9月の関東大震災によって発生した火事で9月号が焼失し、休刊となるという事態にも見舞われますが、その後何とか部数を伸ばしていきます。しかし、今度は菊池寛が太平洋戦争中に、「文芸銃後運動」という文学者による翼賛運動を発案したがために、戦後、公職追放(戦争犯罪人などが、公職に就くことを禁じる法律、GHQにより制定された)によって活動を制限されてしまいます。

 公職追放により文藝春秋も廃刊の危機を迎えましたが、池島信平・鷲尾洋三が編集長に、佐々木茂索が社長となり、新たに「文藝春秋新社」として再発足しました。

そして現代に至るというわけね。

 現在の文藝春秋と創刊時の文藝春秋を主な記事で比較してみましょう。

 まずは文藝春秋2014年11月号です。文藝春秋のWebサイトから中吊り広告の画像を引用させていただきました。

『文藝春秋』2014年11月号(出典:文藝春秋Webサイト) 『文藝春秋』2014年11月号(出典:文藝春秋Webサイト)

 記事のジャンルは政治や歴史、軍事などのほか、芸能やスポーツ、書評や作家の連載まで多岐にわたります。どちらかといえば、年齢を重ねた人をターゲットにしている印象です。

 それでは次に、菊池寛が出版した文藝春秋を見ていきましょう。

rmfigdegi210-2.jpg ここから読む 見た目は新書みたいな感じ
rmfigdegi210-4.jpg ここから読む この中からいくつか見てみましょう
rmfigdegi210-5.jpg ここから読む 菊池寛が薦める、文学志望者が読むべき本
rmfigdegi210-6.jpg ここから読む 作品ごとというわけではなく、著者名も並んでいます。難しいのは無理に読まなくていいそうです
rmfigdegi210-7.jpg ここから読む 海外の書籍に触れる前に聖書を読むべし
rmfigdegi210-8.jpg ここから読む 言語圏別に著名な作家の名前が並んでいます。ヨハン・アウグスト・ストリンドベリをやたら推していますね。ストリンドベリはストックホルム出身で、戯曲を幾つか書いています。小説では『島の農民』『孤独』『歴史の縮図』など
rmfigdegi210-9.jpg ここから読む 挙げた作品をベースに、興味のある作品や作家を読み進めて行きなさいとのこと
rmfigdegi210-10.jpg ここから読む 3行目下の「余も亦然り」に目がいきます
rmfigdegi210-11.jpg ここから読む 自身の苦い青春時代のことが書かれていました
rmfigdegi210-12.jpg ここから読む 芥川龍之介とは第一高等学校時代に交流があったようです
rmfigdegi210-13.jpg ここから読む 芥川の名前に傍点が付いていますね、というか芥川芥川書きすぎ!
rmfigdegi210-14.jpg ここから読む 太宰治並みの愛を感じます

 内容を見た感じ、菊池寛が発行していた方の文藝春秋は、彼の所感などをまとめた読み物といった形ですね。ほかのページも見ると、文学作品のようなものもあったりして、読み物としてとても面白い本となっています。

 初期のころの文藝春秋にはゴシップが多く掲載されていて、そういった話を好む女学生に人気があったそうです。もっとゆるい内容だったんですね。

これはこれで面白そうね。菊池寛が公職追放に遭っていなかったらどうなっていたのかしら。

 もしかしたら、大学生を中心に人気を博していたかも? そういった妄想も面白いですよね。それではまた次回お会いしましょう。

(出典=国立国会図書館)

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