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» 2014年09月16日 16時30分 UPDATE

出版業界ニュースフラッシュ 2014年9月第2週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。9月第2週は、新たな出版事業としての洋書復元、七つ森書館と読売新聞社の裁判の行方などが話題になりました。

[新文化通信社]
新文化通信社

彩流社、創業35周年で児童書に初参入

新たに刊行する児童書シリーズの一部 新たに刊行する児童書シリーズの一部

 来年1月に創業35周年を迎える彩流社が、児童書分野に参入する。まずは、「知っているようで知らない 会社の物語」シリーズ(全3巻、本体各2700円)の中から『ディズニー』を9月に刊行。そのほか、『林家木久扇のみんなが元気になる 学校寄席入門』(全4巻、同)、『ニュースに出てくる国際条約じてん』(全5巻、本体各2500円)の計3シリーズ・12点を順次刊行していく。「国際条約じてん」の監修は池上彰氏が務める。

 アマゾンの学生向け割引サービスに反対している彩流社だが、アマゾンへの依存度は高まってきているという。そのような状況下、アマゾン依存の軽減、リアル書店の活性化を図る道を模索。児童書シリーズは、公共・学校図書館からのニーズがあり、それが書店の外商支援にも繋がることが創刊の理由のひとつ。また、新ジャンルに挑戦することで、「編集者のボトムアップ」を図る狙いもある。

 そのほか周年企画として、「定本 荒巻義雄メタSF全集」全7巻(本体各3200円前後)も刊行する。第1回配本は11月。電子版を除き、ほぼ絶版となっている作品ばかり収録しているという。監修は巽孝之氏。

七つ森書館、読売との裁判で一審敗訴

 七つ森書館の復刻版シリーズ『ノンフィクションシリーズ・人間』(監修・佐高信)の1冊として刊行された『会長はなぜ自殺したか 金融腐敗=呪縛の検証』(読売社会部清武班)について、読売新聞社が出版契約無効などを求めた裁判の判決が東京地裁であり、七つ森書館に裁判費用や逸失利益など171万円の支払いを命じた。

 争点は同書が「職務著作物」に該当するかどうか、当時の読売新聞社社会部次長と取り交わした出版契約が有効か無効かの2点。東京地裁は読売新聞社側の訴えを全面的に認め、七つ森書館の主張はことごとく退けられたかたち。

 判決後の記者会見で、七つ森書館の中里英章社長は「出版の自由を侵害するもの。裁判長が出版契約を認定しなかったことは常識を疑う」と強い調子で批判。2週間以内に控訴する方針を明らかにした。

「文藝春秋」10月号、「昭和天皇実録」を徹底検証

 文藝春秋は宮内庁が24年5カ月をかけて編纂した「昭和天皇実録」を一般公開前に入手し、9月10日発売の「文藝春秋」10月号で「人間『昭和天皇』はどう描かれたのか―『昭和天皇実録』の衝撃」と題して特集を組んだ。紙版と電子版を同時発売。紙版は通常号より多い44万部を発行。同社の独自調査によると、紙版は書店店頭で通常号の1.3倍程度の初速で売れているという。

 特集は、作家の半藤一利氏、昭和史研究家の保阪正康氏、歴史学者の磯田道史氏が公開史料全61巻を読み解いて執筆している。

雄松堂書店、米国政府の寄贈本を復元、453万円で発売へ

 1854年3月、ペリー来航時に日本政府へ寄贈されていたジョン・ジェームズ・オーデュポン著『THE BIRDS OF AMERICA』が、大日本印刷(DNP)によって復元され、雄松堂書店が10月1日に発売、受注を始める。

 世界に112セットしか現存しない同書をDNPのプロジェクトチームが5カ月半を要して、世界初の8000万画素の原寸デジタル撮影に臨み、限定100セットを製作。雄松堂書店が定価は製本版(4巻)が453万6000円、未製本版(同)が345万6000円(いずれも税込)。同書は縦1メートル横68センチメートル。「世界最大の本」であるという。1巻当たりの重さ22キログラム。すでに世界の出版社と共同出版、販売代理店契約などを締結している。国内では、輸送上のダメージを考慮して、書店や読者と直接取引を行う。書店への条件は買切。

 今後、同書を雄松堂書店の本社や丸善日本橋店に展示する計画もある。雄松堂書店の会長兼社長の新田満夫氏は「洋書を仕入れる時代から、洋書をつくる時代になった。これは歴史的な出版事業である」と話している。

東京書店組合、出版協の主張を支持

 アマゾンのAmazon Studentブログラムを再販違反として、出版協加盟の約50社が自社商品のブログラムからの除外を求める一方、現在出版社3社がアマゾンへの出荷を停止している件で、東京組合は出版協の主張を支持する声明を発表した。声明では「身を削ってまでも再販制度を守るという強い意思と行動に敬意を表するとともに、出版界を崩壊させてはならないとの貴協議会の主張を強く支持」している。「再販契約を遵守している町の本屋の経営がますます窮地に陥り、倒産・廃業に追い込まれていくことは必至であるとの、貴協議会の主張は誠にもっともである」とも記している。

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