出版業界ニュースフラッシュ 2014年8月第1週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。7月最終週から8月第1週にかけては、Amazonの電子コミックの販売数が紙版を上回ったことなどが注目されました。

» 2014年08月04日 10時56分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

アマゾンジャパン、電子コミックスの販売数が紙版を上回る

 7月30日、アマゾンジャパンKindle事業本部の玉木一郎事業本部長が、記者向け懇親会で明らかにした。同氏によると、電子書籍販売の伸び率は高く、今年6月の電子コミックスの販売数が紙版を超えたという(有料・無料の内訳については非公開)。

 Kindleストアは2012年10月に開設。取扱い点数は、当初の5万点から現在は4.4倍の22万点に増えた。そのうちコミックスは7万7000点。玉木本部長は、現在の出版社は「大手ほど力を入れている。課題はどのように中小出版社を支援、サポートできるか」と述べた。

 また、Kindleストア売上げ上位100位のうち10%が、出版社を通さずに著者が直接電子書籍を販売できるサービス「KDP」(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)の作品だったことも報告した。

第1回「新潮ミステリー大賞」に手羽崎ささみ氏

 新潮社が主催する同賞の大賞に手羽崎ささみ氏『サナキの森』が選ばれた。選考委員は伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介の3氏。

 「新潮ミステリー大賞」は、日本推理サスペンス大賞、新潮ミステリー倶楽部賞、ホラーサスペンス大賞の遺伝子を継ぐ新たな文学賞としてスタート。受賞作は、後援の東映による映像化も検討されるという。

 選考委員の選評、受賞作は「小説新潮」10月号(9月22日発売)に掲載する。単行本の発売と贈賞式は来年1月末の予定。

集英社、「傑作小説大全」全20巻で刊行へ

創業90周年企画として、来年5月から刊行を開始する。冒険小説やハードボイルド、ホラーなど、エンターテインメント小説を中心に254編を厳選、全20巻で刊行する。編集委員は逢坂剛、大沢在昌、北方謙三、船戸与一、夢枕獏の5氏が務める。

「漂白と流浪」「追跡者の宴」「格闘者の血」など、各巻にテーマを設定。すでに井上靖「敦煌」、山田風太郎「甲賀忍法帖」、小松左京「エスパイ」、西村寿行「滅びの笛」、佐々木譲「ベルリン飛行指令」、花村萬月「なで肩の狐」、馳星周「不夜城」など、全ラインアップが決まっている。

 7月31日に行った企画説明会で北方謙三氏は、「これはエンターテインメント小説の集大成。どれも小説に対する情熱が込められており、すべての作品が楽しめる。小説の面白さがはっきり分かるアンソロジーだ」と語った。予価本体2800〜3200円、四六判ハードカバー。各巻568〜672頁。

講談社、マインドパレットと業務提携

写真ソーシャルメディア「Snapeee(スナッピー)」を運営するマインドパレットと資本業務提携することで合意し、第三者割当増資を引き受けた。SnapeeeはF1層(20〜34歳)を中心に、アジア圏で810万人の会員をもつソーシャルメディア。

今回の提携で講談社は、すでにアジア圏で翻訳出版している女性誌「ViVi」、「with」のファッション・美容などに関する雑誌コンテンツの一部をSnapeee上で配信。認知度の向上、ファンの拡大を図ることで雑誌の販売やライセンス事業につなげる狙い。

ブックオフの子会社分割で、日販に株式譲渡

 ブックオフコーポレーションは7月24日、子会社のプラスメディアコーポレーション(株)がFC加盟店として運営するTSUTAYA31店舗について、新会社を設立し、その株式の80%を日販に譲渡する基本合意書を両社で締結した。新会社名は(株)プラスメディアコーポレーション。「後ろ株」を「前株」に変更して、10月1日に設立する。新会社は東京・お茶の水の日販本社内に構え、社長には旧プラスメディアコーポレーション社長の近藤純哉氏が就くとみられる。

現在、旧プラスメディアコーポレーションが運営するTSUTAYAは33店舗あるが、8月末と9月末に計2店舗を閉鎖する予定。日販は31店舗を運営する新会社、プラスメディアコーポレーションを完全子会社化することになる。

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