出版業界ニュースフラッシュ 2014年6月第3週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。6月第3週は特定秘密保護法に反対する諸団体の記者会見、『姉ageha』の復活などが発表されています。

» 2014年06月23日 12時00分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

特定秘密保護法に反対する諸団体が記者会見

 6月20日、日本出版者協議会、日本雑誌協会、秘密法に反対する学者・研究者連絡会など、特定秘密保護法に反対する諸団体が東京・千代田区の衆議院第一議員会館で共同記者会見を行った。

 雑協・編集倫理委員会の高沼英樹委員長(光文社)は、週刊誌制作者の立場から、「タレコミや内部告発が非常にすくなくなるだろう。また、取材対象に接近しても、対象者から『特定秘密だから』と言われてしまえばどうにもならない」と危惧。

 出版協・出版の自由委員会の青山賢治委員長(大蔵出版)は、「社会正義にもとることを暴き、知らせたい」との思いをもって書籍を制作している会員者が多いなかで、「秘密保護法に触れるからといって(刊行物が)没収・回収なんてことになったらたまらない。ぜひ廃案にもっていって欲しい」と語った。

 当日は計12団体が、それぞれの立場から同法の成立までの性急な手続きや不備、施行後の危惧などを表明。記者会見は、出版労連、新聞労連、民放労連、日本マスコミ文化情報労組会議の呼びかけで開催された。

(右から)青山氏、上智大学の田島泰彦教授、高沼氏、雑協・前編集倫理委員会委員長の山了吉氏(小学館)

「本の講義」演劇プロジェクトでファンディング

 俳優・八嶋智人氏が大学教授に扮して、35万部を発行する『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)について、分かりやすく講義する演劇をアップルシード・エージェンシーと芸能プロダクション。シス・カンパニーが企画。本の楽しさを伝えたいという八嶋氏の思いと重なり、この企画の資金についてクラウドファンディングの仕組みを使って集めることになった。

 締め切りは6月末日まで。目標金額150万円が集まり、この企画が成立した場合、8月10日に都内の大学で行われる。

 時間・場所は未定。 演劇は地上波テレビで放送されることが決定している。詳細はこちらまで。

第151回「芥川・直木賞」候補作決まる

 日本文学振興会は6月19日、第151回「芥川・直木賞」の候補作を発表した。選考会は7月17日、東京・築地の新喜楽で行われる。候補作は次の通り。

  • 芥川賞

▽戌井昭人「どろにやいと」(群像・1月号)

▽小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」(すばる・4月号)

▽柴崎友香「春の庭」(文學界・6月号)

▽羽田圭介「メタモルフォシス」(新潮・3月号)

▽横山悠太「吾輩ハ猫ニナル」(群像・6月号)

  • 直木賞

▽伊吹有喜『ミッドナイト・バス』(文藝春秋)

▽黒川博行『破門』(KADOKAWA)

▽千早茜『男ともだち』(文藝春秋)

▽貫井徳郎『私に似た人』(朝日新聞出版)

▽柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(新潮社)

▽米澤穂信『満願』(新潮社)

「姉ageha」、8月7日に復活

 アラサー向けビューティ誌『姉ageha(おねえさんアゲハ)』(medias発行)が8月7日、主婦の友社の『S Cawaii!』9月号臨時増刊として発売される。

 同誌は、インフォレストが『小悪魔ageha』姉妹誌として2010年11月に創刊。5月10日付けで発行元がmediasに譲渡されており、今後は主婦の友社が発売元となって販売面をサポートしていく。

 刊行サイクルは隔月刊(偶数月7日発売)、予価650円(税込み)、公称発行部数10万部。編集長は後藤文江氏。

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