本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日はレイラからの紹介です。
街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
彼女の好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。
実は私、路上生活者の暮らしにちょっとだけ憧れているんです。
あの、レイラさん。何か悩みがあるなら相談に乗ります……よ?
いや、これと言ってそういうのは無いんですけれども。何なのでしょうね。中世ヨーロッパのロマ(ジプシー)とか、ああいう自由気ままに生きている感じ、グッと来ませんか?
たしかに。そこで暮らしていながらも、世間と隔絶されたかのような雰囲気がありますね。
今回オススメするのはひょんなことから路上生活を始めた男性のお話です。実際に隅田川河川敷に住む路上生活者の鈴木さんをモデルにしているそうで、フィクションでありながら、リアルな彼らの日常を垣間見ることが出来るんです。
作者は、路上生活者のお家を建築学的な面から見て研究した「0円ハウス」という写真集を出したり、現代日本の住居はなぜこんなにも高く、また選択肢が無いのかという問題提起から「モバイルハウス 3万円で家をつくる」というドキュメント本も出されている坂口恭平さんです。ほかの著作もすごく面白いんですよー。
住まいは暮らしていく上でかかせないポイントですものね。そこがきっかけなんですね。
この物語のテーマは、生きるために「考える」ことなんです。お金が無くて住むところが無い、でも生きていかなければならないから、どうすればいいのか「考える」。寝起きする場所と食べ物は確保出来るようになったけど、出来れば冷たいコンビニ弁当ばかりじゃなくて温かいものを飲み食いしたい。ではどうするか? そんな、自分がいる今の状況に絶望せず、ひとりで、時には路上生活仲間の皆で考えて一歩ずつ前進し続ける力強さに私は憧れます。
人間、どんな状況になっても、考えるのをやめなければ、楽しく幸せに生きていけるんだって思うと、なんだかちょっと勇気が湧いてきますよね。
今の暮らしをよりよくしたい……それは多くの人に共通する目的ではないでしょうか。
あと、この物語の主人公・硯木(スーさん)は警察やお役所の人、それから街で出会うすべての人に対して誠実に接して摩擦やあつれきを起こさないのが印象的でした。家をつくるための廃材やアルミ缶が欲しい時はこっそり持ち去るのではなく、元の持ち主にきちんと話してからもらったり、警察や役所の人に撤去を命じられたら素直に従って別の場所に移動したりと、柔軟でしなやかな生き方をしてるんですよね。
時には冷たく対応されることもあるけれど、自分の行動次第では「東京は一番人間があったかい場所なんじゃねえか?」って思えるような生き方が出来る。それは本当に素敵なことだと思うんです。
なかなか難しい現実を、小説として上手に昇華して作品になさっている、と。
路上生活と言うものにマイナスのイメージを持っている方は多いと思いますが、フィクションとして気軽な気持ちで楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:24% レイラ:59% サヤ:63%
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