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» 2014年06月05日 16時34分 UPDATE

在原業平(38)&菅原道真(18) 平安の最強バディが挑む、京の都に潜む怪異とは? 『応天の門』

古典の大スター、在原業平と菅原道真がタッグを組んで京の都に潜む怪異を解き明かしていく話題の平安クライム・サスペンス『応天の門』第1巻をレビュー。

[ラノコミどっとこむ]
ラノコミ.com

 壮年期の在原業平と、若き青年・菅原道真。日本史、古典の大スターが最強バディを組み、京の都に潜む怪異を解き明かしていく、話題の平安クライム・サスペンス、『応天の門』(バンチコミックス)。その第1巻をご紹介しよう。

応天の門 第1巻 応天の門 第1巻

 時は平安。

 藤原家が宮廷の権力を掌握しようと目論んでいたそのころ。都で突如起きた女官の連続失踪事件。

 鬼の仕業では? とまことしやかに囁かれるその事件を憂う帝の命を受け、在原業平は調査に乗り出す。

 事件捜査の中で、業平はあるひとりの青年と偶然出会う。彼の名は菅原道真

口は悪いが確かな知識を持つ道真に興味を抱いた業平は、文句を言う道真を連れ出し捜査に協力させる。

 道真の並外れた観察眼により、業平は事件の裏に潜む人物に気づくが、それはこれ以上深追いしてはならない人物であった。納得のいかない道真に、業平は「最後には正しい者が勝つと本気で思っているんじゃないだろうな?」といい放つ。

 この世の理不尽に反吐が出る思いの道真。だが、この事件には更なる真相が隠されていて……。

 後に学問の神様と呼ばれる、天才・菅原道真と、京随一の歌人・在原業平。対照的なふたりがバディとなって、京の都で起こる怪異を解き明かしていく。

……といったこの物語。

 本作で特に注目したいのが、菅原道真のキャラクター像。一般的に知られている菅原道真といえば非常に聡明な人物として、現在では学問の神様として祀られるほどの存在である。

 もちろん、本作においても道真の博識ぶりは健在だが、その性格設定は言ってしまえばツンデレにほかならない。業平を前にすると、厄介ごとを持ちこまれたことに分かりやすく嫌悪感を示す道真だが、読みたくてたまらなかった書物を前にした際には、瞳を輝かせ頬を赤らめてしまうほどのギャップを見せる。まさか菅原道真がツンデレ男子として描かれる日がこようとは、平安時代には誰も想像し得なかったことだろう。

 加えて本作の菅原道真は18歳とまだ若い。一見、何ごとにも冷静でクレバーなように見える道真が見せる、まっすぐな正義感と若さゆえの行動力にも注目して頂きたい。

 さて、もう一方の主人公、在原業平といえば、伊勢物語の主人公のモデルとも言われ、今日でも有名な歌人のひとりである。業平はたいそうな美男子で、恋多き男として数々の浮名を流した人物としても良く知られている。本作においても業平の女好きは健在だ。

 しかし、藤原高子に関しては、何か特別な思いがあるように描かれている。今後、本作は業平という男を、彼のたどった恋愛をどう描くのだろうか。史実ではない、フィクションの中の在原業平という男の生きざまに期待したい。

 学はあってもまだ世を知らない若き道真と、世を知りすぎているがゆえに過去の秘密を抱えたまま生きる業平。噛み合っていないようで、実は相性が良いようにも思えるこのふたり。果たして、この先バディを待ちかまえているのは、どんな事件なのだろうか。

 ふたりの今後の活躍から目が離せない。

(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)

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