コラム
» 2014年04月21日 12時10分 UPDATE

電子書籍リーダーは環境に優しいか

実際問題として、電子書籍リーダーは紙書籍よりも環境に優しいのだろうか。

[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 電子書籍リーダーを販売する際、企業が採用する大きなマーケティングツールの1つは、それらがどれほど環境に優しいかということだ。主な論点は、廃棄物を出すことなく、数千冊もの書籍を読むための装置を1台購入するかということだ。実際問題として、電子書籍リーダーは紙書籍よりも環境に優しいのだろうか。

 紙と電子書籍リーダーは両方ともまったく異なる種類の汚染や廃棄物をもたらす。電子書籍リーダーで主に汚染物質をもたらすのはバッテリーとディスプレイの製造だ。充電式バッテリーとコンピュータ部品の製造は非常に大きな影響を有する。

 紙の製造と使用は、『紙の汚染』と総称されている環境への悪影響を多くもたらす。パルプ工場は、大気・水質・土壌汚染に貢献する。廃棄された紙は、都市固形廃棄物の約35%を占め、多くの埋立地の主成分となっている。紙のリサイクルでさえ、脱墨の際に発生する汚泥が汚染の原因となることがある。書籍向けの紙の製造と流通が、いずれも環境に有害なのは明らかである。

 電子書籍リーダーは、二酸化炭素排出量の大部分として複雑なバッテリーとディスプレイを必要とする。それらを開発するために、企業はコンゴのような政治的に不安定な地域で算出されるコルタンのような、再生不能な鉱物の採掘に時に従事する必要がある。専門家は、電子書籍リーダーのバッテリーの生命線であるリチウムをわれわれが使い果たす危険にさらされているかどうかについて合意には至れないようだ。

 エマ・リッチ氏は、最近ペーパーバックとKindle電子書籍リーダーの二酸化炭素排出量の調査を実施した。「Kindleのライフサイクル全体でおよそ168キログラムのCO2が排出され、4年にわたって月に3冊の書籍を購入した場合、およそ1074キログラムのCO2が排出される。そして、Kindle DXの容量を最大限利用した場合、2万6098キログラムのCO2が排出される。電子書籍の割引価格に心を引かれるライトユーザーもデバイス寿命を通して22.5冊を購入すれば二酸化炭素排出量は差し引き0になる」と結論付けている。

 Cleantech Groupは、人々が一斉に紙媒体から移行開始すれば電子書籍リーダー産業は多大な影響を与えられると主張する。「年間22.5冊未満を購入するユーザーは電子書籍リーダーから生じる排出量を中和するのに時間がかかり、出版業界に起因する排出量の削減に寄与するにはさらに時間が掛かる」。

 The Millionsのニック・モラン氏は興味深い予測を行い、後記に言及している。「電子書籍リーダー向けの排出量と電子廃棄物は必要とされるリソースを細かくたどって行くとさらに拡大するかもしれない。例えば、AmazonとAppleのデータセンターで必要とされる電力、広大な距離を越え電子ファイルを送信するために必要な通信インフラ、電子書籍リーダーのバッテリーを絶え間なく充電あるいは交換する必要性、(本をパルプに再生したりリサイクルするのがいかに簡単であるかに比較して)電子デバイスをリサイクルするのに必要なリソース、電子デバイスの包装と物理的な配送、(本がなくなったらそれを購入する代わりに)デバイスが壊れたら交換する必要性、(紙書籍は図書館から必要に応じて貸し出せるのに対して)電子書籍のすべての読者は自分の電子書籍リーダーを必要とするという事実、ほとんどの電子デバイスは海外で製造されており海を越えて輸送されているという事実などが挙げられる」。

 本と電子書籍リーダーの比較は実際にプロセス全体のCO2排出量と生産を中心に議論されている。ほとんどの人が考慮しない一面が水である。非営利団体Green Press Initiativeによると、新聞と本を合わせた出版業界が年間に消費する水の量は1530億ガロンに達するという。電子出版企業は2カップ以下の水で電子書籍を1冊作成できるのに対して、一般的な紙書籍を1冊作成するのに約7ガロンの水が必要となる。

 結論としては、電子書籍リーダーの所有者がデバイスを利用して50冊未満を読書した場合、従来の紙ベースの書籍を読む方が環境への影響は少ないというものになるだろうか。50冊のしきい値を超えれば、地球環境に貢献することになる。よって、毎年リリースされる最新の電子書籍リーダーにアップグレードする前に、何冊の本を読んだか考えてみてほしい。

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