本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。どうやら、サヤのもとに10年前の自分から手紙が届いたようですよ。
街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
彼女の好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。
最近、何かの記念に埋めたタイムカプセルが掘り起こされたらしく、わたしのもとに10年前の自分からの手紙が届いたんですよー。
あら! なんて書いてあったの?
10年後のわたし、つまり今のわたしが何をしているかというのが書いてあって、それが妙に現実的で面白かったです。「文学の勉強をしている」っていうのはいいというか当たっているんですが、「24時間開いている便利なお店で働いている」って、ちょっと夢がなさすぎるよ! と小さいころのわたしにつっこみを入れたくなりました。
身近な上に、便利ですからね。あこがれる気持ちも分からなくもないですねぇ。10年前のサヤちゃんの予想は半分当たって半分外れたけれど、今から10年後はいったいどうしているかしら?
全然想像できないですよねー。そういえば最近読んだものの中に、10年後の自分から手紙が来るというちょっぴりSF風味なマンガがあって、それがすごくお勧めなんですよ。
10年後? 未来からの手紙が届いてしまったのね!
10年後の自分からの手紙には「同じ間違いを繰り返してほしくない」と、その時々に選んで欲しい道が書かれてるんです。そしてその手紙の一番の目的として、好きになった男の子が10年後の未来にはいない、その後悔を一生残して欲しくないと書かれています。大切な人がいなくなってしまうと知ったら、どうしましょう?
あわわ……。
全力で阻止するしかないですよね。『orange』の主人公も、その男の子のいない未来を変えるため、10年後に後悔を残さないため手紙にあるように自分の行動を変えていきます。実際に行動を変えることで、手紙に書かれているのと違う出来事が起こったりするんですが、手紙の内容は変わらないんですよ。不思議ですよね。
タイムパラドックスというとらえ方かしら。
そうですね。『orange』の中でタイムパラドックスとパラレルワールドの話がちらりと出ているので、その手紙は別の時間軸の自分から来ているんでしょうねきっと。でもそうだとすると、手紙を出した未来の自分の後悔って消えることはないじゃないですか。そう考えるとなんだかすごく切ない気持ちになりませんか?
誰のいる未来を選ぶのか……考えてしまいますね。
背表紙に「青春SFラブストーリー」とあるとおり、『orange』はわたしの大好きなときめきを感じられる作品です。でもそのときめきの背景には、消せない未来の自分の後悔とか、失うかもしれない不安とか、変わっていく未来への希望とかそういういろいろな気持ちがあって、読んでいるとすごく複雑で不思議な感覚になります。だからこそ手紙を受け取った自分がどんな未来をたどっていくのか、気になってしまうんですよね。
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エリス:24% レイラ:49% サヤ:60%
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