BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は東京・渋谷の「東塔堂」を紹介。
今回の本屋探訪記は東京・渋谷にある「東塔堂」。本屋さんのFacebookページを探索していたときに見つけた店だ。
最初に気になったのはその店名。「本屋」「書店」といった文字はなく、ただ東塔堂とあるだけ。シンプルで潔いネーミングである。
ロゴもカワイイ。本と建物をかけ合わせたようなデザインで、恐らく建築関連の書籍がメインなのだろうと思わせる。Webサイトをみると意外な由来を知ることができた。
屋号は虎ノ門の部屋の窓から東京タワーが見えたことが由来となっています。その屋号"東塔堂 / Totodo"には「この仕事を始めた場所の風景」と「漢字表記から連想される、東塔のある境内の景色」、「アルファベット表記にした時の文字のイメージ」が重ねられています。
場所は、渋谷駅南改札西口から徒歩約10分。渋谷区鶯谷町の住宅街の中に東塔堂はある(以下は2013年5月の記録だ)。
ガラス張りの店頭から中に入ると奥に長い店舗となっており、広いとは言えないが奥行きがあるため広く見える。
店内中央にはガラステーブルが2つ。左辺には腰辺りまでの低い本棚。途中にギャラリーなどとして使われているスペースへ続く出っ張りだ。
ギャラリーを越えていくと角にはガラスケース付きの本棚。右辺は一面の壁棚である。この壁棚は腰の辺りが出っ張って平台代わりになっており、そのまま奥に進むとレジカウンターだ。BGMは少音で癒し系。
写真を見て頂ければ分かると思うが、カジュアルというよりは上品でラグジュアリーな本屋さんだ。静かにプレゼントを選びたいときなど重宝するだろう。駅から適度に遠いのも穴場的な感じで良い。
店内に入ってまず目にするこの本棚の上にはフライヤーやフリーペーパー。そのほか、平置きで大判本が幾つか。
棚の中も大判本メインで写真とデザイン関連の本・雑誌。『写真空間』や『12人のグラフィックデザイナー』『現代建築家シリーズ』、雑誌『アイデア』などだ。
5段の本棚が13本ある。手前から建築4本、デザイン4本、アート3本、写真2本となって突き当りのレジカウンターとなる。棚1本につき1冊挙げていこう。
ここには写真集が平置きで並べられている。『bird』『ダイマキシオンの世界』『東京画』など。ニ段になっているのでしゃがみ込んで見ると面白い。
ギャラリー奥のガラスケース付き本棚は4段の本棚が4本で、そのうちの1段がガラスケースとなっている。本棚は、大判本の図録と写真集と画集。洋書が多いが、日本語の本も図録『マーガレットバーク=ホワイト展』、アウグスト・ザンダー写真集『肖像の彼方』など少ないながら置かれている。
東塔堂には自分のために買うようなお買い得本は少ない。文庫新書はもちろん単行本すら多くないのだ。しかし、ほかでは見つけにくい図録や写真集がここにはある。東塔堂自体も見つけにくい場所にある。つまり、プレゼント本を見つけるのに最適なお店だということだ。
友人知人、恩のあるあの人や恋人に。静かな環境であれこれ考えながらプレゼントを選ぶのは楽しい体験となるだろう。その後、贈った相手は喜び、どこで買ったのかと聞いてくるかもしれない。そうしたら「渋谷にある隠れ家的お店なんだけど教えられないなあ」とこれ以上ないくらいのドヤ顔ができること間違いなしである。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営む。このほか、電子雑誌「トルタル」や本と本屋とつながるWebラジオ「最初のブックエンド」、NPO団体「ツブヤ大学」に本に関するイベントの企画班として参加。「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。
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