本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。44冊目は味わい深い子ども向け本のご紹介です。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
今日は先日のお礼に、ミソノからサヤに、本をオススメするようですよ。
この間、サヤちゃんが紹介してくれた『ぼおるぺん古事記』にも「歌」が何かと出てくることからの連想で、今日は短歌の本を持って来てみましたよー。
たくさんありますね?
『めくってびっくり短歌絵本』というシリーズで5冊出版されています。岩崎書店さんは子ども向けの本を多数出されている出版社さんで、こちらの本も区分けとしては“子ども向け”の本です。今回はシリーズの中から1冊、『日常の短歌 そこにいますか』をご紹介します。
最初の短歌でトイレの歌から始まります。いきなり! トイレ! 「穏やかな家族の風景……うふふ」とかじゃなく、トイレネタ。しかも何だかちょっと不安な感じで、「『日常』というワードに油断していたら、ぐいぐい切り込んでいきますよ!」という作り手さんの気概を感じてしまいます。
ページを開くと、まず絵が飛び込んできますね! 1ページに1つ、短歌が載っていて……ん? わ! 折り込みページもついてるんですね。
この折り込みページが、「めくってびっくり」なんですね。ぺらりとめくると、隠れていた絵が登場します。
例えば、前島隆行さんの
「心臓が止まりました」子供電話相談室に告げる純平
という短歌の折り込みページをめくると、隠されていた純平の姿が明らかになるのですが、「あれ?! 私の想像していた純平と違う!」という驚きを感じてしまいました……。折り込みページには、短い解説も載っているので、何だか答え合わせみたいですが、活字を目で追ってから折り込みページをめくるまでの間に、実は無意識のうちに短歌についてあれこれ想像して、歌から多くのことを受け取っていたんだと、はっと気づきました。
作品も、現代作家さんから北原白秋など幅広いです!
1ページに1つ、しっかり挿絵もついて掲載されているので、「この短歌は古典かしら?現代に作られたのかしら?」と気構えることなく作品と向かい合える気がしますねー。例えばこんな短歌はどうでしょう?
あのこ紙パックジュースをストローの穴からストローなしで飲み干す
盛田志保子
この情景を想像してみてください! あなたならどうやって、紙パックジュースをストローなしで飲みますか? 何らかのワイルドな動作になりそうな気がする……しかし、この本の挿絵にある「あのこ」はセーラー服の女の子。しかも想像以上にワイルドな飲み方です! 日常に潜む非日常が、この本の14首によって浮かび上がってきます。
こんなに愛嬌のある絵なのに……時には妙に胸騒ぎがしますね……。
あ! でも、ちゃんと「日常っていいな、素敵だな」って気持ちになれる穏やかな短歌も収録されてますから! きっと、「ほっ」と安堵の息をついて最後のページをめくり終えられると思いますよ。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:19% レイラ:35% サヤ:48%
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.