本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。連載38回目は、ふと思い出したミソノによるオススメです。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
今日はミソノからノアに、本をオススメするようですよ。
ノアちゃんがこの間すすめてくれたご本を見て、こちらを思い出しましたよー。このご本にはたった1人で頑張った人たちのエピソードが載っています!
1人で、ですか?
はい。1人だけの力で何事かを成し遂げた人たちのエピソードが満載なんです。
成し遂げたのは、もうさまざまで! 例えばお城。
お城ですか!
アメリカのビショップさんは、石を積み上げて家を作るつもりが、つい「オレは城を作っているんだ」と言ってしまったために、本気でお城を作ってしまうことに。コツコツと石を積んで30年間かけて完成させました。
うっかりの言葉からそんなことに!
ビショップさんは元々、「自分1人の力で家を作ろう」と思っていたそうなので、心意気は十分だったのだと思います。それにしても30年はすごい!
こんな風に、この本には古今東西の1人で頑張った人が30人も載っています。
「大聖堂を作る」「劇場を作る」「灯台を作る」などの建築系だけでなく、水路を作ったり、地雷を撤去したり、ナスカの地上絵を研究したりと、その活動はさまざまですが、この本のポイントは「1人で」なので、どの人も本当にコツコツ地道に頑張ってらっしゃる!
それがみんなの役に立つんですね!
うーん……。
「うーん」ですか!?
多くの方は、胸に志を持ち、ある人は自分自身のため、ある人は地域のためにと身を粉にして成し遂げられ、その結果が人のため地域のためになっている場合も多いのですが……。
例えば1954年に1人で30メートルの高さの鉄骨タワーを作ってしまったロディアさん。「アメリカのために何かがしたかった」という気持ちのたかぶりは何だかすごいですが、鉄骨タワーは電波塔でもなければ展望台でもありません。ただの……タワー……。
……。
「一人でスキーを作った人の話」として掲載されている群馬の猪谷六合雄さんも、日本にスキーが伝わって3年しかたっていない1914年にスキーに目をつけ、手作りで板を作り、雪山を転々としながらスキー三昧の日々。幼いころからスキーに親しんだ息子さんは、やがてオリンピックで銀メダルを獲得。それが冬季オリンピック史上、日本がはじめて手にしたメダルだとか!
良かった! いいお話になってきました!
ええ! もちろんどなたも良いエピソードですよ!
ただ、35歳でスキージャンプ競技を目にした六合雄さんは、自分でジャンプ台も制作! コンディションが良いと全裸でジャンプ! 全裸だと5〜10%飛距離が伸びると発見! 真冬に雪山で全裸……ここまでくると、人のためとかではなく、心からめいいっぱい楽しんでいらしたのでは、と思うのです。六合雄さんは71歳で運転免許を習得し、以降もあちらこちらの山々を回られたとか。
お元気ですねぇ。
そうそう。六合雄さん限らず、このご本に紹介されている皆さまが、「その道」に入られたのが、そんなにお若くないのもなんだか心強いのです。学校を出て、働きはじめてから、時には高齢になってから「これは!」と思ったことに邁進していく。それがたった1人でも。周りから見て何の評価もされなくとも。
ただ、自分の心を信じて……。
おや、現代の方も載っているんですね。
鉄鋼でボトムズをお作りになった倉田さんなど、「あ、この方知ってます!」というお人が載っているのもまた嬉しいですね。
成し遂げたお城や水路の写真が載ったカラーページと説明文で、1人当たり4ページでその功績が綴られています。長年頑張った足あとを記すには4ページではちょっと少ないのでは? と思われるかもしれませんが、このさっぱりとしたまとめ方が、入口としてライトで入りやすい! 「この人の事をもっと調べてみようかな」とほかのエピソードも知りたくなります。
わたしも気になって、エピソードを深堀りしたくなりました。
30人もの「たった1人で自分の力を信じる心」は、志でもあり、言い換えれば固執でもあるように感じました。でも、このあっさりとした作りで、悲喜こもごもがうまーく調和され、写真とエピソードを交互に読み進めると、30人分があっという間です。
読み終わると、「いやはや、なんだかすごいなぁ!」というわくわくした気持ちがやってきましたよ!
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:30% サヤ:43%
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