本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。25回目は、あの、特撮大好きなメイドがやってきました。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。そこには書架を守る司書メイドがいます。
ほんわりおっとりした司書メイド・ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
司書メイドの好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。
おやおや、今日はいつもと違うメイドのようですよ……?
ミソノさんごきげんよう。いよいよ10月、秋。芸術の秋ですね。ミソノさんは映画お好きですか?
すごくたくさん見てるわけではないですが、スクリーンで見るあの感じ、好きですよー。
フミカちゃんは?
毎週必ず新しく何か未見の作品を最低一本は見るようにしています。と言っても、公開中の映画より過去の名作の方が多いのですが。
今日ご紹介したい本は映画好きにはたまらない、とり みきさんによる漫画『キネコミカ』です。
この漫画は短編集で、4〜6ページの作品が計34作品載っているのですが、全作品映画作品のパロディです。例えば『風と共に去りぬ』『七人の侍』『2001年宇宙の旅』『ゴッドファーザー』『激突!』『犬神家の一族』など名作映画をモチーフとされています。
しかも、それを、別の漫画家さんのタッチで描いていたり。つまり、二重のパロディ構造になっているんです! 例えば『ゴーストバスターズ』は水木しげるさんタッチで描かれています。
水木先生タッチのゴーストバスターズ……!?
わたくしの一番のお気に入りは『スター ウォーズ』のパロディです。杉浦茂さんという、1930年代から漫画家として活動されていた方のタッチで描かれています。昨年夏、杉浦茂さんの展覧会が開かれたほど、根強いファンを持つ漫画家さんです。わたくしも何度も展覧会に足を運びました。とり みきさんも杉浦茂さんを大好きなようで、とり みきさんによるトークなども行われたんですよ。
好きな漫画家さんが、自分の好きなものと同じものを好きなだけでも嬉しいのに、その同じ好きな漫画家さん(杉浦茂さん)のタッチでとりさんが描いてくださっていて……初めてこの短編を見た時びっくりしました。
それは嬉しい驚きですよねぇ。
特撮好きの方にもオススメです! だって『大魔神逆襲』や『妖星ゴラス』のパロディ作品も載っているんですもの! 『ターミネーター』や『ロボコップ』など異国の特撮も!!
特に『妖星ゴラス』はタイトルの時点でにやりとしてしまいます。タイトルカットに描かれている“星”には、上から糸が吊られていて、特撮技術の吊ってる状態を描いてあるんですよ。
それは何かシュールですね〜。
また各作品のタイトルのレタリングにもこだわりを感じます。それぞれの元ネタのタイトルそのものらしいレタリングで描かれおり、手描きではないかしら? と目を凝らしてしまいます。
全体の内容としては、一貫して不条理なムードです。一作品4ページから6ページと短いのですが元ネタの映画を見ていたら、こんなパロディの描き方があるのか! と、映画の舞台や世界が全然違うように描かれていることに驚きます。でも、そのシーンのオマージュだとはっきり分かるんですよ。
是非、見たことのある「あの映画」がどのように描かれているか、読んでほしいです!
誰もが知っている名作から、通なタイトルまで。しかも画風さえもそれに合わせて……と楽しみどころ満載ですね!
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:28% サヤ:21%
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