本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。24回目は、この間のお礼に、ミソノが本をご紹介しています。
すっかり秋らしくなったこの街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。そこには書架を守る司書メイドがいます。
ほんわりおっとりした司書メイド・ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
おや、今日はミソノがメイドに本をオススメするようですよ。
この間、レイラさんが紹介してくれたのは、たくさんの昔話を伝えたグリム兄弟にまつわる本でした。今日、わたくしの持ってきた本は、今の子どもたちに大人気のお話です。
あら、本の表紙に「なんでも魔女商会」って書いてあるわね。魔女の話なの?
そうそう、この黒いワンピースを着た子が魔女のシルクちゃんです。その後ろのおだんご頭のナナちゃんは、ごくふつうの人間の女の子。シルクは魔女の中でもおさいほうが得意な「おさいほう魔女」。「なんでも魔女商会 リフォーム支店」でお洋服のお直しに腕を振るう、優秀な魔女です。
このシルクちゃんの表情を見てください。眉をきりりとさせてます。雨に濡れたドレスを目の前にしたときの口調だって、「このままではもう着ることはできないわ」ときっぱりはっきり告げます。でもそのあとにちゃんと「残念だけど」と付け足します……シルクちゃん、勝気キャラです! ツンデレと言っても差し支えないでしょう! ウエーブの髪の似合うツンデレ魔女さん……わたくしの身近にもいる気がしますよ。
あら、誰のことかしら。こほん。
うふふ。
魔女といえば使い魔もほしいですね。シルクのそばにいるのはめしつかい猫のコットン。魔女に仕えるのは黒猫が多いですね。でもこのコットン、よーく見ると、おなかも、手足も、しっぽの先もちょっぴり白いんです。体の面積で黒いのは85%くらい……「真っ黒じゃない黒猫」のコットンがどうしてシルクのおてつだい猫になったのか。ふたりの出会いを書いたのがこの本です。
リフォーム支店を任されたばかりのころのシルクの気持ち、「100%の黒猫じゃない」コンプレックスを持つコットンの気持ち……。思い出の服をリフォームする手順を追いながら、コットンの手際よいおてつだい猫としての働きぶりや、シルクのデザイン画が丁寧に書かれます。アイロンを自分のひげに近づけて温度を確認するコットン……そんなおてつだい猫、かわいすぎます!
ほんわりやさしい物語に、作者自ら描く挿絵がまた、かわいさに猛烈な拍車をかけます。素朴な雰囲気ですが、ちゃんといまどきに洗練された温か味のある絵です。児童書ですから、文章はやさしく平坦で、文字は大きくて漢字にはふりがなが振ってあります。でもこの短いお話に胸がほんわかするストーリーと、わくわくする仕掛けがぎゅっと詰まって、さらに、文章と完璧につながりあう挿絵! 正直、「絶対にアニメ化のオファーが行っているはず!」と思う完成度です。
実はこの本、シリーズがたくさん出ていてこの本も15冊目にあたります。でも、どこから読んでもすんなり世界に入って行けますよ。
魔女のそばにいるのは、何も猫じゃなくたっていいのよ。鳥だってカエルだっていいの! もちろん、黒猫じゃなくたって……。
レイラさんにそう言ってもらえると心強いですよー。
すこし風がひんやりしはじめたこの季節、丁寧に淹れたあたたかい紅茶をお供に、ゆっくりページをめくりたい一冊です。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:28% サヤ:21%
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