出版業界ニュースフラッシュ 2013年9月第1週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。9月第1週は、出版者への権利付与について、中間まとめが公表されています。

» 2013年09月09日 19時00分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

第7回出版関連小委、中間まとめを公表

 電子出版に対応した出版権の主体は「現行出版権を有する出版者に限らず、電子出版を引き受ける者」と範囲を拡大。

 紙の出版と電子出版は、「複製権及び公衆送信権」が権利内容で、出版社と著作権者の契約により、「一体的な設定が可能」とした。

 電子書籍の客体は現行法の対象である「文書及び図画」。サブライセンスに関しては、著作権者の承諾を得た場合、「出版権者が第三者に許諾を可能とすることが適当」としている。9月5日開催の文化審議会著作権分科会の出版関連小委の席上、書協の金原優副理事長は「制度設計」について、「現行の出版権規定自体の内容を、電子出版も含むものに拡大」と提言。

 また、「権利の主体」は企画・制作・流通まで責任をもち出版する者という「現行法解釈を継承」し、「権利の客体」は「ISBNやISSNが付与可能な対象に限定」と主張。「権利内容」は複製権、公衆送信権(放送・有線放送を除く)で、再許諾権限の必要性を強調した。

太洋社、3年連続の赤字決算

 9月6日、第60期(平成24年7月1日〜同25年6月30日)決算の概況を発表した。売上高252億5000万円(前年比28.6%減)。主要取引書店の帳合変更や既存店の落ち込みなどで100億円超の減収となり、返品率も「書籍」分野で51.2%(同10.1ポイント増)となるなど、厳しい内容となった。その結果、営業損失は2億0900万円、経常損失は2億9600万円、当期純損失は2億7900万円。

 役員4氏は全員再任。9月26日に行われる株主総会で正式に決まる予定。

アルク、英語初級者向け分野に参入

 9月5日、東京・丸の内の丸ビルで行われた記者会見で、同社の野田亨社長が発表した。これまでの中心利用者である中上級者に加え、コミュニケーション英語のさらなる強化を掲げ、英語の初級者や苦手意識をもつ人に向けたサービスを展開していく。

 その第1弾として通信教育講座の教材「イングリッシュ・クイックマスターzero」を9月9日に発売する。同講座は「つぶやき学習」や、オンライン英会話などアウトプット型学習を重視。野田社長は「創業以来、生きた英語、使える英語にこだわってきた。今求められているのはコミュニケーション英語。初学者向け分野は大きなマーケット」と説明した。

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