電子版を先行発売する出版社、付加価値コンテンツを利用した実験

著者とよりつながるための付加価値コンテンツ、例えば音楽コンテンツなどをバントルする取り組みの事例が海外では増えてきている。

[Mercy Pilkington，Good e-Reader Blog]

　今や電子出版は本を出版する人にとって文字通り一般的になり、出版社の抱える著者をすぐに圧倒する勢いの市場において、出版社は知恵を絞る必要に迫られている。早期から、Alogonquinのような出版社はプリント版と電子版をバンドルしており、それによりヒラリー・ジョーダン氏の著書『Whe She Woke』などは、読者に1冊分の価格でプリント版と電子版の両方を提供している。PlumeやPenguinなどの出版社は著者と共同して最小限の投資で読者の関心を集めるべく、長編の新刊リリースを準備しつつ、電子書籍限定の中編小説を出版している。

　今月、電子版を先行発売するUntreed Readsは、受賞歴のあるシンガー・ソングライター、スチュアート・フランケ氏が、自身の白血病との闘病をベースに執筆したサバイバルガイドといった趣きの『What Don’t Kill Me Makes Me Strong』をリリースした。書籍はUntreed Readsの流通チャネルに存在する200以上の電子書籍小売企業ネットワークから入手できるが、同社のストアから本を購入する読者は、結果的に著者と出版社に最大限の印税を提供するだけでなく、Unreed Readsの電子書籍カタログを探求するためのストアフロントへ自身を導くのだが、今回はフランケ氏の曲という形で、無料の追加コンテンツを受け取ることになる。

　Untreed Readsのスポークスマンは「電子読書に関して、読者それぞれが好む、行きつけのストアがあるということを認識しています」と語った。「われわれはUntreed Readsのオンラインブックストアを体験してもらうために読者を呼び込むだけでなく、ただの著者ではないフランケ氏自身の第一のメディアである音楽で、同氏とつながる手段として追加ボーナスを提供しています」。

　フランケ氏の本に追加して、読者はチェックアウト時に2曲をダウンロードできる。ブルース・スプリングスティーン氏とレコーディングした1曲目の『Summer Soldier (Holla If You Hear Me)』と2曲目の『Letter from 10 Green』は、カートにそれらの曲を追加してクーポンコード『MAKESMESTRONG』を入力することで無料になる。