Onyxの「E Inkディスプレイ搭載Androidスマートフォン」を検証

E Inkベースのディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン。プロトタイプは以前から登場していたが、ようやく実機でも検証することができたのでその様子をお届けしよう。

» 2013年05月29日 16時30分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 2013年第3四半期に初のE Inkディスプレイ搭載スマートフォンをリリース予定のOnyx。わたしたちはこのスマートフォンの最終試作機(ファームウェアの変更はあるかもしれないという)に触れる機会を得た。大きく喧伝されているのは、Amazon Kindle Paperwhiteに似たフロントライトディスプレイで、バッテリーライフは1週間となっている。

 OnyxのE Inkフォンは電子書籍リーダー界から電子ペーパーを採用し、非常に競争の激しいスマートフォンデバイスへの移植を行った。このE Inkフォンは4.2インチ(480x800ドット)ディスプレイ、OSにはAndroid 2.3、1GHzのCPUを搭載する。バッテリーライフは1週間程度は持つはずで、36時間継続的に触れられたデバイスのバッテリーライフが90%残っていたことを考えると、それが立証されているといえるだろう。

 スマートフォン自体はかなり素晴らしい。ほとんどの電子書籍リーダーを悩ませるページ更新時のちらつきは発生しない。テキストメッセージング、コンタクトの追加や電話番号の入力に対する反応も良い。ディスプレイ上で残像はまったく発生せず、フロントライトディスプレイをオンにするためのボタンがある。ほとんど照明のない環境下でもスマートフォンは利用でき、これは数年前の電子ペーパーでは考えられなかったことだ。

 テキストメッセージング、コンタクト、電話などの機能のほかに、電子書籍リーダーアプリをバンドルしていた。フォントサイズの調整やハイライト機能などはあまり充実していないが、Androidを搭載しているので、自分の好きなフォントなどをインストールするのは非常に簡単なのではないかと思う。実際、設定メニューから「不明なソース」のアプリインストールを有効化すれば、自分のアプリケーションにサイドロードすることができた。つまり、Kindle、Sony、Nook、Kobo、Overdriveなどユーザーの遊び心をくすぐる電子読書アプリを何でもインストールできるということだ。

 印象深かったのはデバイスの反応の良さだ。すべてのメニューは即座にロードされ、タイピングは容易だ。フルQWERTYキーボードを搭載し、ディスプレイ上でキーを押すとポップアップし、ほとんど遅延は発生しない。長いバッテリーライフもユーザーを魅了する要素になるはずだ。頻繁に電話を利用するユーザーでも、1週間はフルに利用できるはずで、かなり素晴らしい。ボイス検索用にマイクも搭載しており、ノートを取ったりテキストメッセージを音声入力することもできる。

 E Inkディスプレイを搭載する電話が流行するかは分からない。動画の視聴はできないが、3.5mmヘッドフォンジャックか背面に搭載するスピーカーを利用して音楽を楽しむこともできる。コンテンツはMicro USBケーブルを利用してロードでき、デバイスの充電にも利用できる。バッテリーは交換可能で、背面のケースを外すことで行える。

 筆者は誰よりも早くこのスマートフォンに触れたことに非常に感動した。Good e-Readerのピーターと筆者がSID Display Weekを訪問した際、このデバイスはガラスケースに展示されていたのだが、何としても取材できるよう意欲的に数回のメールと電話を交わした後、このE Inkディスプレイを搭載したスマートフォンに実際に触れ、あらゆる角度から検証することができた。

 最後に、このデバイスはいつ発売され、価格はどれくらいになるのだろうか。聞くところによると2013年第2〜3四半期に発売予定で、価格は不明だという。基本的にOnyxは世界中のさまざまなキャリアにこのデバイスを出荷するはずだ。幾つかのキャリアが導入し、大量注文が入れば、ボリュームに応じて製造費用も安くなるdろう。価格に影響する多くの要素があるが、現在、詳細はまったく分かっていない。全世界で入手できるかどうかも分かっていない。確実に分かっているのは3Gネットワークにのみ対応することで、ほとんどの大手携帯キャリア・ネットワークに対応するはずだが、E Inkでさえデバイスが利用する周波数帯を知らなかった。

Copyright© 2015 Good E-Reader. All rights reserved.

(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。