『消尽の準則』は国外市場で製造・販売された作品にも適用されると米最高裁。この判決が持つ意味とは。
米国の最高裁判所は3月20日(現地時間)、学術系出版社大手John Wiley & Sonsと同社のタイ向け教科書を中古輸入していたオークション転売者との間で争われていた著作権訴訟について、サイトオーナー側の権利を認める判決を下した。
この訴訟は、安価なタイ向け公式書籍の中古をオークションサイト「eBay」で大量販売していたコーネル大学の学生を著作権法違反であるとJohn Wiley & Sonsが訴えたもの(編注:この動きは『世界中で発生する対海賊版書籍の戦い』が詳しい)。最高裁の判決によると、国外市場で製造・販売された作品についても知財の「消尽(しょうじん、First sale doctorine)」は適用されるとし、中古であることが明確である以上、それらを米国に輸入して販売しても著作権法に抵触しないとのこと。
国境を超えたネット上での中古書籍の売買が拡がる中、この判決の意味は大きく、実質的に出版社は国別に価格差を付けるメリットがなくなる。また、現在別件で係争中のデジタルコンテンツの中古販売問題に関しても、大きな意味を持つものとなる。
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