Amazon、デジタル古物を販売するストア向け特許を取得

Amazonが取得したのは、中古電子書籍を販売する特許ではなく、デジタル古物を販売するストア向け特許だ。

» 2013年02月12日 12時30分 公開
[Paul Biba,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 多数のサイトがこの特許の開示について伝えており、一部はAmazonが中古電子書籍を販売する特許を取得したと誤って伝えている。この特許が実際に意味することは、特許の抄録に記述されている。

 『デジタル古物向け電子マーケットプレースでは、ユーザーが元の販売者から購入した電子書籍、音声、動画、コンピュータアプリケーションなどを含む電子オブジェクトは、ユーザー向けにカスタマイズされたデータ保管場所に保管される。カスタマイズされたデータ保管場所のコンテンツに、移動・ストリーミング・ダウンロードなどの手段でユーザーはアクセスし得る。ユーザーが使用済み電子コンテンツへアクセスする権利をもはや望まない場合、そのコンテンツがデータ保管場所から削除されれば、ユーザーはそのコンテンツをほかのユーザーのデータ保管場所へ移動し得る。電子オブジェクトの移動またはダウンロード回数がしきい値を超えると、この移動は許可されず、保留または削除され得る。それに加えて、またはその代わりに、電子オブジェクトの集合物が複数ユーザーのデータ保管場所で保管された個人の電子オブジェクトを元に組み立てられ、ユーザーのデータ保管場所に移動され得る』。

 従って、許可されたのはデジタル古物を販売するストアである。このストアで重要なのは『ユーザーが使用済み電子コンテンツへアクセスする権利をもはや望まない場合、そのコンテンツが元のユーザーのカスタマイズされたデータ保管場所から削除されれば、ユーザーはそのコンテンツをほかのユーザーのデータ保管場所へ移動しうる』という点だ。

 これが意味するところは何だろうか。恐らく多くはない。まず、この特許が2009年に出願されたこと、そして、電子著作権に関して世界はやや進歩したことを心にとどめてほしい。次に、ストアで販売され、あるいは移動されたものは、はじめの所有者である個人に許可された権利に従属するものだ。電子書籍は使用権が許諾されているだけで、購入されたわけではないので、少なくとも米国内の現在の判例下で消尽理論は適用されず、よって電子書籍の所有者はストアに電子書籍を陳列する権利を持たない。

 技術関連コミュニティーがとかく推測したがるこれらの特許の多くは、『よいアイデアなので、何年かして使い道が見つかる可能性があるので特許を取得しておく』といった考え方に基づいたものだ。

 この特許が認可されたことから何かを読み取ろうとは思わないが、時間が解決するだろう。

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