やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。らすとそりっどの本棚

ぼっち系主人公が活躍(?)するライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』。文化祭がテーマの最新巻をレビュー。

» 2012年12月12日 14時00分 公開
[ラノコミどっとこむ]
ラノコミ.com
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 じゃんぼ。仲の良い3人でワイワイ話しているとき、特に仲の良い1人が「トイレに行く」といって席を立ってしまうと途端に会話がなくなって、何かを話してもお互い顔は笑っているけど会話が続かなくてなんとなく気まずいラノコミどっとこむのマスコットライター、らすとそりっどです。ほ、ほんとに仲いいんだからねっ!

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』

 今回はそんな友人豊富でリア充なわたしとは対照的に「ぼっち」を貫き通す主人公の高校生「比企谷八幡(ひきがやはちまん)」が活躍(?)する『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(渡航/作、ぽんかん(8)/イラスト、ガガガ文庫)を紹介します。

 あ、全然関係ないんですけど、「どう○つの森」って一人でやった方が楽しいですよね。

究極のぼっち主人公

 さて、この物語の主人公である比企谷ですが、ぼっちレベルが半端ではありません。某人気ラノベに登場する○鷹もかなりのぼっちでしたが、個人的には比企谷はその比ではありません。

これ、主人公の目じゃないでしょ

 比企谷が特徴的なのは、考え方が卑屈すぎるところでしょうか。物事をネガティブにとらえて皮肉る姿はまさに“高二病”。そしてスクールカーストが高い人間(いわゆるリア充)に話し掛けられると緊張してどもってしまい、若干敬語になるとか妙にリアルで、なんとも言えない気持ちになりますね。……あ、別に共感してるとかじゃないです、ほんと、自分そういうんじゃないんで。

 後、目の腐り方が結構やばい。

 これは素直な感嘆の声として作者の渡航(わたりわたる)さんに捧げたいのですが、比企谷ほどなりたくない主人公はいません。別に主人公を嫌っているわけではなく、むしろ好感を持てるくらいなのですが、自分がその立場には決してなりたくないと思わせる凄みがあります。

文化祭がまさかのネガティブ展開

 最新巻である第6巻のテーマは「文化祭」。

 比企谷はクラスのことに参加する気がないので、持ち前のぼっちスキルを発動し、文化祭の役割を決める話し合いをぶっちした(無視した)ところ「文化祭実行委員」に任命されてしまうという内容です。

 ラブコメ系の物語にとって「文化祭」というイベントは、基本的に主人公がヒロインたちとイチャコラしたりして、ある意味転機ともいえる出来事が起きたりするのですが……まあ、確かに変わりましたね、別の意味で。

 この作品は「コミカルな内容ながらも後味が悪い」という絶妙なバランスから成り立っているのですが、今回の話はこれまでの中でも特に暗いです。みんなにとっては楽しい文化祭でも、ぼっちの立場からすれば違った見方になる。それを見せ付けられたような感覚になりました。正直、自分が比企谷の立場だったら文化祭実行委員辞めてます。終盤に至っては学校にすら行きたくなくなるレベル。

 個人的に今回の救いの部分は川崎との瞬間ラブコメと雪乃の瞬間デレ。今後の動きが気になるところです。

 というわけで、今回はここまで。ある意味で次巻以降が待ち遠しい一冊となっていました。正直、下がるところまでは下がったので、後は上がるだけだと思いますが……そう信じたい。

 あ、それから主人公は基本名前で毎回呼んでいるのですが、本編で「八幡と呼んで良いのは家族と戸塚だけ」みたいなこといっていた気がしたので尊重しました。らすとそりっど偉い。

それでは、またいつか。

(らすとそりっど)

Copyright© 2015 OTOBANK Inc. All Rights Reserved.