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» 2012年12月12日 15時00分 UPDATE

eBook USER読者調査結果:電子書籍ユーザーが期待を寄せるのはiPad miniとKindleストアだった

eBook USERで電子書籍リーダー端末・電子書店に関する読者調査を実施。その結果からは2012年の電子書籍市場が浮かび上がってくる。

[西尾泰三,ITmedia]

 eBook USERでは、電子書籍リーダー端末・電子書店に関する調査を実施、その結果を12月12日に公開した。

 この調査は、2012年11月15日に行ったeBook USERサイトデザインのリニューアルを記念し、eBook USERの読者を対象に行ったもの。サイト上での自己回答式による調査で、実施期間は11月15日から11月30日まで。有効回答数は4737件。

 調査は、「今後、電子書籍リーダーとして最も期待する専用端末/タブレット端末」「今後、最も期待する電子書店」「現在の電子書籍や電子書籍サービスについての不満」について尋ねたものとなる。

最も期待する電子書籍端末

 電子書籍を読むデバイスとして、今後最も期待しているものについて尋ねた設問では、全体の33.6%がAppleの「iPad mini」と回答。GoogleのNexusシリーズ(14.9%)、Amazonの「Kindle Paperwhite」(14.2%、3Gモデル含む)と続き、Appleの「iPad」(12.3%)、Amazonの「Kindle Fire」(12.3%、HD含む)の上位5機種で全体の87.3%を占めた。

今後、電子書籍リーダーとして最も期待する専用端末/タブレット端末 今後、電子書籍リーダーとして最も期待する専用端末/タブレット端末(単数回答)

 調査時点で発売直後、または未発売の製品に期待を込めて注目が多く集まる結果となったが、それぞれの製品を選択した理由を尋ねた設問では、iPad miniでは「ブランド」(66.7%)が、Nexusシリーズでは「価格」(72.9%)、Kindle Paperwhite(3Gモデル含む)では「電子ペーパーの可読性」(66.9%)が最も多く、それぞれの製品で異なる結果となった。また、上位5端末のうち4端末で選択理由の3位以内に「ブランド」が入っており、ベンダーの継続的な取り組みがこうした信頼感となっていることをうかがわせる。

上位5端末の期待する理由(複数回答) 上位5端末の期待する理由(複数回答)

今後、最も期待する電子書店は「Kindleストア」が約半数

 しかし、デバイスだけをみて電子書籍市場の動向を語るのは適切ではない。次の設問で、「今後、最も期待する電子書店」について尋ねたところ、Amazonが10月にサービスを開始した「Kindleストア」(46.8%)が最も多く、次いで国内ではまだ正式なサービスが開始されていないAppleの「iBookstore」(15.9%)、書店大手の紀伊國屋書店が手掛ける「紀伊國屋書店 BookWebPlus」(9.1%)、Googleが9月にサービスを開始した「Google Play Books」(6.7%)、漫画を中心に長年展開してきたイーブックイニシアティブジャパンの「eBookJapan」(3.1%)と続いた。こちらは上位5書店で81.7%と先の設問に比べ若干期待が分散している傾向もあるが、“黒船”“本命”などと称され、満を持してサービスインしたKindleストアへの期待値が高く出る結果となった。

最も期待する電子書店(単数回答) 最も期待する電子書店(単数回答)

 それぞれを選択した理由を尋ねた設問では、Kindleストアでは「品ぞろえの豊富さ」(68.2%)が最も多く、iBookstoreは「購入の簡便さ」(42.6%)、紀伊國屋書店 BookWebPlusは「書店としての安定感・ブランド」(71.2%)となった。

上位5書店の期待する理由 上位5書店の期待する理由(複数回答)

 eBook USERがお届けしている特集「電子書店完全ガイド」では各電子書店の品ぞろえについても紹介しているが、現状、Kindleストアが他と比べ突出した品ぞろえになっているわけではない。にも関わらずKindleストアを選択する理由として品ぞろえの豊富さがトップにきたのは、上位5書店すべてで選択理由の3位以内に「品ぞろえの豊富さ」が入っていることを考慮すると、紙書籍と比べ電子書籍の品ぞろえはまだ十分でなく、それをAmazonが打破してくれるのではないかという期待も込められているとも思われる。

 ここまでの2つの設問をトップ10でまとめたものが以下の表となる。

tnfigsurvey10.jpg

 最後に、現在の電子書籍や電子書籍サービスについての不満を尋ねたところ、「電子書籍の価格が割高に感じる」(58.7%)が最も多く、次いで「サービス終了で読めなくなるリスクがある」(39.9%)、「所有感がない」(23.7%)などが挙げられた。「その他」の項目が比較的大きな割合になっているのは、設問項目で「品ぞろえ」に関する項目が抜け落ちてしまっていたことに依るものが大きい。

現在の電子書籍や電子書籍サービスへの不満(複数回答) 現在の電子書籍や電子書籍サービスへの不満(複数回答)

調査結果から

 まず、短期間の実施にもかかわらず、5000件に迫る大変多くの有効回答を得ることができました。調査にご協力いただいた方々には改めてお礼申し上げます。

 電子書籍の専門メディアであるeBook USERの読者を対象にした調査でしたが、調査結果からはおおむね一般的なイメージがそのまま反映されたように思います。端末の方は調査時点の最新端末に人気が集まる傾向があり、あくまで現時点の結果といえそうですが、サービスを含めた電子書店のランキングに注目すべき点は多いと感じます。

 今回の調査では、10月に満を持して国内サービスを開始したAmazonの「Kindleストア」が高い支持を集めました。AmazonやApple、Googleのようにプラットフォーマーなどと呼ばれることもあるプレイヤーたち。電子書籍に限らず、音楽や映画、ゲームなど、さまざまなコンテンツがそのプラットフォームの上で流通している現在、彼らが市場で大きな力を持っているのはもはや改めて語るまでもないでしょう。そうした意味ではそれらのプレイヤーが上位に来るのはさほど不思議なことではありませんが、そんな中、「紀伊國屋書店 BookWebPlus」のように上位にランクインした電子書店の取り組みには、何かヒントが隠されているのかもしれません。

 プリントメディア、つまり紙媒体で提供されていたコンテンツに電子書籍というパッケージが出版市場の変化とともにようやく選択肢といえるレベルで用意されてきたのが現在の商業出版物の状況です。そこに個人出版の波と、コンテンツにお金を払うというインターネット上でようやく根付き始めた動きが電子書籍に対する追い風となり、プレイヤーがある程度出そろった来年以降、市場として成熟のフェーズに向かうのではないかとeBook USERではとらえています。市場が成熟に向かうにつれ、これまでの常識にとらわれないサービスやコンテンツ、言い換えれば、読書とライフスタイルを新たにデザインしようとするプレイヤーも出てくるでしょう。Appleが音楽の世界でそうしたように。

 もっとも、劇的には変化しないかもしれません。それは音楽の世界におけるDRMフリーなどの動きを見ていても明らかですが、そうした歴史を踏まえ、より洗練されたものが素早く世の中に浸透する期待はしてもよさそうです。電子書籍でもそれがプラットフォーマーによってのみ行われるのか、それともまったく違うところから生まれてくるのか。個人的には後者を期待しながら、そうしたプレイヤーが、世の中をさらに大きく変化させていく様子に注目しながら情報をお届けしていきたいと思います。引き続き、eBook USERをどうぞよろしくお願いします。

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