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» 2012年10月17日 21時22分 UPDATE

「ニコニコは本屋になる」――ドワンゴ、「国内最大級」のコミック配信サービスを開始

ドワンゴが小学館や集英社など124の出版社と提携し、コミックを中心に約3万冊の電子書籍を「ニコニコ静画(電子書籍)」で提供する。大手出版社の人気作をそろえ、「青空文庫、Wikipedia、楽譜もない」という「水増しなし」のラインアップだと、担当者は自信を見せる。

[山田祐介,ITmedia]

 「ニコニコは本屋になろうと思う」――ニコニコ動画でおなじみの「niconico」を運営するドワンゴとニワンゴが、電子書籍事業を大幅に強化する。両社は10月24日から、niconicoの電子書籍配信サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」で有料作品を本格的に配信する。小学館や集英社など124の出版社と提携し、コミックを中心に約3万冊の電子書籍を提供。「コミックコンテンツの配信プラットフォームとしては日本最大級」という(ドワンゴ調べ/成人コミックを含まない品ぞろえとして)。提供中のiOSアプリも近日中に刷新し、アプリ内課金に対応することで“電子書籍ストア”としての側面を打ち出す。


photo ニコニコ静画(電子書籍)でさまざまな有料電子書籍が購入できるようになる。「DRAGON BALL」も読めるようだ

「水増しなし」の3万冊

photo ドワンゴの企画開発部部長 伴龍一郎氏

 動画サービスを軸に、さまざまなクリエイターが作品を投稿するプラットフォームとなったniconico。イラストや漫画などのサービスを提供する「ニコニコ静画」では、出版社のコンテンツをニコニコ静画(電子書籍)を通じて配信したり、ニコニコ発の漫画作品を漫画誌にも掲載したりと、出版社とのコラボレートを積極的に行ってきた。

 「ニコニコ静画は、ユーザー、クリエイター、出版社の架け橋になりたいと思っている。作家の発掘や作品のプロモーションは一緒にやってきたが、これからは販売に関してもやってきたい」――そう語るのは、ドワンゴの企画開発部部長 伴龍一郎氏。ニコニコ動画に投稿されたVOCALOID楽曲を元にした小説がヒットするなど「ニコニコから本が生まれている現状」がある今、「ニコニコは本屋になろうと思う」と伴氏は語る。


photophoto これまで提供してきたBOOK☆WALKERの有料作品だけでなく、幅広い作品が購入できるようになる

 これまで、ニコニコ静画(電子書籍)では角川グループが展開するBOOK☆WALKERの配信作品を除き、主に無料コンテンツを提供してきた。24日からはniconicoの有料コンテンツ向けポイントシステム「ニコニコポイント」を使って、有料作品を購入できる。BOOK☆WALKERの作品も、ニコニコポイントでの購入が可能になる。

photo niconicoのテキスト配信サービス「ブロマガ」もニコニコ静画(電子書籍)のビューワで読めるようになる

 配信タイトルを拡充するため、集英社、講談社、小学館、角川グループなど大手出版社を含む124社から作品を調達した。コミック以外に、ライトノベルや写真集なども提供する。伴氏によれば、品ぞろえは「書店で平積みされている作品はある感じ」。配信タイトルの中には「ONE PIECE」「宇宙兄弟」「名探偵コナン」「図書館戦争」といった人気作品も多く含まれる。また、「青空文庫、Wikipedia、楽譜もない」という、「水増しなし」の3万冊だとも強調。「僕は紙の本を買うのをやめる。ここ(ニコニコ静画)になければ、営業して取ってくる」(伴氏)と、更なる作品拡充にも意気込む。配信タイトルは、niconicoのサイト上で公開されている


利便性と出版社事情を両立するiOSアプリ

 有料作品はWebブラウザ上のビューワで読めるほか、iOSアプリ「ニコニコ静画(電子書籍)」でも近日中のアップデートで楽しめるようになる。また、同アプリは新たにApp Storeのアプリ内課金に対応し、電子書籍ストアとしても機能。アプリ内課金で購入できる仮想通貨「ニコ書券」を使って、作品が購入できる。PCとiOSアプリの購入履歴は同期し、購入作品はどちらでも閲覧可能という。ただしニコ書券はPCでは利用できず、ニコニコポイントもアプリでは利用できない。

 アプリ上で簡単にコンテンツが購入できるアプリ内課金の仕組みは、ユーザーにとって利便性の高い機能だ。一方で、細かな価格設定ができないといった制限があり、ストアごとの価格をそろえたい出版社や電子書籍事業者にとっては扱いづらいものだった。今回のアプリでは、ニコ書券という仮想通貨を購入してから買い物をする流れにしたことで、作品の実質的な価格を柔軟に設定できるようにした。ニコ書券は「500pt」(500円)、「1000pt」(1000円)、「2000pt」(2000円)――といった具合に、まとまった金額で購入できる。作品の価格は「出版社が決める」が「基本的には紙より安い」(伴氏)。また、販売形態は買い切りだけでなくレンタルもあるという。

 課金対応に合わせ、アプリのUI(ユーザーインタフェース)も刷新する。まず、ストアとしての使いやすさを高めるため、ジャンルやキーワードで作品を検索できる機能を設けた。書籍を端末に保存しオフラインでも読めるようにするマイブック機能、購入履歴を確認して再ダウンロードできるブック履歴機能なども追加される。

photo iPad/iPhone両対応のユニバーサルアプリ

 出版社にフォーカスした公式ストアもアプリ内に用意する。第1弾は、集英社の公式ストア「ジャンプコミックス」だ。集英社自身が紹介したい作品をピックアップし、売り場を作るという。他の出版社でも、こうした取り組みを進めていきたいと伴氏は説明する。さらに、ニコニコ発のコンテンツやニコニコユーザーに人気の作品を集めたコーナーも設けるという。「ニコニコから出たものも、応援したい」(伴氏)

ニコニコらしいユーザー参加型機能も

photo ユーザーが書いたPOPが作品とともに画面される

 Web/iOSのどちらのビューワも、ニコニコ動画と同じようなコメント機能を備えており、一般的な電子書籍ビューワとは違った楽しみ方を提供する。また、既に提供している「イラストPOP機能」により、好きな電子書籍をイラストで応援することもできるという。「ニコニコ静画にはイラストを見に来るユーザーがいっぱいいる。POPを通じて、作品につないでいけるのでは」(伴氏)


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