インタビュー
» 2012年10月05日 12時50分 UPDATE

特長は「ボカロキャラが出ない」――50万部突破「カゲロウデイズ」に見るボカロ文化の多様性 (1/2)

ボカロ楽曲を元にした“ボカロ小説”が増えはじめ、ヒット作が生まれている。特に人気ボカロ楽曲「カゲロウデイズ」を元にした小説は、現在2冊で50万部を突破するなど勢いがめざましい。担当編集者にヒットの背景を聞いた。

[林健太、山田祐介,ITmedia]

 2007年の「初音ミク」誕生から5年――。歌声合成技術「VOCALOID」(ボーカロイド)を使った“ボカロ楽曲”は、日本のネットを日々にぎわせている。ミクはもちろん、鏡音リン・レンなどさまざなバーチャルシンガーが生まれ、多くのオリジナル楽曲がニコニコ動画といった人気サイトを通じて世に広まった。近年では、ボカロ楽曲のCDを発売するクリエイターも多数登場。ボカロはネットを飛び出し、存在感を増している。

 そんなボカロの勢いが近年、本の世界にも新しい風を吹かせている。楽曲・歌詞の世界観を元にした、“ボカロ小説”が増えているのだ。例えば、人気ボカロ楽曲から生まれた小説「悪ノ娘」シリーズは、全4冊で累計80万部を突破しているという。ニコニコ動画で再生数が400万回を突破した「千本桜」も、小説化が決まっている。

 特に最近では、クリエイターの“じん(自然の敵P)”氏のボカロ楽曲を題材にした小説「カゲロウデイズ」シリーズのヒットがめざましい。じん氏は同じ世界観で複数の楽曲を発表しており、これらの歌詞を元にじん氏自らが小説を作り上げている。1巻が5月末、そして2巻が9月末に発売され、早くも合計50万部を突破する快挙となっている。


photophoto 第1作「カゲロウデイズ -in a daze-」(写真=左)と、新たに発売となった2作目「カゲロウデイズII -a headphone actor-」(写真=右)


 作品を小説化に導いたのは、電子書籍サービス「BOOK☆WALKER」を運営するブックウォーカー(角川グループ)。ストア運営が主な事業だが、2011年10月からオリジナルコンテンツの制作にも着手。「KCG文庫」を立ち上げ、電子書籍とともに紙でも作品を展開している。

 ボカロ小説の中でも人気の高い同作、なぜここまでのヒットとなったのか——ブックウォーカーの担当編集者にヒットの背景、そしてヒットを支えるボカロ文化について聞いた。

カゲロウデイズのファンとは

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―― 2巻も好調なようですが、1巻を出した時の反応はどのようなものだったのでしょうか?

担当 1巻の初版は即日から大きな反響をいただき、すぐに増刷しました。現在(10月5日時点)は7刷目で、25万部を超えています。電子書籍で先行販売を行ったのですが、電子版の販売実績などは含まずに、紙だけでこの結果が出ています。

―― どんな層が読んでいるのか、気になります。

担当 他の文庫と比べると、購買層が若いかなという印象です。中高生の皆さんから支持されているのかと思います。また、弊社(ブックウォーカー)のタイトルとしては、女性の割合が高いのも特徴です。

 あとはニコニコ動画で作品を知り、小説を買う人が多いと思いますが、一方で何も知らずに小説を読んでも楽しめる作品です。若い読者さまだけでなく、幅広い層に読んでもらえると思っています。平積みしていただいている書店様も多く、書店員さんからも「面白かった」と言ってもらえると、本当にうれしいです。

―― 若い読者に買ってもらうための工夫はありましたか?

担当 価格にはこだわりました。大判で出ているボカロ小説もありますが、カゲロウデイズは文庫サイズで662円です。ボカロのCDは同人CDなどで1000円位からが相場だと思いますが、それよりは安く、700円は超えないようにして、なるべく手にとってもらいやすくしたいと思っていました。

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