双葉社のWeb漫画サイト「Web漫画アクション堂」で気になる連載がスタート。出版社を擬人化した女子高生の日常(?)を描く4コマ漫画「飯田橋のふたばちゃん」だ。キュートな絵柄にホンワカする一方、原作者は「ギリギリのラインを攻めたい」と穏やかでない。
双葉社が運営する無料Web漫画サイト「Web漫画アクション堂」で、4コマ漫画「飯田橋のふたばちゃん」の連載がスタートした。横山了一さん(原作)、加藤マユミさん(作画)の漫画家夫婦がタッグで贈る同作は、とある女子校を舞台に、出版社を擬人化した女子高生が活躍する。同人誌などではあっておかしくない設定だが、出版社自身が自社の擬人化も含めて掲載してしまうというのだから面白い。
思わずホンワカするキュートな絵柄と対照的に、内容は「ギリギリのラインを攻めつつ頑張りたいと思います」(横山さん)とのことで、この先の展開が楽しみだ。作品を企画した経緯などを、横山さんと担当編集者の國澤正火土さんに聞いてみた。
―― 出版社の公式コンテンツとしてこうした漫画が載るのはユニークですね。どんな経緯で作品を企画したのでしょうか
横山 「女子高生ギャグで行きましょう」って國澤さんにまず言われて、いろいろ考えてた中の1つですね。女子高生モノはやったことがなかったんですけど、國澤さんが「うちは体力ないから当ててくれ」というので挑戦することにしました(笑)。ほかにもいろんな案を2人で考えて……“主人公以外全員プリキュア”みたいな設定とか(笑)
國澤 その中でお互いが“これならいけるんじゃないか”って思ったのが出版社の擬人化でした。横山さんがいろいろな出版社で描かれていらっしゃるので、その経験が武器になる作品じゃないかなと思っています。
横山 あれなんです、渡り鳥みたいな感じで。一社に大事にされてないんです。
國澤 ちょっと(笑) そんなことありません(笑)
―― なるほど。キャラクターには横山さんの経験も生きているのですね
横山 例えば僕はヤンマガでデビューしているんですけど、それで講談社の雰囲気とかは分かります。やっぱり編集さんも熱血というか、親身になってくれる方が多い印象です。集英社はあまり関わりがないんですが、友達の作家さんに話を聞いたりしてキャラを作りました。
小学館だと、ヤンサンでお仕事したことがありまして。担当さんはホントにいい人で、もちろん原稿もちゃんと返ってきました(笑)。ただ、ギリギリを攻めていきたいので、各社さんの雰囲気や事件を“オーバー”に反映してます。
―― 双葉社、というか主人公のふたばちゃんはどんなキャラなのでしょう
横山 そうですね。勉強もスポーツも並レベルで、何の特技もない感じですね。
一同 (爆笑)
横山 ひどいこと書いても意外とよろこんでくれるんですよ。
國澤 自社なので一番つっこんでも怒られないとは思います。それと、キャラクターに関しては、1つのキャラクターだけで出版社の個性を見せるのが難しいケースもあるので、例えば親族を出したりと工夫していきます。出版社、漫画誌の数だけキャラが作れるんじゃないでしょうか(笑)
―― 業界ネタはギリギリを攻めたいということで、出版社の人からの反応もいろいろとありそうです
國澤 もちろん、怒られないように線引きは考えつつやっていきたいと思っています(笑)
横山 毎回刺激的なキーワードを入れられたらいいですよね。都条例のネタとかもこれから出てきますし、例えば自炊の話題とかも、いろいろネタにしていきたいですね。もちろんマニアックな業界話だけでは普通の読者が楽しめないので、有名作品のパロディネタなんかもいれて、幅広く楽しめるようにしています。キャラクターがデンプシー・ロールしたり、刃牙ネタが入ったり(笑)
―― 加藤さんの描かれる絵がとてもかわいく、ブラックユーモアとふんわりした日常4コマの対比が面白かったです
横山 あの絵柄にするのは嫁さんも結構苦労しました。4コマなのでちょっとデフォルメの効いた絵の方がいいということで、國澤さんが買ってきてくれた“それ系”の漫画雑誌を見ながら研究したんです(笑)
―― 絵柄やネタも含め、ネットと相性がよさそうな感じもします。最後に読者へ一言あればお願いします
横山 毎回刺激的な話題を盛り込んでいきたいと思ってるので、チェックしていただけると嬉しいです。これから学園祭のネタなどもありますし、登場キャラもどんどん増えていきます。ぜひ楽しんでください!
Web漫画アクション堂では、毎月の第1、第3火曜日に「飯田橋のふたばちゃん」を無料で公開していく。また、Twitter上では横山さんが@yokoyama_bancho、加藤さんが@katomayumiで情報を発信しているので、気になる人はフォローしてみるといいだろう。
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