電子書籍端末にNFC、書店の新サービス登場に期待

Microsoftから3億ドルの出資を受けたBarnes & NobleのCEOは、NFCチップを搭載したNookシリーズの計画を明らかにした。このことが新しい書店サービスの誕生につながるかもしれない。

» 2012年05月02日 15時50分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 Microsoftから3億ドルの出資を受けたことで話題となった米Barnes & NobleのNook事業。これを受け、米ビジネス誌「Fortune」は、同社CEO、ウイリアム・リンチ氏へのインタビュー記事を公開している。このインタビューは同社の今後の戦略をCEOであるリンチ氏自身から語られており読み応えがある。

 Microsoftとの戦略的提携については、「Microsoft、Barnes & Noble新子会社への出資は総額6億ドル以上か」で詳しく取り上げているのでそちらを参照いただくとして、リンチ氏が語った中で、1つのトレンドとなりそうな部分をピックアップしたい。

 それは、「NFCチップを搭載したNookシリーズ」の投入だ。Nookは同社の電子書籍端末ブランド。79ドルのNook Simple TouchからNook Color、Nook Tabletといったラインアップを取りそろえているが、年内にもNFCチップを搭載したモデルを投入したいとリンチ氏は語っている。

 Near Field Communication(NFC)あるいは近距離無線通信と呼ばれるこの技術は、スマートフォン領域ではすでにホットな話題の1つ。米国やカナダではすでにNFCを活用した決済サービスなどが立ち上がっているほか、従来にはなかった応用サービスなども数多く検討されている。

 Nookの成功でかすんでいる感はあるが、Barnes & Nobleは米書店大手で、数多くの書店を抱えている。NFCを電子書籍端末に搭載することで、例えば書店に並ぶ紙の書籍にNFCタグを付けBN.com上の書評とリンクさせるなど、実店舗との連携を模索した新しい取り組みを自ら率先して行おうとするつもりのようだ。

 日本国内についていえば、書店数は年々減少している。電子書籍の登場がそれを加速させるのではないかという声もあるが、Barnes & Nobleの取り組みは紙と電子の共存を感じさせるものだ。近い将来、国内でもNFCを活用した書店サービスが登場することを期待したい。

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