「漫画界のルールと伝統をぶちこわす」――小学館の「裏サンデー」はWeb漫画の“爆弾”となるか

小学館が、「漫画界のルールと伝統をぶちこわす」というWeb漫画サイト「裏サンデー」を突如告知。参加作家には、春原ロビンソンさんをはじめとするネットの人気クリエイターがずらりと名を連ねている。一体、何が起きようとしているのか。

» 2012年04月04日 17時53分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 荒川弘さんの連載漫画「銀の匙」が「マンガ大賞2012」の大賞を受賞し、さらに巨匠・大友克洋さんの連載も控えるなど、何かと話題を呼んでいる小学館の「少年サンデー」が、ネットで「漫画界のルールと伝統をぶちこわす」という。このほど、Web上にティーザーサイト「裏サンデー」が突如として現れ、公式Twitterアカウントもツイートを開始した。一体、何が起きようとしているのか――少年サンデー編集部に尋ねた。

photophoto 突如公開されたティーザーサイト(写真=左)。公式Twitterもスタート(写真=右)

 裏サンデーは、少年サンデー編集部が手がけるWeb漫画サイト。会員登録などは不要で、誰でも無料で作品を楽しめる。4月18日にプレオープンし、まずは5作品を公開。さらに5月7日から“本格始動”し、「平日はほぼ毎日のペース」で、何かしらの作品が更新されていくという。

 公開中のティーザーサイトの「決意表明」には、「マンガをもっと自由に楽しめないか?」という問題提起が掲載されている。この言葉は伊達ではなく、かなり思い切った方法で作品を公開していくようだ。作品を表示するに当たっては、「読者がなるべく自由に作品に触れられる」ことを重視。特殊なビューワを使うわけでもなく、単純に画像を掲載する。DRMも施さず、PCはもちろん、スマートフォンなどでも閲覧できるという。また、既存のWeb漫画サイト「クラブサンデー」と違って掲載期間もない。公開された作品はアーガイブされ、いつまでも読めるという。

 さらに、「マンガをもっと自由に発信できないか?」「マンガをもっと自由に作れないか?」といった問題にも取り組んでいく。参加作家には、“ネットで公開した作品が注目を浴びている作家”を起用。「戦勇。第二章」の春原ロビンソンさんや、「けちゃっぷ忍者」のだろめおんさん、「ワンパンマン」のONEさん、「求道の拳」のサンドロビッチ・ヤバ子さん、「オーシャンまなぶ」の戸塚たくすさん、「ヒトクイ」のMITAさんなど、ニコニコ静画や新都社などでおなじみのメンバーが名を連ねた。ネットで人気を得てきた作家たちの「自己プロデュース力」と編集部のノウハウとを合わせ、Web漫画の新しいムーブメントを起こそうとしているようだ。

 作家のTwtterやFacebook、Ustreamなどとも積極的に連携していくとのことで、幅広いメディアを通じて情報を発信していく考え。作品に対して読者がリアルタイムにコメントできたり、ランキングに投票できる仕組みも導入し、読者参加型でサイトを盛り上げていく。ビジネスモデルとしては、サイトへの広告掲載や、連載作品を単行本化するなどの方法を検討していくという。

 また、まずは連載作家のWeb漫画が読めるサイトとして運営していくが、“漫画の投稿先”としてサイトを機能させていく構想もあるようだ。漫画投稿サイトは多々あるが、少年漫画誌がこれをプロデュースするというのは聞いたことがない。もし実現すれば、大きな注目を浴びることになりそうだ。4月18日のプレオープンを楽しみに待ちたい。

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