本ができあがるまでも楽しむ――Espresso Book Machineが国内でも販売へ製本過程を動画で紹介

富士ゼロックスは書店および大学図書館などの文教市場に向け、米On Demand Books製の製本後処理機「Espresso Book Machine」を用いた「電子書籍出版システム」を発表した。

» 2011年10月31日 15時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 富士ゼロックスは10月31日、米On Demand Books製の製本後処理機「Espresso Book Machine」を用いたプリントオンデマンドシステム「電子書籍出版システム」を発表した。発売は2012年1月31日から。

Espresso Book Machinetと4112 Light Publisherを組み合わせたプリントオンデマンドシステム

 同システムは、Espresso Book Machineと、オンデマンド印刷などに用いられる同社のプロダクションプリンター「4112 Light Publisher」を組み合わせたもので、PDFデータのオンデマンド印刷/製本/断裁、平たく言えば“本”を作成することができる。Googleやオンデマンド出版の大手である米Lightning Sourceが提供している電子書籍を選択して製本することもできる。設置面積は約2平方メートル。

 同システムで実際に本ができあがるまでの過程を動画で紹介しよう。この動画では、約200ページの書籍を出力している。実際に約5分ほどで本ができあがるまでをご覧いただきたい。


 米国では、米書店団体ABA(American Booksellers Association)が米On Demand Booksと提携し、書店向けにEspresso Book Machineを販売している。これは、小売書店レベルでプリントオンデマンドシステムの導入を促進することで、独立系書店の活性化を期待してのことだ。なお、米Xeroxは2011年2月にEspresso Book Machineの販売を開始している。

 日本では、三省堂書店が2010年12月に神保町本店に設置、「三省堂書店オンデマンド」として店頭でのオンデマンド出版サービスを提供している。こちらは当初、講談社の一部作品も選択可能だったが、その後複数の国内出版社も参加し、絶対数は少ないながらも和書の品ぞろえも拡大、Espresso Book Machineも1台追加している(三省堂書店オンデマンドの和書コンテンツ一覧はこちら)。

 こうしたプリントオンデマンドシステムは、在庫や返本リスク、廃棄ロスの削減、あるいは絶版本でもデータがあれば製本できるなど有用だが、市場としてはまだこれからといったところだ。富士ゼロックスでは、「紙と電子のミックス度合いをまだ図りかねている部分もある」としながらも、出版物のデジタルプリント化は今後本格するとみており、米国でビジネスモデルとして成立していることを見極めた上で、国内への提供に踏み切った。販売対象は書店および大学図書館などの文教市場としている。同社によると、国内の全国の書店は約1万5000店、公共図書館が3083館、大学図書館が1658館。

 価格は、Espresso Book Machineが1350万円、4112 Light Publisherが798万円。同社では年間販売目標を50台としている。

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