TSUTAYA.com eBOOKsがサービス終了へ BookLive!への移行措置/Tポイント返還を予定

サービスの終了は12月31日を予定。BookLive!への移行措置は2015年1月中旬をめどに開始予定。

» 2014年10月23日 17時00分 公開
[西尾泰三,eBook USER]

 T-MEDIAホールディングスが運営する電子書店「TSUTAYA.com eBOOKs」がサービスを終了、すでに購入したコンテンツは、凸版印刷グループの電子書店「BookLive!」で引き続き読めるようにする考えであることが発表された。

 TSUTAYA.com eBOOKsのサービス終了は12月31日を予定。同ストアでの新規購入は10月31日いっぱいで終了となる。

 TSUTAYA.com eBOOKsで購入したコンテンツは、BookLive!への移行措置が採られる。購買情報を引き継ぐかどうかのオプトインを経て、引継ぎの処理がなされる予定。移行措置は2015年1月中旬をめどに開始予定で、10月31日に詳細を発表するとしている。

 TSUTAYA.com eBOOKsで取り扱いのあったコンテンツの大半は移行可能で、BookLive!で現在取り扱いがない(がTSUTAYA.com eBOOKsでは取り扱いがある)ものも引き継げてBookLive!のサービス上で読めるようにしていく考え。ただし、一部のタイトルは移行できず、そうしたものは購入金額分を「1ポイント=1円」とし、Tポイントで返還する。

 電子書籍でよく挙げられる不安の1つとして、電子書店がサービスを終了すると、購入したものが読めなくなるというものがある。2014年に入って電子書籍配信サービスを終了した例としてはローソンの「エルパカBOOKS」(電子書籍)やヤマダ電機の「ヤマダイーブック」などがある。エルパカBOOKSは「Pontaポイント」を返金、ヤマダイーブックは当初、購入済みのポイント「イーブックポイント」の返金やヤマダポイントへの交換は行わないとしていたが、その後、新たな電子書籍サービス(10月29日に紙と電子を扱う『やまだ書店』をプレオープン予定)に引き継げるようにする考えを示すなど、ユーザーが著しいデメリットを被らないような施策が採られている。海外では、ソニーの電子書店が北米市場から撤退する際、Koboへの移行措置が採られている。

 サービスの終了自体は残念なことだ。TSUTAYA.com eBOOKsは、TSUTAYAブランドの独自ストアとして2011年6月にオープン。CCCはこれ以前の2010年12月にシャープと共同で合弁会社を立ち上げ、「TSUTAYA GALAPAGOS」を展開していた(この合弁会社はその後、シャープが完全子会社しており、サービスも『GALAPAGOS STORE』となって現在に至る)。冷静に見れば、CCCは電子書籍事業をうまく軌道に乗せられていない印象も受ける。ただし、今回の引き際の対応はユーザー、あるいは出版社などの不安を払しょくする良質なものだといってよいだろう。

 なお、BookLiveとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は6月に戦略的パートナーシップに基本合意しており、12月からBookLive!ではポイントサービスとしてTポイントを導入するなどサービス連携を深めている。今回の移行はこのパートナーシップの中であらかじめ予定されていたものではなさそうだ。

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