インディー著者差別、始まる

インディー著述家の差別は妄想ではなく、業界イベントで実際に起きはじめている。

» 2014年06月04日 11時39分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 プロの作家と、セルフパブリッシングを選んだいわゆるインディー著述家の間には大きな違いがある。自分の著作物の売り上げだけで生活できる人は作家と呼べるだろう。作家であれば、サインしたり献本したりできる書籍を出しているものだ。インディー著述家の差別は妄想ではなく、業界イベントで実際に起きはじめている。

 3月にルイジアナ州ニューオリンズで開催されたブックフェア「RT Booklovers Convention」では、マリオットホテル内の2つのイベント会場に700人の作家が招かれた。広い方の会場は書籍出版の経験を持つ作家に、その半分ほどの広さとなる2つ目の会場はインディー著者にそれぞれ割り当てられた。

 なぜインディー著者は作家より狭い会場に追いやられたのだろうか? 理由は物理的なものだ。作家は自分の著書を会場でサインしたり販売するために大量に持ち込むことができた。一方、インディー著者のほとんどは物理的な本を持ち込めず、Amazon、Apple、Barnes & Noble、Koboで自著を販売させられた。自著を持ち込めたインディー著者もいたが、販売は委託させられた。

 こうした仕打ちにないがしろにされたと感じた多くのインディー著者はイベント主催者に対して抗議し、主催者側はインディー著者の会場もチェックするよう参加者に呼び掛けるアナウンスを行う事態にまで発展した。

 イベントに参加したある作家は次のように語った。「あんな告知をしなければならなかったことを考えれば、インディー著者があのような形で別会場に追いやられたことはさぞ不満だったろうと思う。別会場にはインディー著者だけでなく、大手出版社から紙の書籍より先に電子書籍を出版した作家もいたのだ」

 作家としてイベントに参加したコートニー・ミラン氏はこう話す。「返本可能な書籍の著者が“本物の作家”で、委託販売で自分の本を売っている著者は“作家志望者”と分類されているというもっぱらのうわさでした。これは主催者の公式な定義ではなく、ボランティアスタッフの誤解だと私は思いますが、このうわさはかなり広まっていました」

 マー・ラファティ氏はイベント会場で「私が手渡された参加者バッジには“作家”と表示されていましたが、“作家志望者”と書かれたバッジを付けた人もいた」ことに気づいたという。

 同イベントには、電子個人出版プラットフォームの米Smashwordsで作品を公開している著者も100人ほど参加していた。こうした著者は、誰も読まないかもしれない自分の著書を認めてもらいたいと強く望んでいる。彼らは、作家のサイン用テーブルの幅は1.8メートルなのにインディーズ著者のテーブルは90センチだと騒いだ。

 RT Booklovers Conventionは、自著を持つ本物の作家と自分の著書を委託販売したがっているインディー著者とを見事に区別した。出版物を出していない著述家を表す「作家志望者」という言葉はRT ConventionのWebサイトのいたるところで使われている。あとはAmazon、Barnes & Noble、Koboなどの電子書店もインディー専用コーナーを作ってくれるといいのだが。

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