自費出版者は作家と呼ばれるべきでないか

著述家とプロ作家の区別は定量化すべきだろうか。簡単に用いられるようになった“作家”という言葉に筆者は混乱しているのだ。

» 2014年03月26日 12時09分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 出版業界の景色はここ5年間で劇的に変わった。過去、あなたが本を出版したければ、ヴァニティ・プレスからそれを行うか、従来の出版社との契約にこぎつける必要があった。今は誰もが本を書き、Smashwords・Kindle・Kobo・NOOKなどに投稿できる。

 ここでの問題提起は、著述家とプロ作家の区別を定量化すべきか、というもの。誰が本物の作家かを知るために、線引きをしておく必要があると考えたのだ。

 単に自分が書いた文章をアップロードするのが簡単で、それがほかのマシンにダウンロードされる可能性があるからということで作家にはなれないし、それは聴診器を購入したからといって医者になれないことと同義だ。『シンガー』は歌う人だ。『プロのシンガー』は歌で生計を立てる人だ。著述家とプロ作家であることの間には際立った違いがある。AmazonやSmashwordsで1、2タイトルを公開している多くのインディー作家は通常そうは考えない。彼らは名誉の印として作家という肩書きをまとっている。

 Romance Writers of America、Canadian Writing UnionとPublished Authors Networkなどの主要組織はいずれも、自費出版者をメンバーとして受け入れている。Science Fiction and Fantasy Writers of Americaも現在、同じことを行うためのガイドラインを作成中だ。これらの組織に参加するには、1年で一定金額を稼ぐ必要があり、インディーズ作家に課せられた金額は従来の作家の最低収入要件の数倍となっている。それはインディーズの方が稼げるからだ。

 The Published Authors Networkは参加に厳しい要件がある。メンバーとなるには、単一の対象小説に、アドバンスで1000ドルを受け取る必要がある。もしくは、単一の出版済み対象小説に著作権料、あるいはアドバンスと著作権料を合わせて1000ドルを受け取る必要がある。最後に、自費出版小説の収益として5000ドルを稼ぐ必要がある。

 書類上に単語をつづり、公衆に送信するすべての人を作家と呼ぶのは、言葉の価値を大きく下げ、無意味なものにする。インディーズ作家・自費出版作家・ハイブリッド作家・出版したことのある作家・ブログ作家・スマホ作家。これらの肩書きは、あなたが誰に話すかに応じて、すべて異なる意味を持つ。筆者はあなたが著述家かプロ作家のどちらか、工程を簡単にして判断したい。書くことで生活費を稼げればプロ作家で、ほかは昔ながらの著述家である。

 本物の作家だと主張するインディーズ作家と自費出版作家はお笑い草だ。用語には基本的に何の意味もない。フォトグラファーであることにも意味はない。カメラを手に取れば、あなたはフォトグラファーだ。定義上、この投稿にコメントするので「作家」となり、シャワーを浴びながら歌うので「シンガー」になる。書類上に単語をつづる場合、確かに作者とはいえない。

 科学の世界では、物事は非常に異なっている。まともに認められるためには、記事や研究論文を書かなければならないだけでなく、ほかの人々がそれらを引用しなければならない。より多くの人が書籍やリポートであなたが書いたリポートを引用するほど、科学者としてあなたのポジションは上昇する。

 筆者は著述家および作家であることとは何かについて出版業界で議論がなされなければならないと思う。これらの用語はあまりにも簡単に浪費されているので混乱する。

 一部の人は「自費出版された作品と比較して一定の品質が保たれているという意見なので、プロ作家が執筆した書籍を読みたい」というだろう。「大手出版社から書籍を出版していない人を本当の作家だと考える。大手5大出版社を通じて出版する人はよく売れる無用の商業的たわごとを書く。彼らは作者ではない。彼らはただ自分の仕事をしている。自費出版者は、書くことを愛するがためにそれを行っており、オリジナルの、非主流の作品を執筆している。それが好きだ。彼らが本当の作者だ」という人もいる。

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