楽天Koboの新型電子書籍リーダー「Kobo Aura」を使ってみた(1/2 ページ)

Koboが12月6日に発売した電子書籍リーダー「Kobo Aura」。スマートフォンやタブレットと同様のフラットパネルを採用し、従来の電子ペーパー端末とは異なる読書体験を提供する同端末の実力は?

» 2013年12月24日 10時00分 公開
[鷹野 凌,eBook USER]
Kobo Aura Kobo Aura

 楽天子会社のKoboが12月6日から日本国内への出荷を開始した、新型電子書籍リーダー端末「Kobo Aura」。今回はこちらのレビューをお届けする。

 なお、ストアについては8月1日公開の「電子書店完全ガイド2013:「楽天Koboイーブックストア」を徹底解剖する」で詳細に解説しているが、その後、「楽天ブックス」内に「楽天Kobo電子書籍ストア powered by 楽天ブックス」が開設されるなど、次の動きもすでに起こっていることをあらかじめお断りしておく。

 Kobo Auraは、楽天24 Koboショップでは1万2800円で販売されている。海外では149.99ドルなので、原稿執筆時点での為替レート(1ドル96.9円)で換算すると、約1700円ほど安い。「Kobo Glo」の発売時より円安が進んでいるが、日本向けの戦略的価格は継続しているということになる。

付属物と本体外観

 Kobo Gloと同様に、懇切丁寧な日本語マニュアルが1冊付属している。もはや改めて語るまでもないが、Kobo Touch国内投入時における初期トラブルの教訓は、ちゃんと生かされている。


同梱品一覧 同梱品一覧。Kobo Gloと同様に、別途日本語マニュアルが付いてくる

本体前面 本体前面
本体裏面 本体裏面

本体上部は左端に赤い電源スイッチ(内部に電源ランプ)、その右にフロントライトスイッチ 本体上部には左端に赤い電源スイッチ(内部に電源ランプ)、その右にフロントライトスイッチ
本体底部は左からmicroUSBポート、microSDカードスロット、リセットホール 本体底部は左からmicroUSBポート、microSDカードスロット、リセットホール

右側面には何もない 右側面には何もない
左側面にも何もない 左側面にも何もない

 Kobo Gloと同様、物理ボタンは本体上部の電源スイッチとフロントライトスイッチのみ。操作はすべて画面のタップで行う。電源スイッチは黒から赤に変更され、視覚的に分かりやすい。背面は非常に細かいキルト状パターンで、左右が斜めにカットされている。滑りやすいこともなく、ホールド感もよい。

 従来のモデルと大きく異なり、Kobo Auraの特徴を際立たせるのが、フラットパネルの採用だ。

 Kobo TouchもKobo Gloも、そして一般的な電子ペーパー端末の多くはベゼルとパネルに段差があり、過去のレビューでも「ベゼルに近い部分のパネルをタップしづらい」と指摘したが、Kobo Auraはスマートフォンやタブレットと同様に平坦になっている。これは他の電子ペーパー端末には見られない特徴だ。

 段差の部分にホコリがたまることがないので、パネルが拭きやすく、ベゼルを意識することなくタップやスワイプができるので、操作もしやすい。これが今後の電子ペーパー端末でも一般的になっていくのだろうか。


Kobo Touchのベゼルとパネルには大きな段差がある Kobo Touchのベゼルとパネルには大きな段差がある
Kobo Auraのベゼルとパネルは平坦 Kobo Auraのベゼルとパネルは平坦

ライバル機とスペックを比較してみた

 Kobo Auraの比較対象となるのは、10月4日に発売されたソニー「PRS-T3S」と、10月22日に発売された「Kindle Paperwhite 2013年モデル」ということになるだろう。下位モデルのKobo Gloとともにスペックを比較したものが以下の表だ。

端末 Kobo Aura Kindle Paperwhite 2013年モデル PRS-T3S(カバー未装着) Kobo Glo
114ミリ 117ミリ 107ミリ 114ミリ
奥行き 150ミリ 169ミリ 160.5ミリ 157ミリ
厚さ 8.1ミリ 9.1ミリ 9.5ミリ 10ミリ
重さ 174グラム 206グラム 160グラム 185グラム
ディスプレイ 6型Pearl電子ペーパー16階調グレースケール 6型Carta電子ペーパー16階調グレースケール 6型Pearl電子ペーパー 16階調グレースケール 6型Pearl電子ペーパー 16階調グレースケール
画面解像度 758×1014 758×1024 758×1024 758×1024
ライト 内蔵型LEDライト 内蔵型LEDライト なし(別売カバー) 内蔵型LEDライト
内蔵メモリ 4Gバイト 4Gバイト 2Gバイト 2Gバイト
使用可能領域 3Gバイト 3.1Gバイト 1.2Gバイト 1Gバイト
外部記憶装置 microSD/SDHC(最大32Gバイト) なし microSD/SDHC(最大32Gバイト) microSD/SDHC(最大32Gバイト)
通信方式 IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n
バッテリー持続時間(メーカー公称) 最長8週間(ライトオフ、Wi-Fiオフで1分1ページを1日30ページ) 最長8週間(明るさ設定10、Wi-Fiオフで1日30分) 最長2カ月(Wi-Fiオフで1日30分) 最長1カ月(Wi-Fiオフで1分1ページを1日30ページ)
対応ファイル形式(電子書籍) EPUB、PDF(Koboイーブックストアで販売しているものに限る)、HTML、MOBI AZW3、TXT、PDF、MOBI、PRC(HTML、DOC、DOCXは変換して対応) .mnh、XMDF、.book、EPUB(日本語は一部対応)、PDF、TXT EPUB、PDF(Koboイーブックストアで販売しているものに限る)、HTML、MOBI
対応ファイル形式(画像) JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、CBZ、CBR JPEG、GIF、PNG、BMP(いずれも変換して対応) JPEG、GIF、PNG、BMP JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、CBZ、CBR
販売価格 1万2800円 9980円 9980円(別売ライト付きカバー4780円) 7980円
Kindle Paperwhite 2013年モデル(左)、Kobo Aura(右) Kindle Paperwhite 2013年モデル(左)、Kobo Aura(右)

Kindle Paperwhite 2013年モデル(左)、Kobo Aura(右) Kindle Paperwhite 2013年モデル(左)、Kobo Aura(右)

 並べてみると、Kobo Auraは Kindle Paperwhite よりひと回り小さい。この中では Kobo Auraの厚さが最も薄いが、重さはカバーを付けない標準状態のPRS-T3Sにわずかに及ばない。それでも、Kindle Paperwhite と持って比べると、それなりに違いを感じる。

 内蔵メモリはKobo Gloの2Gバイトから、4Gバイトに拡張された。また、Kobo AuraとPRS-T3SはmicroSDカードスロットで最大32Gバイトまで拡張できる。ファイルサイズの大きいコミックを読む用途や、いわゆる「自炊」用の端末として活用する場合でも、ストレージ容量の大きさや拡張性は魅力だ。

 画面解像度は Kobo Auraのみ 758×1014ドットと、他の端末と比べ縦が少し短い。当初 758×1024ドットと案内されていたが、後日訂正された。ただ、他の端末と並べて比べてみても、長さの違いはあまり分からない。

セットアップ

 初期設定はKobo Gloと同様、Wi-Fi接続でも行えるため、PCは不要。ただし、Kobo Auraからは楽天会員の新規登録が行えないため、別途何らかの手段で楽天ID・パスワードを用意しておく必要がある。

AOSSやWPSといったWi-Fiをワンプッシュボタンで設定する機能も存在しないが、入力中の文字列は確認できるので修正は容易だ。


電源を投入すると、まず言語選択の画面 電源を投入すると、まず言語選択
[Wi-Fi に接続してセットアップ]をタップ [Wi-Fi に接続してセットアップ]をタップ
接続可能なネットワークを検出 接続可能なネットワークを検出

[パスワードを表示]にチェックを入れると、入力中の文字列を確認できる [パスワードを表示]にチェックを入れると、入力中の文字列を確認できる
日付や時間は自動取得 日付や時間は自動取得
ファームウェアのアップデートが開始された ファームウェアのアップデートが開始された

別途何らかの手段で楽天ID・パスワードを用意しておく必要がある 別途何らかの手段で楽天ID・パスワードを用意しておく必要がある
クイックツアーが始まるのと同時に、バックグラウンドで「最近読んだ本」から5冊が自動的にダウンロードされる クイックツアーが始まるのと同時に、バックグラウンドで「最近読んだ本」から5冊が自動的にダウンロードされる
クイックツアーが終了すると、ホーム画面が表示される クイックツアーが終了すると、ホーム画面が表示される

 楽天会員ログインが完了すると、クイックツアーが始まるのと同時に、バックグラウンドで「最近読んだ本」から5冊が自動的にダウンロードされる。クイックツアーは全8画面。クイックツアーが終了すると、ホーム画面が表示される。

ホーム画面や本棚・設定などは?

 次に、ホーム画面をチェックしてみよう。これまでのホーム画面は、最近読んだ本ほど大きく表示され渦巻状に配置される形だったが、Kobo Auraでは最近読んだ本と利用したメニューも一緒に表示される。「××%既読」「最近追加した作品」「おすすめ」「同期する」といった説明書きが追加されたので分かりやすい。右上の三本線をタップすると開くメニューも レイアウトがKobo Gloから若干変わっている。


ホーム画面(ライト未点灯) ホーム画面(ライト未点灯)
ライトを点灯し、明るさを最大にした状態 ライトを点灯し、明るさを最大にした状態
右上の三本線タップでメニューが開く 右上の三本線タップでメニューが開く

[設定]一覧 [設定]一覧
[ライト/スリープ/電源]設定 [ライト/スリープ/電源]設定
[読書設定]の[画面のリフレッシュ間隔] [読書設定]の[画面のリフレッシュ間隔]

 [画面のリフレッシュ頻度]設定は、初期状態では[章]。数ページに1回、ではなく、章をまたぐときだけリフレッシュするのだ。Kobo Gloでは最大6ページに1回だったので、大きく改善されている。Kindle Paperwhite 2013年モデルと比較した動画を記事の最後に載せてあるので、そちらも確認してほしい。


[ライブラリ]のメニュー一覧 [ライブラリ]のメニュー一覧
[ストア]のメニュー一覧 [ストア]のメニュー一覧
[その他]のメニュー一覧 [その他]のメニュー一覧

[ライブラリ]の[本]一覧(リスト表示) [ライブラリ]の[本]一覧(リスト表示)
表紙一覧に切り替えた状態 表紙一覧に切り替えた状態
[その他]の[読書データ]では、いま読んでいる本のデータが見られる [その他]の[読書データ]では、いま読んでいる本のデータが見られる

 Kobo Auraには、購入した書籍を任意にフォルダ分けして整理できる「本棚」機能がある。アカウントにひも付けられ、Kobo TouchやKobo Glo、AndroidアプリやiOSアプリとも同期できる。Kindleが最近になってクラウド本棚を最新モデルから順に提供開始しているが、Koboには以前から搭載されていた機能であることは強調しておきたい。

 ただし、AndroidアプリやiOSアプリは起動時に同期するが、Kobo Auraなどの電子ペーパー端末はスリープから復帰しただけでは同期されない。[自動バックグランド同期]の設定をオンにしていても、同期されるのは1日1回。任意のタイミングで同期するには、自分で[同期する]の操作が必要だ。


他の端末で作成した本棚がそのまま同期されている 他の端末で作成した本棚がそのまま同期されている
好きな名前を付けた本棚が作成できる 好きな名前を付けた本棚が作成できる
同じアカウントで利用しているiOSアプリの本棚の状態 同じアカウントで利用しているiOSアプリの本棚の状態
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