ソニーは、電子書籍リーダー最新モデル「PRS-T3S」の国内発売を10月4日から開始する。海外モデルと異なりカバーをオプションとしたほか、画面リフレッシュを極限にまで抑えた。
ソニーは9月24日、電子書籍リーダー端末「Reader」の最新モデル「PRS-T3S」を10月4日に発売することを発表した。価格はオープン(市場推定価格は1万円前後)
前モデルに当たるPRS-T2の発売からほぼ1年。先日ドイツで開催されたIFA 2013で発表されたものの国内発表となる。E Ink電子ペーパーを採用した6インチのディスプレイサイズは変わらないが、画面解像度はPRS-T2の600×800ドットから756×1024ドットに向上している。
本体サイズや重量は、PRS-T2と比較した記事末の表で確認してほしいが、カバーを外した状態では160グラムと、クラス最軽量の座を維持。サイズもT2からさらに小型化された。内蔵メモリは2Gバイト(ユーザー使用可能領域は約1.2Gバイト)で、本体背面にmicroSD/SDSCスロットを搭載する。カラーバリエーションはT2同様黒白赤の3色。FacebookやEvernoteとの連携機能も引き続き搭載されている。
PRS-T3S | PRS-T2 | |
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サイズ(※最厚部) | 109(幅)×160(奥行き)×11.3(高さ)ミリ(カバー込み) | 110(幅)×173.3(奥行き)×10.0(高さ)ミリ |
重量 | 約160グラム | 約164グラム |
解像度 | 758×1024ドット | 600×800ドット |
カラー/白黒 | モノクロ16階調 | モノクロ16階調 |
画面サイズ | 6インチ | 6インチ |
通信方式 | 802.11 b/g/n | 802.11 b/g/n |
内蔵ストレージ | 約2Gバイト | 約2Gバイト(使用可能領域:約1.3Gバイト) |
メモリカードスロット | microSD | microSD |
バッテリー持続時間(メーカー公称値) | 最長2カ月(無線オフ時)、最長1.5カ月(無線オン時) | 約3万ページ、最長2カ月(無線オフ時)、最長1.5カ月(無線オン時) |
IFA 2013で発表されたものは、専用カバーが標準となっていたが、PRS-T3Sではカバーがオプションとなっている。このカバーはスタンダードカバー(PRSA-SC30、3000円前後)とライト付きカバー(PRSA-CL30、5000円前後)の2種類が用意され、いずれもカバーの開閉がスリープと連動する。なお、PRS-T3Sには取り外し可能な背面パネルが付属し、カバーなしでも外観が損なわれることはない。また、ライト付きカバーは電池式ではなく、本体から電源が供給されるようになっている。
軽量性では群を抜いているPRS-T3Sは、電子書籍リーダー端末のトレンドには必ずしも追従していない。1つはフロントライトを非搭載であること、もう1つは電子ペーパーの最新パネルを搭載していない点だ。
フロントライトは、他社が昨年相次いで搭載した機能だが、ソニーはこれには同調しなかった。これは、「フロントライトが必要な利用シーンが果たして全体の利用シーンのどれくらいか」を考えたものだ。無論、ソニーはそれが多くないと考えている。あれば役に立つ機能だが、あまり使われていないのなら、オプションとして選択肢とし、その分、軽量性など別の部分で差別化を図ったのだ。
PRS-T3Sに搭載されている電子ペーパーは、T2と同じE InkのPearlディスプレイ。正確には解像度を高めたPearl HDと呼ばれるものだ。一方、Amazon.comは新しいKindle PaperwhiteにE Ink電子ペーパーの最新世代「Carta」を採用し、コントラストなどを高めている。この事実だけを見ればPRS-T3Sは分が悪いが、ソニーは技術力でこれを補った。それは電子ペーパー特有の画面リフレッシュにみることができる。
Readerの画面リフレッシュは、表示制御の部分を同社独自のロジックで処理することで、PRS-T2の時代から他社をしのぐものだったが、PRS-T3Sでは最大4時間に1回まで低減させた。Cartaを搭載したKindle Paperwhiteの画面リフレッシュ頻度は章(チャプター)レベルにまで低減されたが、ソニーは実際の利用ではほとんど目にしないレベルにまで画面リフレッシュを低減させたのは特筆すべきポイントだ。
また、バッテリーの持ちの良さから充電を忘れがちな電子ペーパー端末にはうれしい急速充電にも対応。3分の充電で約400ページが読めるようになった。このほか、待望のiOS版Readerアプリも10月にリリース予定。
PRS-T3Sの発売に先立ち、Reader Storeはオープン以来ほぼ初となる全面刷新を実施。これまで4つだったジャンル(総合、書籍、コミック、雑誌)を細分化し21ジャンルに増加させたほか、タグやまとめ買い機能、新刊お知らせ機能といった便利な機能を備え、さらに、コミュニケーション機能と呼ばれる読者参加型のサービスへと進化した。
具体的には、ユーザー自身がレビューを投稿し、レビュワー(店主)として参加できるようになった。レビュワーはMy Sony IDがあればReader Store内に自分のページを持つことができ、Reader Storeと一体化したSNSサービスのようになっている。こうしたレビュワーの投稿は各ジャンルのトップページなどにも表示される。
こうしたレビューを投稿する対価として、レビュー経由で購入されたものは購入額の5%(10月末までは10%)がソニーポイントでレビュワーに還元される。外部サイトへのバナー埋め込み型アフリエイトサービスとは異なり、レビューを書くことで参加できるもので、ポイントの還元も1ポイント単位で行われるのが特徴となっている。
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