kobo aura HDレビュー(1/2 ページ)

現在入手できる同サイズの電子リーダーを歯牙にもかけず、ほとんどの7インチタブレットさえ歯が立たない画面解像度を持つkobo aura HD。その実力を早速実機でチェックしてみた。

» 2013年04月24日 08時00分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 先日Koboが発表したkobo aura HD。Good e-Readerではこの新電子書籍リーダーのレビューをお届けしたい。

 この端末の目玉の1つは6.8インチというディスプレイサイズで、標準的な6インチリーダーのトレンドからは外れている。解像度もNOOK HDやKindle Fire HD 7を超える業界では最高水準のものだ。

ハードウェア

 kobo aura HDは6.8インチのタッチスクリーンディスプレイを搭載し、解像度は1440x1080ドット(256dpi)。高解像度ディスプレイを搭載する業界最高のデバイスに仕上がっている。これは市場の主流のタブレット——Kindle Fire HD 7の1280x800ドットやNOOK HDの1440x900ドット——と比べても、より品質に優れたイメージを表示できるということだ。

 aura HDもビルトインされたライトを搭載している。kobo gloとkobo aura HDを横に並べて動画で比較してみたが、その進化に驚かされた。gloは白というよりも青みがかかって見えるディスプレイだったが、auraのディスプレイはKindle Paperwhiteと同程度に白い。

 aura HDの利点の1つは、同じフロントライト付き電子書籍リーダーであるBarnes & NobleのSimple Touch with Glowlight、AmazonのKindle Paperwhiteとは異なり、ライトを完全にオフにできることだ。KindleやNOOKではライトを完全にオフにできない。ディスプレイの輝度を下げることはできるが、実際にはライトはオンのままだ。このことはaura HDのバッテリーライフに寄与する。バッテリーライフはなかなかのもので、標準的な利用なら1カ月は持つ。

 フロントライトの調整はgloと同じく本体正面に配置されたボタンで行える。aura HDでアップグレードされている点の1つは、本体の電源ボタンがオレンジ、ディスプレイのボタンが白になっていることだ。kobo gloはどちらも白で横ならびに配置されており、多くのユーザーの混乱を招いた。もはや、同じ問題が発生することはない。

 aura HDは1GHz CPUと4Gバイトの内部メモリを搭載する。内蔵メモリはgloよりも2Gバイト多く、microSDカードスロット(SDHC対応)も付いているので、これを利用すれば32Gバイトまで拡張できる。

 aura HDにはKoboが過去にリリースした電子書籍リーダーとは非常に異なるデザインが施されている。同社は背面のキルト状のデザインを取り去り、アーティスティックな一面を披露することにしたようだ。背面には液体が流れたような溝が施され、持ちやすくなっている。このデザインは新しく、市場にあふれる電子書籍リーダーの中で際立つのではないかと思う。

 全体的に、kobo aura HDには非常に感心した。しかし、Wi-Fi接続には問題がある。アクティブにインターネットを利用したり、書籍の購入を行なったりしていない時はWi-Fi接続を切断しているようだ。ユーザーが電子書籍を購入し、10分後にインターネットブラウザを開くと、Wi-Fi接続を検索するのに通常1分ほどを費やす。ほとんどの場合、Wi-Fiアクセスポイントを自動的に認識しないので、設定メニューを開き再接続する必要がある。これはインターネットを必要する作業を行うにはやや面倒だが、公平に言っておくと、この問題はkobo Touchのころから存在している。

 最後に、解像度は素晴らしく、コミック、雑誌、新聞、グラフィック中心のコンテンツを純粋に楽しめる。ユニークなハードウェアデザインは新しいが、万人受けはしないかもしれない。

ソフトウェア

 kobo aura HDではメインのホーム画面が刷新された。過去、ホーム画面はデバイスにロードしたか、直近で読んだ4冊の本を表示した。新ホーム画面では過去に実行した12プロセスをアイコンとして3分割した状態で表示する。これにより最も頻繁にアクセスする、Webブラウザ、カスタム本棚、Reading Life、電子書籍などの機能へのショートカットを提供しているのだ。新コンテンツを取得する同期機能もホーム画面に配置され、唯一変わらない要素となっている。画面スペースがより効果的に利用されているのは好ましい。Webブラウザへアクセスするのに4つのサブメニューを検索する代わりに、最近利用していればホーム画面上に表示される。

 筆者は新ホーム画面の動的な特性を詳細に検討してみた。日常的なタスクやゲームからコミックに至るまで最近アクセスした要素が実質的にショートカットとして表示される様子は好ましい。欠点の1つは、それらのアイコンを長押しして画面上でドラッグしたり、継続して利用するウィジェットとして保存できないことだ。自分が好きなようにホーム画面を整理できるのは素晴らしく、ユーザーが望まない限りは自動的に整理されることはない。

 ホーム画面が変更されただけでなく、前モデルと比較してほとんどのユーザーインタフェースには繊細な改善が施されている。kobo gloではディスプレイ底面に黒い部分が存在し、ユーザーが適切な輝度レベルに調節するためにスクロールバーを起動すると、その部分がイメージの残像を表示してしまうこともあった。新ユーザーインタフェースは白で統一されており、ほとんどのサブメニューとヘッダーも白く、細かい点ではあるが目立つ特徴となっている。

 Koboが本当に優れている点の1つは、設定メニューに数々のカスタマイズオプションが用意されていることだ。ページのリフレッシュレートを1〜6ページの間で設定し、ページ送りをするのにさまざまなスワイプ動作を設定できる。これは文字が右から左、ページ送りが左から右の日本とアジアに居住するユーザーにとって最適だ。Words with Friendsのクローンなど新たなゲームも用意されている。もちろん、タッチスクリーンとWebブラウザを利用するスクラップブックも搭載されている。電子書籍リーダーを限界まで利用するのに十分なオプションが存在するが、標準的なユーザーを混乱させるほどではない。

 Koboはaura HDを根本からリデザインした訳ではなく、ユーザーが慣れ親しんでいるほとんどのコア機能はそのままだ。Reading Lifeはこのモデルでも健在で、ユーザーは読書を通じてリワードを獲得し、読書習慣に関する統計を記録できる。auraは過去4年間、デバイスを作ってきたKoboの粋を極めた製品となっている。Koboがこれまでリリースした中で最も洗練された電子書籍リーダーで、メニューとハードウェアのデザインに関して同社はリスクを取っている部分もある。

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