賞金なんと1200万円 「第1回デジタルMANGA新人賞」栄えあるグランプリ作品は?

アスキー・メディアワークスが「第1回デジタルMANGA新人賞」の授賞式を開催。魔法少女を引退したヒロインが成長後にもう一度魔法少女として戦う作品『Re:魔法少女』(作:しよた こん)がグランプリに選ばれた。

» 2012年12月05日 16時59分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo グランプリに選ばれた『Re:魔法少女』

 アスキー・メディアワークスは12月4日、「第1回デジタルMANGA新人賞」のグランプリ作品など受賞作品を決定し、東京都内にて授賞式を開催した。グランプリには、魔法少女を引退したヒロインがもう一度魔法少女として敵と戦う漫画『Re:魔法少女』が選ばれ、作者のしよた こんさんには総額1200万円の賞金が贈られた。

 同新人賞は未来のデジタルコンテンツをリードする漫画家を発掘すべく設立。デジタル環境で作られた作品に限って募集する点や、グランプリの賞金総額が1200万円と高額な点などが特長だ。第1回の審査員は、作家・評論家の岡田斗司夫さんや、イラストレーターのいとうのいぢさん、タレントの吉木りささんなどバラエティー豊かな面々が務めた。

 また、デジタルを志向する新タイプの新人賞を目指し、ドワンゴの「niconico」とコラボレート。「ニコニコ静画」からも作品をエントリーできるようにし、投稿作品の中からいくつかの作品がノミネートされた。授賞式は「ニコニコ生放送」で中継され、司会者らが視聴者のコメントをひろいながら授賞式が行われた。「デジタルの特性として(新人賞を)とことんオープンにしていく。ユーザーのツッコミやコメントを受けながら、賞のあり方を変化・進化させていくべきではないかと考えた」(アスキー・メディアワークス 第5編集部 部長 高野希義さん)


photophoto 授賞式には審査員を務めた作家・評論家の岡田斗司夫さん、イラストレーターのいとうのいぢさん、漫画家の垣野内成美さん、“某ゲーム会社会長”のミスターでかてさん、タレントの吉木りささん、電撃コミック ジャパン編集長の斉藤康夫さん(左から順)が登壇した。会場にはこれなかったが、アニメ監督の前田真宏さんも審査員を務めた

グランプリ作品、「このままアニメ化できる」と岡田さん

photo あこがれの吉木りささんといとうのいぢさんに囲まれご満悦のしよた こんさん

 合計5つの応募部門のうち「デジタル漫画部門」「デジタル4コマ漫画部門」「デジタルコミックエッセイ部門」では賞金100万円の部門賞作品が選出された。「デジタル漫画原作部門」「デジタルコンテンツ部門」では、部門賞の該当はなかった。

 デジタル漫画部門の部門賞とグランプリを受賞した、しよた こんさんの『Re:魔法少女』は、ギャグありお色気ありアクションありのにぎやかな作品だ。同作では、幼いころに魔法少女を引退し、女子高生となったヒロインが、再び魔法少女として活躍することに。いざ魔法少女に変身すると、当時の衣装が小さすぎていろいろとはみ出てしまうといったサービス精神旺盛な展開が、高い画力と相まって魅力的に描かれている。作者のしよたさんは女性だが、審査員からは「男性が描いていると思った」という声も多く、男性漫画的なテンポや勢いが感じられる作品でもある。

photo 『Re:魔法少女』の1場面。かわいい絵柄と女性のボディラインに思わず釘付けになる。同作をはじめ受賞作品は「電撃D-MANGAオンライン」で誰でも読める

 審査委員長の岡田さんは、「すごく面白い作品。このままアニメ化できる。主人公の女の子と妹と年齢層が2つあり、どちらを主人公にしてもイケる。そのあたりの作り方がうまいと感じた」と作品を高評価。吉木さんも「成長してからまた同じ洋服を着てバトルをするという設定が新しかった」と話した。

 ニコ生の視聴者や審査員からは、物怖じしないしよたさんのキャラクターにも注目が集まり、「第2の西原理恵子」(岡田さん)といったコメントも飛び出して会場を沸かせた。グランプリ受賞が決まりコメントを求められたしよたさんは、「吉木さんの生写真が欲しいので1200万円を使って撮らせてもらいたい」とジョークで返し、両腕を上げ「コロンビア!」と言い放った。今回の作品には、「美少女戦士セーラームーン」や「少女革命ウテナ」といった“女の子っぽいアニメ作品”へのあこがれを込めたという。

 “面白コメント”で会場をにぎわせつづけたしよたさんだが、授賞式の終了後には涙を流す一幕も。ネームの状態で編集部に持ち込み、ネームにOKが出たのは新人賞の締め切り10日前だったという。そこからなんとか線画までは完成させ、その状態で応募。完璧ではない作品がどう評価されるのか不安だったという。今後の創作に関しては、“男の娘の魔法少女モノ”を「ちょっとエッチな感じで」描きたいそうだ。

photophoto 『僕の姪は残念ながら可愛くない』でデジタル4コマ漫画部門部門賞を受賞した白黒さん(写真=左)、『27歳、迷走中』でデジタルコミックエッセイ部門部門賞を受賞した鈴木 ポガ子さんも授賞式に参加した

 アスキー・メディアワークスは12月4日に“デジタル世代の新人作家を育成するWebコミックサイト”「電撃D-MANGAオンライン」を開設。新人賞の受賞者も同サイトに参加し、作品を発表していくことになるという。『Re:魔法少女』をはじめとする受賞作品は、同サイトの特設ページから閲覧できる。

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