カヤックが、iPhoneアプリ内で個人が作品を出版できるサービス「Paberish」(ペイバリッシュ)を正式発表。Webエディターを使いブログ感覚で作品を執筆でき、完成した作品はiPhoneアプリ内で85円から販売できる。
カヤックは11月26日、iPhoneアプリ内で個人が電子書籍を出版できるサービス「Paberish」(ペイバリッシュ)を正式発表した。同時に、Paberishの作品を購入・閲覧できる同名iPhoneアプリの配信も開始した。アプリ版Paberishのストアには、クリエイティブユニット「AR三兄弟」の川田十夢さんや2012年イグノーベル賞受賞者の栗原一貴さんなどの作品が既に販売されている。
Paberishは、Web上の専用エディターを使って執筆した作品を、iPhoneアプリで販売できるサービス。作品はiPhoneアプリ上で購入と閲覧が可能で、アプリ内課金の仕組みにより簡単に購入できる。作品は、縦スクロールで読み進められる「スクロールブック」というスタイルで販売され、一般的な電子書籍というよりもブログのような見た目となっている。アプリの表示はiPhoneに最適化されているが、12月中旬にはiPadにも対応させる予定。
スクロールブックの投稿者としてエントリーするには、Facebookアカウントの登録が必要。作品の事前審査はないが、登録後すぐに販売はできない。初めての投稿作品はストアの「近日公開コーナー」に並び、ここで10人以上のユーザーから「読みたい!」を集めると販売が可能になる。なお、一度販売が許可されたユーザーは、その後「読みたい!」を集めずとも他の作品を販売できる。販売価格は85円から設定でき、売上の40%が投稿者に配分される。報酬は総額2000円以上から受け取りを申し込め、1回の受け取りで250円の手数料がかかる。
Web上のエディターはブログの投稿画面のような作りとなっており、画像の添付や見出しの設定などが簡単にできる。また、プレビュー機能を使ってアプリ内での見た目を確認しながら執筆が可能だ。発売してから内容を更新することも可能で、価格もその都度設定できる。
カヤックはPaberishを、“専門知識や技術、秘密や体験などを簡単に出版できるサービス”として位置付けており、これまでクローズドβ版を開発しながらWeb業界など各専門分野で活躍する著名人を執筆陣として集めてきた。現在Paberishのストアでは、先述の川田十夢さんや栗原一貴さんのほか、デイリーポータルZウェブマスターの林雄司さんなども作品を販売している。
今後は教育機関や専門機関、専門媒体との提携なども積極的に進め、専門的な作品ラインアップを強化していく考え。また、Amazonの「Kindle ダイレクト・パブリッシング」といった他社の個人出版サービスとの同時出版が容易になるよう、PaberishのWebエディターをhtml形式、markdown形式、EPUB形式のインポート/エクスポートに対応させる予定。エディターのAPIも近日中に公開し、サードパーティーが独自エディターを開発できるようにする。
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