Qualcomm、Mirasolディスプレイ開発を凍結

Mirasolディスプレイ開発を公式に凍結したQualcomm。同社の代表的ディスプレイ技術の見通しは暗い。

» 2012年07月26日 14時15分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 Qualcommは、将来性のあるMirasolディスプレイの製造を公式に凍結した。同社のCEO、ポール・ジェイコブス氏が年次の投資家向け電話会議で明らかにした。

 同氏は「Mirasolスクリーン技術について、現在われわれは次世代Mirasolディスプレイ技術のライセンシングに集中しており、一部のMirasol関連製品のみ直接製品化する予定です。この戦略は狙うべき市場と新たなロードマップをより良く調和させると考えています」と語った。

 QualcommがMirasolディスプレイの売り上げとディスプレイ技術に対する業界全体の注目度の低さにひどく失望していることについては何度かリポートした。組立ラインで欠陥のある多くの仕掛品が除外され、最終製品価格を押し上げた。低消費電力で日光下でも読書可能なディスプレイを利用し、タブレット製造に踏み切ったのはアジアを拠点とする4社のみだった。HanvonとKyoboは最近、製品の製造中止を決定しており、残るメーカーは中国の消費者向けに製品を販売する2社のみとなっている。Mirasolを利用するタブレット自体、高価格のため消費者の反応が悪く、代わりにASUS、Samsung、Appleの製品を購入するケースが目立つ。

 QualcommはPixel QIやPlastic Logicと同じく自社技術のライセンシングを行うだろう。これは驚くような発表ではなく、同社の代表的ディスプレイ技術の見通しは暗い。開発から試作品の製造までほぼ8年を費やしたわけだが、失敗の要因はMirasolディスプレイの製造が容易ではなかったからではなく、最終的にコストがあまりにも掛かりすぎることが分かったからだ。このディスプレイ技術をあえて採用し自社製品を開発しようとする大手企業も出現しなかった。

 Mirasolディスプレイ技術の見通しは明るくない。ほかの多くの企業は自社技術のスーパーマーケット、政府、軍部向けライセンシング契約の確保に努めている。多くの消費者はあらゆる環境で機能する低消費電力デバイスを求めているだけに、このニュースは残念でもある。

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