iRiver Story HD、正式に販売中止に

Google Booksのエコシステムを利用する世界初の電子書籍リーダーとして注目を集めたiRiverのStory HD。販売が不調で販売中止となった。

» 2012年05月08日 10時35分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
Good E-Reader

 iRiver Story HDはiRiverの輝かしい成功の1つで、マスマーケットに訴求する同社の初代電子書籍リーダーとなった。デバイスを発売すると、韓国拠点の同社は小売チェーンのTargetと流通で提携した。これによりiRiverは米国で初めて確かな流通チェーンを手にし、運命が変わることに望みを託した。結果的に、この電子書籍リーダーの販売は不調で、先日正式に販売中止となった。

 Story HDが2011年にリリースされたとき、挽歌を奏でるマーケットのほかの電子書籍リーダーとは異なる傑出した点が2つあった。まず、Story HDはGoogle Booksのエコシステムを利用する世界初の電子書籍リーダーだった。これによりユーザーは何百万冊もの無料および有料書籍をダウンロードできた。この提携関係の欠点はGoogle BooksがGoogle Playプラットフォームに吸収されたことだ。iRiverは電子書籍コンテンツシステムを利用するためのファームを更新しなかったため、書籍のダウンロードができなくなった。次に、Story HDは現在入手できる電子書籍リーダーの中で最高の解像度を誇る。解像度について、Kindle Touchは600×800だが、Story HDは1024×768だ。コミックブック、グラフィックノベル、写真が美しく表示されるので、多くの人がそれを求めてこのデバイスを購入した。

 現在のマーケットでiRiverはBarnes & Noble、Kobo、Amazonに立ち向かうことができなかった。iRiverは数カ月ごとに価格を変更し、Story HDの価格戦略には一貫性がなかった。発売時は149.99ドル、その数カ月後に129.99ドルに値下げされた。ホリデーシーズンがやってくると、Targetは価格を99.99ドルまで引き下げKindle 4に対抗した。明けて2012年には再び49.99ドルへ大幅値下げを行った。

 米国内のTargetの小売店舗もStory HDの販売中止を正式に認めた。Targetは自社WebサイトからStory HDのすべての形跡を除去し、多くのストアでは在庫切れとなっている。Story HDを入手できないので、経営陣はこれ以上デバイスを仕入れる予定はないと語った。

 iRiverの次のデバイスは何だろうか。同社は今年のCESで非公式に新たな電子書籍リーダーを披露しており、今年の夏までに最新モデルをリリースすると発表している。

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