Kindle(1st generation)――Amazon.com電子書籍端末ショーケース

往年の名機から最新のタブレットまで――古今東西の電子書籍端末をショーケース風に紹介する「電子書籍端末ショーケース」。ここでは、Amazonの電子書籍端末「Kindle」、その初代モデルを紹介する。

» 2012年02月18日 09時30分 公開
[山口真弘,ITmedia]

製品概要

 米Amazon.comの電子書籍端末「Kindle」の初代モデル。ほぼ同時期に北米で販売されていたSONY「PRS-500」「PRS-505」などと異なり、3G回線を通じて直接電子書籍コンテンツを購入できることで注目を集めた。

 初回ロットは即完売する一方、399ドルという価格、また独特のデザインや操作性の悪さから2008年のワーストガジェットに選出するサイトもあったほどだが、1年半後にKindle 2に世代交代するまで、Kindleのビジネスモデルを普及させる原動力となった。

 E Ink電子ペーパー(Vizplex)は4階調で、のちのKindle 2(16階調)に比べて表現力に劣るが、Whispernetによるストアへのアクセスやドキュメント類の転送機能、またメニュー構成などは本製品の時点ですでに完成されていたといっていい。扇状に配置されたキーボードや項目選択のためのセレクションホイール、通信回線のON/OFFを行う背面スイッチなど、物理ボタンを中心とした操作体系は大きな特徴。

 SDカードをサポートするほか、背面カバーを外すことでバッテリを交換できるのものちのモデルには見られないギミックだ。日本への出荷は行われず、技適マークも取得されていない。製品そのものも日本語に対応しておらず、SDカード経由でPDFを読み込ませることもできず、のちの製品のようにZIP圧縮JPEGにも対応しない。

スペックで見る「Kindle(1st generation)」

メーカー Amazon.com
国内発売時期 未発売
発売時価格 399ドル
専用/汎用 専用
OS Kindle OS
OSバージョン Kindle OS 1.2
サイズ(※最厚部) 134.5(幅)×190(奥行き)×19(高さ)ミリ
重量 約295グラム
解像度 600×800ドット
ディスプレイ 電子ペーパー(E Ink)
カラー/白黒 モノクロ4階調
画面サイズ 6インチ
通信方式 3G
Bluetooth なし
内蔵ストレージ 256Mバイト(ユーザ使用可能領域は180Mバイト)
メモリカードスロット SDカード
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 2日(無線ON時)、1週間(無線OFF時)
タッチ操作 非対応
対応フォーマット AZW、MOBI、PRC、TXT、HTML、DOC、JPEG、GIF、PNG、BMP
コネクタ USB(miniB)
電子書籍ストア Kindle Store
その他 PDFはメール経由で変換することで表示可能。日本語は非対応。米国での発売は2007年12月
最終更新日:2012年2月18日

写真で見る「Kindle(1st generation)」

右60度傾斜外観本体を持った写真CDとの比較 本体色はホワイト。複雑な多面体のボディが特徴的(写真=左)/のちのKindle 2以降に比べると角ばったデザイン。この写真では撮影のために左手で保持しているが、画面右下のセレクションホイールで項目選択を行うため、操作は実質右手を中心に行うことになる(写真=中央)/画面は6インチで、4階調のE Inkパネルは「Vizplex」と呼ばれるタイプ。右側に項目選択用のカーソルバーがあるため、のちのKindle 2以降に比べてボディの横幅がやや広い(写真=右)
単体正面左側面右側面 正面。扇状になったキーボードが特徴的。スクリーンセーバはKindle 2などと共通の絵柄だが、一部の絵柄にはショートカットの説明が書かれている場合がある(写真=左)/左側面。面構成が複雑なので一見するとボタンはないように見えるが、上にNEXT/PREVボタンの端が見える(写真=中央)/右側面。NEXTボタンとBACKボタンを備える。こちらの側にはPREVボタンはない(写真=右)
上面底面裏面 上面。特に端子類はない(写真=左)/底面。イヤフォンジャック、USB miniB端子、ACジャック、音量大小ボタンを備える(写真=中央)/裏面。上部に電源および通信スイッチを備える。グレーの部分はカバーになっており、右方向にスライドさせることで取り外せる。なお、後世の製品と異なり無線LANは搭載しておらず、通信は3Gのみ(写真=右)
裏面カバーを外すとバッテリーが交換可能。SDカードスロットも備える(写真=左)/標準添付のソフトカバーを装着した状態。のちのKindle 2のように本体にフックをかけて固定するギミックはなく、挟み込んでいるだけ(写真=中央)/画面内の項目を選択するには、右下のセレクションホイールを回転させて画面右側のカーソルバー内の銀色のカーソルを上下に動かし、ホイールを押し込んで決定する。ちなみにこれは「Go to Bookmark...」にカーソルを合わせている状態(写真=右)
メイン画面コンテンツ表示画面 起動直後のメイン画面。のちの製品に搭載されたCollection機能は非対応で、すべてのコンテンツがフラットに表示される。日本語表示には非対応(画面=左)/コンテンツを表示したところ。タイトルおよび下部のメニューは常時表示されている(画面=中央)/文字サイズは6段階で可変する(画面=右)
メニュー構成はのちの製品とおおむね同一。項目選択はセレクションホイールを用いて行う(画面=左)/本文位置はページではなくLocationで指定する。これは直接Locationを入力してジャンプするためのウィンドウを表示したところ(画面=中央)/SDカードスロットを搭載しているため、コンテンツを移動させたり、SDカード内のコンテンツを表示もしくは非表示にするためのメニュー「Content Manager」が用意されている(画面=右)
設定画面。アカウントやデバイスの名称など、のちの製品と共通の項目がほとんどだが、下段にある容量表示バーは本製品独自のもの(画面=左)/実験機能の画面。「Basic Web」と「Play Music」の2つが搭載されている。ブラウザはNetFrontを採用している。のちの製品に搭載される「Text-to-Speech」機能はみられない(画面=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.