Amazonの電子短編出版プラットフォーム

米Amazon.comが今年はじめに立ち上げた「Kindle Singles」の人気と投稿数はすばらしいが、AmazonはKindle Singlesを著者の自由にはさせないようだ。

» 2011年08月01日 09時00分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 米Amazon.comは今年はじめにKindle Singlesを立ち上げた。その人気――Kindle Singlesストアの6タイトルが通常の電子書籍を含めたKindleのダウンロード総数ランキングのトップ20に入った――と投稿作品数は豊富だが、AmazonはKindle Singlesを著者の自由にはさせないようだ。

 ゲイブ・ハッシュ氏のPublisher's Weekly向けの記事によると、投稿された3000から5000ワードのすべてのタイトルは公開前に人間が実際にレビューしている。

 このモデルは、文書あるいは原稿の著作権を保持させたまま、実際には匿名でKindleストア上で出版できるKindle Direct Publishingのコンセプトの対極に位置しているように思えるかもしれない。この電子書籍の配布および販売方法はよく議論に上り、Kindle Store乗っ取りの危険性も指摘される海賊版やスパムへの懸念をもたらしている。出版前にアップロードされたファイルを1つ1つ人間がレビューする必要性を訴えて反対している人もいるが、それは莫大な量の電子書籍を取り扱いしているAmazonには簡単にできないことだ。

 しかし、Kindle Singlesは現在、週ごとにだいたい3タイトルを発売しており、その数字についてAmazonは今のところ満足しているようだ。この電子短編出版に対する必要最低限度のアプローチは、タイトルがKindle Singlesに登録される前に1つ1つ査読する“生ける門番”デービッド・ブラム氏を突破することで保証されてきた。

 AmazonはKindle Singles部門に人間によるレビューを全タイトルに対して行うよう支持しており、それらのタイトルをたった99セントで販売していることを知りつつ、一方で電子書籍部門は1タイトルごとにずっと多くを請求できるのに、Kindle Singlesほどにはこうした問題に配慮していないので、どうにも話が逆のように思えてならない。

 現在、Amazonは潜在的に不正な短編に関してほとんど懸念を抱いていない。なぜなら、登録されている短編の多くは尊敬され、本を出版している書き手によってのみ投稿されているからで、多くのケースでは、短編の提出を行うのは著者ではなく、作品の著作権を保有する出版社である。自主出版の著者が作品を投稿できないわけではないが、出版前にブラム氏のような関門をくぐり抜けなければならず、その作品がKindle Singles上で日の目を見ないということは大いにあり得る。

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